上 下
238 / 878
第十七章 教皇国編

三百六十四話 新たなターゲット?

しおりを挟む
 最後の公式行事の就任式は午前中で全て終わったので、午後は孤児院の代わりになる家の修繕を行います。
 昼食を食べて家に向かうと、そこには多くの人が待っていてくれた。

「俺らも手伝うぞ」
「早く子ども達をこの家に住ませてやらないとな」

 街の人も、孤児院の子ども達の事が気になっている様だ。
 早速、皆で外壁や屋根の補修に入った。
 僕や子ども達は、各部屋の清掃の続きを行います。

 トンカントンカン。

 部屋の中で、トンカチを叩く音が響きます。
 一部の部屋では、床の補修も行っています。
 スラちゃんとプリンとヒカリが何故か木屑も消化してくれるので、ゴミも出なくて経済的です。
 そんな中、僕はティナおばあさまとシスターと共に街のとある場所に向かいます。
 三人で向かったのは、家具屋さん。
 二段ベットやテーブルなどを購入する為です。
 
「いらっしゃい、待っていたぞ」

 話がついているのか、直ぐに店の主人が出迎えてくれた。
 因みに、既に教皇国から家具購入のお金は支払われています。
 僕達は主人の案内で、店の奥に向かいます。
 そこにはテーブルの他に、二段ベッドが三つ並んでいました。
 シスター用のベッドもあります。

「すまんな。残りの二段ベッドは急いで作っているが、明日になりそうだ」
「分かりました。残りの分は、また明日伺います」

 今日も孤児院の人は僕の屋敷に泊まる予定だし、明日になれば二段ベッドも揃うのだから問題はなかった。
 僕はアイテムボックスに、全ての家具を収納した。

「おお、たまげたぞ。こんな大量の家具を一気にしまう事ができるなんて。流石は、双翼の天使様だ」
「ははは……」

 家具屋の主人はかなりびっくりした様で、目から目玉が飛び出しそうなほど驚いていた。
 とりあえず、家に向かわないと。

「アレク君のアイテムボックスには、どのくらいのものが入るのかしら?」
「どのくらいでしょうか? スラちゃんやプリンのアイテムボックスにどのくらい入るかも試した事はないので、今度試してみるのも良いかもしれませんね」

 家に戻る道でティナおばあさまと話をするけど、アイテムボックスにどんな制限があるのだろうか?
 僕自身も興味はあるけど、先ずは目の前の事を片さないとね。

「先ずは何の家具を出しましょうか?」
「では、台所にテーブルと椅子をお願いします」
「分かりました」

 僕はシスターから大体の位置を指定して貰って、アイテムボックスからテーブルと椅子を取り出す。
 微調整は、人の手で行います。
 ついでに、食器棚なども設置します。

 一階の部屋には、ブリットみたいな小さな子どもの二段ベッドとシスター用のベッドを設置します。
 後は二階の部屋に二段ベッドを設置するのだが、まだ床の修繕が終わっていないので後回しにします。
 その間に、街の人から寄付された食器や服などを洗っていきます。
 少しずつ、人が住む為の環境が整ってきた様だ。

 とはいえ、午後から始めたので今日はここまで。
 明日は、朝から続きを行う事にします。
 今日は領地に戻るというので、シェジェク伯爵とクレイモアさんは帝国と共和国に送って行き、一旦残りのメンバーは僕の屋敷に移動します。

「教皇国への滞在も、明日で終わりですね」
「そうね。色々とあったけど、何とか収まったわね」

 今日も辺境伯様の屋敷に移動して、皆で夕食です。
 気になるのはアホスタイル枢機卿の出身地だけど、他国の事だからあまり手出しはできない。
 ヤークス新教皇に、懐古派への対策を頑張ってもらうしかないだろう。

「おお、そういえば本日付けで全貴族にルーカス殿下と聖女様の婚約の件が周知されたぞ。ここにいる人が、教皇国から勲章を授与された事も併せて周知された」
「となると、またアホな貴族の動きには注意しないといけませんね」
「うむ。残念な事に、アホな貴族はいくらでも生まれてくる。当面は、婚約者のいないルーシー殿下にアプローチをしてくるものが増えるだろう」
「それは、嫌だな……」

 辺境伯様の指摘に、ルーシーお姉様がゲンナリとした表情をしている。
 そっか、ミカエルもブリットという有力な婚約者候補がいるから、明確に相手がいないのはルーシーお姉様だけなんだ。
 アホな貴族からルーシーお姉様へのアプローチが増える可能性は、かなり高い気がするな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。