転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第十九章 懐古派の砦編

四百四話 懐古派の砦への道、二日目

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 懐古派への領地へ行く二日目、僕たちは朝の内に訓練を済ませておきます。

「アレクサさんは、ダガーを使うのですね」
「はい、ちょっと腕力が足りないのもあるので」

 剣の訓練でアレクサさんの武器を確認すると、僕と同じくダガーを使っていた。
 僕はダガーの二刀流だけどね。
 庭にはクラヴィーアさんとルルーさんも顔を出していて、アレクサさんと共に木剣を使っての訓練をしていた。

 カンカン。

「遠慮しないで、どんどんと打ち込んで下さい」
「はい」

 年齢はクラヴィーアさんの方がアレクサさんよりも年下だけど、剣を扱った期間は圧倒的にクラヴィーアさんの方が上だ。
 クラヴィーアさんは教えるのも上手なので、アレクサさんの剣術指南として一役買っています。

「ルルーの攻撃は、避けるだけで良いですわ」
「は、はい」
「では、いきますね」

 今度は回避訓練ということで、大剣を扱うルルーさんの攻撃を回避します。
 ルルーさんは身体強化を使ったり回転の勢いを使ったりと、パターンを変えて剣を振ります。
 アレクサさんも、なんとかルルーさんの攻撃を避けていきます。

「今日はここまでですね」
「お疲れ様です、飲み物とタオルをどうぞ」
「あ、ありがとうございます。流石はジン様とレイナ様の妹君です」
「いえいえ、アレクサさんも中々筋が良いですよ」

 僕達の出発時間もあるので、訓練は短めに切り上げます。
 アレクサさんの頑張りに、クラヴィーアさんとルルーさんも満足げです。
 という事で、汗を流して僕達は再度教皇国に向かって出発してみます。

 カラカラカラ。

 今日はランカーさんが御者を勤めます。
 馬車にいる間は、皆で魔法の訓練を行います。

「凄い、昨日よりも更にスムーズに魔力が流れている感じがします」
「訓練の後はキチンと休む事も必要なのよ。体が回復すると共に、魔力を流れる道も大きくなるわ」

 アレクサさんの疑問に、ティナおばあさまが答えていた。
 強くなるには、キチンと休む事も必要だよね。
 と、このタイミングでランカーさんが僕達に声を掛けてきた。

「皆様、馬車を止めます。前方にオオカミが十頭現れました」
「お、やってきたか。暇していたんだよな」

 僕達は馬車から降りて、馬を守る様に前に出ます。
 退屈を持て余していたジンさんが、早速聖剣を抜いて構えます。
 すると、スラちゃんがアレクサさんにある物を渡そうとしていました。

「え、これを使って良いのですか? 何やら、凄い剣の様ですが?」

 スラちゃんがアレクサさんに触手を伸ばして手渡したのは、ダガーよりも長いけどショートソードよりも短い剣。
 女性の冒険者がよく愛用する、力のない人でも取り回しのきく剣だ。
 だけど、スラちゃんの魔力で魔鉄化しているから、普通の剣ではないのは間違いない。
 というか、スラちゃんが他の人に自分の剣をあげるってあんまりないな。

「その剣は魔鉄で作られているから、魔力をこめると属性を帯びるぞ」
「わっ、本当です!」

 ジンさんのアドバイスに従ってアレクサさんが剣に魔力を流すと、聖属性を帯びて光り輝いていた。

「じゃあ、オオカミ退治はアレクサにやって貰おう」
「何かあったら直ぐに助けるから、思いっきりやっちゃいなさい」
「はい!」
「おお、アレクサさん頑張って!」

 レイナさんとカミラさんにも声を掛けられたアレクサさんは、オオカミの群れに突撃して行った。
 そして、次々とオオカミを倒していきます。

「中々の強さですね」
「無意識の内に、身体強化を使っている様ですね」
「昨日から行っている訓練が、彼女にとってとても役に立っていますわ」

 アレクサさんの戦いを見て、ルリアンさんとナンシーさんとティナおばあさまが色々と評価していた。
 確かにアレクサさんは、身体強化を使っている様に見えるぞ。
 そしてアレクサさんは、あっという間にオオカミを倒しました。

「おお、アレクサさん凄い!」
「あ、ありがとうございます」

 リズに加えてスラちゃんとプリンも触手を使って拍手していた。
 そしてスラちゃんとプリンは、早速オオカミの元に向かって血抜きを始めていた。

「お疲れ様、アレクサとその剣は相性が良さそうね。今後はその剣をメインにしましょう」
「はい」

 ティナおばあさまの提言もあり、アレクサさんの剣はスラちゃんがあげた剣になった。
 アレクサさんもオオカミを上手く倒せて、笑顔になっていた。
 スラちゃんとプリンもオオカミをアイテムボックスにしまったので、馬車に乗り込んで出発です。
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