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第二十一章 ちょっと平和な日々

五百七話 もう一つの敵(学園長の長い話)との戦い

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 さてさて、今回の事件での主要な人物は王城に行ったのでここからは入園式をやらないといけないのですが、三男が大暴れしたので体育館の中がグチャグチャです。
 椅子とかも壊れちゃったので、これでは直ぐに式を行う事が出来ません。
 と、ここでリズが一言。

「なら、お外でやっちゃえば? 天気も良いし、お花も綺麗だったよ!」
「良い案ですわ。というか、それしか方法がないわね」

 王妃様もリズの案に賛同したので、急遽体育館前の校庭で入園式を行う事になりました。
 学園には拡声器型の魔導具もあるので、声は問題なく届きます。
 元々式のプログラムは万が一に備えて短めにしていたので、あっという間に終わる予定です。
 という事で、皆で校庭に移動します。

「新入生の皆さん、ご入園おめでとうございます。えー、我が学園では……」

 甘かった、恒例となった学園長の演説が待っていました。
 新入生や保護者からに加えて王妃様とティナおばあさまからも学園長に向けて早く話を切り上げろとプレッシャーを出していたのに、学園長は全てを無視して長々と話をしていました。
 うん、僕もルーカスお兄様もエマさんも学園長の三十分に渡る演説に疲れちゃって、挨拶も早々に切り上げる事になりました。
 毎回思うけど、何で学園長の演説ってこんなに長いのだろうか。
 とにかく何とか入園式は終わったので、ルーカスお兄様達は教室に向かってオリエンテーションを受けに行きました。
 このオリエンテーションは保護者も教室の後ろで見るので、王妃様も近衛騎士とプリンと共に教室に向かいます。
 何もなければこれで解散なので、僕達も学園の応接室に向かいました。

「はあ、疲れた。あの三男との戦いよりも、学園長の話の方が疲れたぞ」
「そうね、全くそうね。何であの学園長は、昔から演説が長いんだろうか」
「もう性分じゃない? 私はもう諦めたわ」

 応接室にあるソファーに座ると、ジンさん達はぐったりとしてしまいました。
 僕もジンさんの学園長への愚痴に大賛成です。
 あれ?
 ここで姿を見せていないのがいるぞ。

「リズ、スラちゃんは何処に行った?」
「あのおじいちゃんになっちゃった人の屋敷に行くんだって。さっき行ったよ」
「軍務卿と一緒に屋敷を捜索するんだね。スラちゃんが行けば、何でも見つけちゃうね」
「リズが行っても、何でも見つけちゃうよ!」

 リズも屋敷に隠されている物を発見するのは得意だけど、今回は王都の兵に任せてあげましょう。
 スラちゃんが行ったお陰で、何も心配をする事はないと思うよ。

「しかし、人間を保ったまま魔獣化しているとはな。頭が痛い話だぞ」
「ドクターの新たな研究の一つなのでしょうね。もしかしたら、あの三男は撃退される事も含んでの研究目的の捨て駒だったのかもしれないわね」
「でも、対策は普通の魔獣と一緒だから良かったですね」

 ジンさんとティナおばあさまが愚痴を溢しているけど、新たな脅威が出てきた事になる。
 僕達だけでなく、陛下も閣僚も軍も皆頭の痛い問題でしょうね。
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