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第二十一章 ちょっと平和な日々

五百六話 人型を保った魔獣

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 僕は三男の発した言葉が気になったので、三男を鑑定することに。

「えっ? 間違いじゃないよね?」

 すると、とんでもない事実が発覚した。
 あまりの事実に僕は再度鑑定してしまったけど、一回目の鑑定と結果は変わらなかった。

「ジンさん、三男は魔獣化しています!」
「なんだって!」

 僕の鑑定結果をジンさんに伝えると、ジンさんは驚愕して僕の事を振り返りました。
 普通魔獣化すると歪な体になって、まともに喋る事ができなくなる。
 三男の思考回路は明らかにおかしいけど、それでも普通に言葉を話していた。
 でも、魔獣化しているのなら対策はあります。

「えーい」

 きらーん。

「ぐお、なんだ? 力が抜けていく!」

 僕は、早速三男に状態異常回復魔法をかけました。
 すると、今まで倒した魔獣の様に力を失っていくようです。

「ぐ、ぐぐぐ、このガキが!」

 しゅん、ガキン!

「おっと、お前の相手は俺だぜ。坊ちゃんよ」
「邪魔をするなああああ!」

 三男が激昂しながら僕に殴りかかってきたけど、ジンさんが魔法障壁を使って受け止めました。

 きらきらーん。

「坊ちゃん、これでもくらいな」
「がああああ!」

 そして、すかさずジンさんが聖剣を発動させます。
 うーん、相変わらずのぶっ壊れ性能ですね、まさか状態異常回復まで発動するとは。
 三男はジンさんの聖剣の状態異常回復を受けて、床に倒れこんで苦しんでいます。

「えーい! これで終わりだよ」

 しゅーん、きらーん。

「ぐおおおおお!」

 とどめといわんばかりに、治療を終えたリズがスラちゃんとの合体魔法で状態異常回復を放ちます。
 三男は断末魔の叫び声を上げますが、リズとスラちゃんの魔法が止まるわけがありません。

「う、ううう……」
「あれ? おじいちゃんになっちゃったよ」

 そしてリズとスラちゃんの放った魔法の光が収まると、そこには変わり果てた三男の姿がありました。
 三男は辛うじて生きているみたいだけど、髪は真っ白の白髪になり皮膚はしわしわで太っていたはずの体も痩せこけていました。

「お兄ちゃん、念の為に治療する?」
「そうだね、このままでは事情聴取もできないからね」

 という事で、僕の側にやってきたリズと共に三男に回復魔法をかけたけど、おじいさんみたいになった外見は変わりませんでした。
 ただ、瀕死となっていたステータスは正常に戻っていたので、意識を失っているけど体調は問題なさそうです。
 あと、スラちゃんとプリン、つんつんと三男を触手でつつくのはやめなさい。

「アレク君、王城の警備隊のいる所にゲートを繋いでね」
「分かりました。直ぐに繋ぎます」

 ティナおばあさまも僕の側に駆けつけたので、直ぐに王城にゲートを繋ぎました。
 すると、王妃様もしくはティナおばあさまから連絡を受けていたのか、既に王城の警備隊の詰め所には軍務卿が待っていました。
 軍務卿は兵に指示を出して、三男を担架に乗せて王城に運んだ。

「やれやれ、まさか普通の人の形をしたまま魔獣化するとは。これから詳細な調査が必要ですな」
「僕も、鑑定を行うまではそんな事はないと思いましたよ」
「だよなあ」

 軍務卿も今回の事は完全に想定外だったので、頭をポリポリとかきながら運ばれていく三男を
見つめていました。

「テシウス伯爵。この状況だ、息子の部屋を中心として屋敷を捜索させて貰うぞ」
「はい、勿論で御座います。皆様には、ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「本当にお詫びのしようもございません」
「まあ、あんたらの苦労も分かるがな」

 うーん、軍務卿と話すテシウス伯爵も何だか白髪が増えちゃった様な気がするよ。
 がっくりと気落ちしちゃってるけど、大変な息子を持った苦労がしのばれます。
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