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第二十章 マロード男爵領とジンさんの結婚式

四百八十六話 新しい年の始まり

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 そして、新年になりました
 僕も今年で八歳になります。
 今日は既に王城にも行って、共和国や教皇国にも行きました。
 なので、皆でのんびりとしています。
 ノエルさんは王都の実家に戻っていて、数日過ごすそうです。

「おなか、おーきーね」
「そうね、もうそろそろ赤ちゃんが産まれるからね」
「月末かしら?」
「「たのしみ!」」

 我が家の目下の楽しみの一つは、侍従のお姉さんの赤ちゃんの事です。
 ミカエルとブリットも、毎日侍従のお姉さんのお腹を触ったり耳を当てたりしています。
 そして、もう一つ良い事がありました。
 あの違法奴隷として捕まっていて今は治療研究所で働いているお姉さんも、一緒に働いている人と結婚する事が決まりました。
 正式に僕の屋敷から離れる事になったので、侍従の募集をかける事になりました。
 侍従のお姉さんが出産する前に新しい侍従を決めたいので、既に選考に入っているそうです。

 ちょんちょん。

「うん? どうした、メイちゃん、リラちゃん」
「おなべたべよー」
「できたって」
「そっか、じゃあ一緒にいこうね」
「「うん!」」

 侍従のお姉さんの子どものメイちゃんとリラちゃんも、今年三歳になります。
 普段からお隣の赤ちゃんと接しているので、今やすっかりお姉ちゃんとして自覚しています。
 実際にお姉ちゃんになったら、赤ちゃんのお世話を一生懸命にやるでしょうね。
 僕はメイちゃんとリラちゃんの手をとって、一緒に食堂に向かいました。
 年末にリズが狩ったイノシシ肉がまだ余っているので、今日はぼたん鍋にします。
 食堂に着くと、既にリズとサンディとイヨがスタンバイしていました。

「お兄ちゃん、早くたべよー」
「はいはい、ちょっと待っててね」

 リズはお鍋が楽しみで、もう待ちきれない様です。
 僕達に加えて、侍従のお姉さんに手を引かれたミカエルとブリットもやってきました。

「美味しいー!」
「とっても美味しいです」
「うまうま」

 実は、今日はバザール子爵領のお鍋にも使える新作調味料を使っています。
 なので、普段よりもとても美味しいです。
 他の領地でもそれなりの調味料が作れる様になったそうですが、未だにバザール子爵領の調味料にはかないません。
 うーん、どうやって作れば良いのか僕にも全く分かりません。

「にーに、おいちいね!」
「そうだね、美味しいね」

 おっと、色々と考えていたけど今は食事に集中しよう。
 ニコニコとしているミカエルの口を拭いてやりながら、食事に意識を戻します。
 お肉を小さく切ってやって、ミカエルに食べさせます。
 
「ブリも!」
「はいはい、ちょっと待っててね」

 ブリットも食べさせてと急かされたので、ミカエルと同じ様に食べさせます。

「リラちゃん。はい、あーん」
「あーん」

 リズは、サンディと一緒にメイちゃんとリラちゃんに小さく切ったお肉を食べさせていました。
 リズも、すっかりお姉ちゃんですね。
 こうして、新年の始まりはのんびりとしたものになりました。
 今年はどんな一年になるのかな?
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