転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
351 / 934
第二十一章 ちょっと平和な日々

第五百十話 ハムスターっぽい生き物

しおりを挟む
 入園式が終わると、普段の生活が戻ってきました。
 変わったのは、スラちゃんが執務官として張り切って毎日王城に行っている事です。
 プリンもたまにバイトとして、辺境伯領の防壁の守備隊と一緒に不審者の取り締まりをしています。
 僕はというと、王城で勉強したり会議に出たり、屋敷で勉強したり冒険者活動したりしています。

「薬草をいっぱいとるぞー!」
「「「おー!」」」

 今日は皆で薬草採取を行うので、辺境伯領のいつもの森に来ています。
 ジンさん達に加えて、クラヴィーアさんとルシアさんとククリさんも一緒です。
 リズが元気よく手を上げると、ミカエルだけでなくルシアさんも一緒になって手を上げていました。

「ルシアは昔から子どもに好かれやすいね」
「まあ、その、子どもっぽい所がありますから」

 クラヴィーアさんとククリさんがミカエル達と一緒に盛り上がっているルシアさんの事を、その、微妙な言い回しで言っていました。
 まあ、ミカエル達も嫌がっていないし、大丈夫でしょうね。
 因みに今日はスラちゃんとプリンがいないので、ポニさん軍団が護衛に加わっています。

「薬草が一杯だね」
「たくさーん!」

 リズ達は早速薬草採取を始めています。
 春だからなのか沢山の薬草がそこら中に生えていて、皆ウキウキしながら薬草採取に励んでいました。

「ほら、ルシアもこっちに来るんだよ」
「えー! 何で私だけ?」
「この前キチンと血抜きが出来なかったでしょうが!」

 そして、ルシアさんはおばちゃん恒例の新人冒険者向けの血抜き講座のおかわりを受けていました。
 今日は他にも新人冒険者がいるので、さっき倒したウルフの血抜きを一緒にする事になりました。
 今日のルシアさんは、薬草採取ではなくおばちゃんの熱血講習を受ける事になりそうですね。
 僕は、ポニさんとブッチーと一緒にミカエル達の様子を見守っています。

 がさがさ、がさがさ。

「あれ? 何だろう。敵の反応じゃないから、動物か何かかな?」
「ミカ、見てくる!」
「ブリも!」
「ブルル」

 薬草を採っていたら近くの茂みががさがさと揺れていたので、ミカエルとブリットとブッチーが茂みの中に入っていった。
 危険な反応じゃなかったけど、一体何だろう?

 がさがさ、がさがさ。

「にーに、これ!」
「弱ってるの」
「ブルル」
「うん? これはハムスターか?」

 ミカエルとブリットが抱いていたのは、ネズミにしてはずんぐりむっくりしている小さな動物でした。
 見た目はゴールデンハムスターで、鑑定しても敵と出ていないけど衰弱しているなあ。

「じょうずにご飯がとれなかったって」
「おなかぺこぺこだって」
「じゃあ、さっき採ったさくらんぼをあげようね」
「「うん!」」

 僕の話を聞いたミカエルがマジックバッグからさっき採ったさくらんぼをハムスターっぽいものにあげると、ハムスターっぽいものはほお袋にいっぱいさくらんぼを詰め込みました。
 というか、ほお袋があるなんてまんまハムスターっぽいなあ。

「おお、すごいすごい!」
「パンパンだよ」
「ブヒヒ」

 ミカエルたちがハムスターっぽい行動をとるネズミを面白そうに見ていたけど、ハムスターっぽいものはぴょんとミカエルの手からジャンプをするとまたもや茂みの中に入っていきました。

「「まってー」」
「ブルル」

 またもやミカエルとブリットとブッチーがハムスターっぽいものを追って茂みの中に駆け込むと、今度は薬草採取のかごを手にして戻ってきました。

「あかちゃ!」
「いっぱい!」
「ブルル」
「赤ちゃんにごはんを上げていたんだね」

 かごの中にはハムスターっぽいものの子どもがいて、さっきミカエルからさくらんぼを貰った二匹がせっせと子どもに与えていました。
 皆もかごの所に集まってきたけど、ハムスターっぽいものはどうしようか。
しおりを挟む
感想 236

あなたにおすすめの小説

『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。

もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです! そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、 精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です! 更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります! 主人公の種族が変わったもしります。 他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。 面白さや文章の良さに等について気になる方は 第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。