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第十八章 少し平和な日々

三百八十三話 新年の挨拶

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「新年おめでとうございます」
「「「おめでとう!」」」

 そして新年になりました。
 僕の屋敷では、侍従のお姉さんも含めて皆で新年のお祝いを行います。
 今年で僕は七歳になるけど、この屋敷での暮らしも長くなったなあ。
 新年の挨拶が終わったら、辺境伯様とジンさん達と一緒に皆で王城に向かいます。

「今日は帝国だけでなく、教皇国にも行くからね」
「「「はーい」」」

 ブリットの出迎えは一週間後なので、今日教皇国に行くのは教皇様へ挨拶をする為です。
 それと、懐古派との戦況を確認する意味もあります。
 戦況は逐次報告されているけど、直接話を聞く事も重要だよね。
 では、早速王城に向かいます。

「「「新年おめでとうございます」」」
「おお、おめでとう」

 先ずは皆で陛下にご挨拶。
 今日は新年だけあって、皆リラックスしています。
 王族の皆にも、順に挨拶をします。

「しかし、子どもの成長は早いものね。ルーカスが来年には学園に入園とはね」
「ルカリオとエドガーももうそろそろ歩き出すし、お喋りをしだしたら更に賑やかになるわ」
「ルーカスとルーシーは大人しかったし、エレノアは病弱だったからね。ルカリオとエドガーは活発になりそうだわ」

 王妃様とアリア様とティナおばあさまが、子ども達だけで集まっているテーブルに顔を向けながら話をしています。
 そうか、来年はルーカスお兄様も学園に通うのか。
 アイビー様も学園に一緒に通うという事だし、結構大きな変化になりそうだ。
 それに今は元気だけど、エレノアも病弱だったよな。

「あの、もしかしてこのままで帝国と教皇国の所に行くのですか?」
「「あうー」」
「勿論よ。警備もしっかりしているし、何も問題ないでしょう」
「いえ、そういう事じゃないのですが……」

 先ずは帝国に皆で移動します。
 ルカちゃんとエドちゃんを抱っこしているジンさんが、このまま二人を抱っこしたままの状態で帝国に行くと聞いていた。
 それに対して、ティナおばあさまは帝国と教皇国での警備は万全で、ルカちゃんとエドちゃんを連れて行っても問題ないと答えていた。
 うーん、話が噛み合っていないぞ。
 そもそも、ジンさんがルカちゃんとエドちゃんを抱っこして帝国と教皇国に行くのは確定している事だと、ティナおばあさまだけでなく王妃様やアリア様も考えている様だ。

 という事で、留守番の陛下と王妃様の見送りを受けながら、僕達は帝国に向かいます。
 帝国に向かうのは、アリア様とティナおばあさまにルーカスお兄様とアイビー様、ルーシーお姉様と僕とリズとエレノアとサンディ、それにジンさんとルカちゃんとエドちゃんとミカエルです。
 勿論、近衛兵も護衛につきます。
 僕は帝国の皇城にゲートを繋ぎます。

「「「新年おめでとうございます」」」
「「あうー」」
「おめでとう。おーおー、赤ん坊も挨拶の真似をしておるな」

 僕達の真似をして挨拶をしているルカちゃんとエドちゃんの頭を、皇帝陛下がニコニコしながら撫でています。
 ちなみに皇帝陛下の側にいるルイちゃんとキャサリンちゃんも、皇帝陛下のズボンを掴みながら僕達にペコってお辞儀の真似をしています。
 そしてルイちゃんとキャサリンちゃんは、当たり前の様にジンさんの足に抱きついて行きます。
 あ、あっという間にルイちゃんとキャサリンちゃんが離れていったから、皇帝陛下がちょっと寂しそうな顔をしているよ。

「ほらほら。ジンさんが困っているから、こっちにきましょうね」
「「うぅ」」

 皇妃様がジンさんの足にひっついているルイちゃんとキャサリンちゃんを引き離したけど、ルイちゃんとキャサリンちゃんはだいぶ不満げだ。
 一方のジンさんは、いきなりのルイちゃんとキャサリンちゃんの襲撃を逃れて、ホッと安堵の表情です。
 ともあれ、僕達はソファーに座ります。

「教皇国へはケイリも連れて行ってくれ。ケイリが妊娠していて、母親のシェジェク伯爵が代わりに行っていたからな」
「ええ、その方が良いですわね。教皇様もケイリさんの体調を気にしていましたわ」
「すみません、宜しくお願いします」

 教皇選挙の時は、ケイリさんが妊娠していて代わりにシェジェク伯爵が来ていたんだよね。
 ティナおばあさまも勿論快諾したので、ケイリさんはアンドリューちゃんも連れて教皇国に行きます。
 ちょうどルイちゃんとキャサリンちゃんもお休みタイムの様なので、このまま教皇国の大教会へゲートを繋ぎます。
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