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第十八章 少し平和な日々

三百九十一話 バイザー子爵領での炊き出し準備

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 教皇国の旧アホスタイル枢機卿の領地に向かう日が近づいたけど、普段行っている事は普通に行います。
 そして今日は、バイザー子爵領で炊き出しを行います。
 バイザー子爵家当主であるミカエルの顔を売るのと、バイザー子爵領で何か問題が起きていないかを聞き込みします。

「今日は頑張るぞ!」
「「「おー!」」」

 リズの掛け声に、サンディとミカエルとブリットが元気よく手を上げています。
 特にミカエルは自分の領地の事なので、朝からやる気満々です。

「これだけ元気なら、炊き出しに来る人も笑顔になりますね」
「そうですね」

 やる気満々のリズ達を見て、イザベラ様とソフィアさんも思わず笑顔だ。
 今日の炊き出しには、ルーカスお兄様達に加えてティナおばあさまも参加予定です。
 ジンさん達も参加するので、赤ちゃん達は辺境伯様の屋敷で纏めて面倒を見る予定です。
 という事で、準備もできたので僕達はバイザー子爵領の屋敷に向かいます。

「皆様、お待ちしておりました。どうぞ、中へお入り下さい」
「「「「はーい」」」」

 バイザー子爵領の屋敷に到着すると、出迎えてくれた侍従長が屋敷の中に案内してくれた。
 元気よくリズ達が返事をして、屋敷の中に入っていきます。
 炊き出し前に、バイザー子爵領の現状について確認します。
 ある程度の事は辺境伯領から派遣されている役人経由で聞いているけど、現地にいる人から生の声を聞く方が良いよね。
 因みにある程度の炊き出しの準備は、バイザー子爵家の侍従が行っています。

「この冬は例年よりも風邪をひく人が多かったのですが、辺境伯領より治療師を派遣頂き何とかなりました。皆様には感謝申し上げます」
「いえいえ、その位は何てことはありませんわ。丁度辺境伯領でも風邪が流行していて、薬を沢山準備しておりましたので」
「他の領地や王都でも風邪が流行していましたから。早速治療研究所を設置した効果が現れましたね」

 インフルエンザみたいな風邪が全国的に流行したので、どの治療研究所も大忙しだった。
 その代わりに、多くの治療薬を製造する事ができたという。
 僕達も薬草を沢山採取したし、他の冒険者も薬草採取で大忙しだった。
 確かにイザベラ様が話した通り、このくらいは何でもない。

「やはりミカエル様が勲章と二つ名を頂戴した事と、ブリット様をお迎えした事が大きな事になっております。領地から離れていった人々も、多く戻ってきております」
「この前にもその話は聞きましたけど、良い功績というのは影響力が大きいですね」

 ミカエルの場合はこれからもっと功績を作りそうだから、もしかしたら早い内に伯爵に爵位が戻るかもしれない。
 そうなると、もっと多くの人が戻ってきそうだ。

「ただ、どうもならず者も増えているようでして。対応に苦慮しております」
「人が増えると、どうしても治安の問題が出てくるな。今日は多くの人が集まるのか?」
「はい。領内の全ての人に声をかけております。無料治療もできると言っております」
「そうなると、教皇国で使った作戦が使えそうだ」

 今日は、沢山の人がミカエルを見ようと集まってくるだろう。
 その状況を利用して、ジンさんがとある方法を考えた様だ。
 教皇国で使った作戦って言ったので、あの作戦だろう。

「アレク、後でポニーも呼び寄せよう」
「それなら、近衛兵も呼びましょう。徹底的にやりましょう」
「リズも悪い人を捕まえるよ」
「ミカも!」

 そして教皇国で炊き出しを行った人が次々に声を上げていった。
 ティナおばあさまもリズもミカエルも、スラちゃんもプリンもやる気になっている。
 ならず者がボコボコにされる未来が容易に目に浮かんだぞ。
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