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第二十一章 ちょっと平和な日々

四百八十七話 新年一発目の薬草採取

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 新しい侍従候補者は、辺境伯家で纏めて審査する事になりました。
 というのも、辺境伯家も業務拡大で人手が足りなくなり、治療研究所も人が増えたので侍従の増員をするそうです。
 更にジンさんの屋敷で働く侍従も増やすので、纏めて募集するそうです。
 ここはイザベラ様が主に動いているので、お任せする事にしました。

「お兄ちゃん、新しい人ってどんな人かな?」
「うーん、流石に僕にも分からないよ。でも、イザベラ様が担当だからきちんとした人だと思うよ」
「そっかー」

 今日は新年最初の薬草採集に向かいます。
 メンバーは、僕達とクラヴィーアさんとルルーさんとノエルさんにいつものおばちゃんです。
 ジンさん達も、侍従候補の面接をするそうです。
 リズも、侍従候補が誰になるのか気になっているようです。

「ほらほら、今は薬草採集に集中しないとね」
「気が散って、怪我しちゃうよ」
「はーい」

 クラヴィーアさんとルルーさんがリズの事を注意してくれたから、この後は大丈夫でしょう。
 しかも、新年一発目の恒例となった新人冒険者も一緒です。
 今日は、十二歳になった男性三人組です。
 またもや、田舎からやってきたばかりだそうです。
 初めての森でちょっとビビっているのか、周囲を気にしながら歩いています。

「「「グルルル」」」
「あっ、ウルフだ」
「「「うわっ」」」

 ここで三頭のウルフが僕達をお出迎えしました。
 僕達はもう慣れてるけど、新人冒険者は更にビビっています。
 うーん、大丈夫かな?

「今日はイヨがやるんだよね」
「イヨちゃん、頑張って!」
「ファイト!」
「頑張る」

 今日はイヨが何か出たら倒す事に決めていたので、皆でイヨを送り出します。
 スラちゃんとプリンも、リズの腕の中で触手をふりふりとしてイヨを応援しています。
 そして、イヨは拳をガンガンと突き合わせました。
 そうです、イヨは格闘技戦が得意なんです。
 ガントレットと脚あてをつけていて、まさしく小さな格闘家です。

 だっ。

「よっ」

 ブオン、グワン、ガキン。

「「「ギャウン」」」

 イヨは手足に闇属性の魔力を集めて、一気にウルフに襲いかかりました。
 一瞬にして距離を詰められたウルフは、なすすべなく倒されました。

「ぶい」
「イヨちゃん、かっこ良かったよ!」
「凄いねー」
「流石はオカマさん直伝の格闘術だけあるなあ」

 イヨは相変わらず無表情だけど、意気揚々と引き上げてきました。
 あの、とんでもない師匠直伝の格闘術は凄いなあ。

「ほら、新人はさっさとこっちに来な。血抜きを教えるよ」
「「「はっ、はい!」」」

 そして、これも恒例となったおばちゃんによる新人冒険者向けの血抜き講習です。
 おばちゃんとスラちゃんは、もう血抜き講習ではかなうものがいないんじゃないかな。

「薬草の採り方は、リズが教えるよ!」
「「「はいー!」」」

 これも恒例となった、リズの薬草採集講座もスタンバイオッケーです。
 サンディとイヨとプリンも、やる気満々で新人冒険者を待っています。
 どうも新人冒険者は、イヨの格闘術にビビってまだドキドキが止まらない様です。

「僕達は、周囲の警戒をしましょうか」
「そうですね」

 周囲を探索しても特に反応はないけど、念の為にと僕とクラヴィーアさんとルルーさんとルキアさんで周囲を警戒します。

「ほら、もっと丁寧に獲物を扱うんだよ!」
「「「はいー!」」」

 とはいえ、暫くはおばちゃんの熱血指導が続きそうだね。
 今日は冬にしては暖かいし、天気も良いから気長に待ちましょう。
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