184 / 934
第十七章 教皇国編
三百四十三話 大教会前での炊き出し
しおりを挟む
皇都に来て三日目の朝。
今日は朝から大人数を呼ぶので、僕は大忙しだ。
先ずは王城からルーカスお兄様達を迎えに行くのだが、何故かこの人も参加する事に。
「教皇国も久々ね。今日は子ども達の良いところが見られそうね」
「ははは……」
ルーカスお兄様が空笑いするのも仕方ない。
同行者は王妃様なのだからだ。
赤ちゃんは、アリア様が面倒をみているそうだ。
そして、帝国にリルムを迎えにいったら、帝国もこの人が参加する事になった。
「我が子の良い所を見ないといけませんわね」
そう、今度は皇妃様がついてきたのだ。
双子ちゃんはケイリさんがみているそうだ。
「リズちゃん! エレノアちゃん!」
「「リルムちゃん!」」
仲良しの三人は、再会を喜んでいた。
実はちょこちょこと会っているから、久しぶりではないんだよね。
「うーん、これは中々壮観ですな」
ポニさん達と研究員を連れて来るために辺境伯領に向かったら辺境伯様も来ると言ったので、一緒に連れてきたのだ。
大教会の庭では、教皇様と王妃様と皇妃様とティナおばあさまが談笑していた。
うん、何故トップの集まる井戸端会議にジンさんも巻き込まれているかは不明だ。
僕に向かって助けてって表情をしているけど、僕はあの人達に物を申すのは無理です。
先ずは大教会の前で炊き出しと治療の準備をするのだが、待っている街の人が物凄い数だ。
「聖女様がいらっしゃる」
「双翼の天使様もいるぞ」
「華の騎士様もいるわ」
「導く者様もいるなあ」
主に僕達の事を指差してキャーキャー言っている。
僕達が皇都に来た時の、サイクロプス討伐の影響が物凄くありそうだ。
「こりゃ相当の量の食材を切らないといけないな」
「腕が痛くなりそうですね」
大量の食材を刻んでいる僕とジンさんを他所に、治療班は早速市民に治療を始めている。
治療ができる人が多いので、何とかまわっている様だな。
因みに今回はスラちゃんも護衛に回っているので、近衛騎士のノエルさんが魔法を使って野菜を切ってくれている。
「ヒヒーン」
「うわ、何だ!」
「縛られて動けないぞ!」
そして、今日もポニさん達とスラちゃん達は大活躍。
次から次へと、不審者を捕まえている。
アマリリスによって、ぐるぐる巻きに拘束されているのもいる。
本当にゴキブリホイホイみたいに不審者が取れるなあ。
「くそ!」
「えーい」
「ぐっはー」
並んでいて捕まるのも時間の問題になった不審者は、刃物を持って治療班に突っ込んでいく。
でも、刃物を掴んで走り出した瞬間に、リズによって魔法で吹き飛ばされたけどね。
「えーっと、あのフードを深めに被った人も不審者です」
「はい、直ぐに向かいます」
僕も野菜を切りつつ、探索で辺りを警戒します。
僕の側にいる聖騎士に、こっそりと不審者のいる位置を指示していく。
「リルムちゃん、魔力大丈夫?」
「まだまだ大丈夫だよ!」
治療班も沢山の人を治療しているけど、魔力はまだまだ大丈夫の様だ。
リルムも順調に魔力が伸びている様だな。
「魔法で治りませんでしたね。では、この生薬をお使い下さい」
「はい、ありがとうございます」
「へえ、この様に魔法と生薬を併用しているのね」
研究者も治療班に混じって住民の治療を行っています。
研究者の様子を皇妃様が興味深そうに見ています。
帝国も、生薬の研究が始まったばかりって言っていたもんね。
「くそう、ヤケクソだ!」
「危ない、全員警戒を」
と、ここで不審者がまたもや手榴弾の様な魔道具を投げてきた。
が、すかさず蹴り返したものがいた。
「ヒヒーン」
「ブッチー!」
「マジかよ! ぐへえ」
そう、ブッチーが魔導具が発動する前に人のいない方角へ蹴り飛ばしたのだ。
不審者はまさかの事態にびっくりしている。
あ、不審者はアマリリスの電撃でノックアウトした様だ。
「「「ギシャー!」」」
教会の敷地の隅っこで現れたのは、ゴブリン五十体。
うーん、こんな雑魚で僕達に対抗するとは。
もしかしたら、懐古派は持っている魔導具が少なくなっているのかもしれないな。
どうしようかと思っていたら、王妃様と皇妃様とティナおばあさまがすくっと立ち上がった。
「暇だったし、ちょうどいい運動相手が出ましたね」
「子どもの前なので、少しはカッコいい所を見せないと」
「ちょっと雑魚ですが、退屈しのぎには良いでしょうね」
ティナおばあさまはいつものレイピアだったけど、王妃様は両手に鞭を構えていて皇妃様はごっついハルバートを持っている。
そして、三人による一方的な殲滅戦が始まった。
「はいはいはいはい、遅いわよ!」
王妃様は両手に持った鞭を振り回し、複数のゴブリンを屠っていく。
王妃様、この鞭を陛下に向けてはいないよね?
「うおー、喰らいなさい!」
皇妃様はハルバートをブンブン振り回して、一撃で複数のゴブリンを屠っていく。
すげー、正しく戦乙女って感じだよ。
「せい、はあ!」
二人がとても派手に戦うから、ティナおばあさまの剣撃がとても地味に見えている。
そして僅か数分で、五十体のゴブリンは殲滅されたのだった。
「うおー! 両国の妃様はこんなにも強いのか」
「国を武力でも支えているのか!」
三人が一瞬でゴブリンを殲滅したのを見て、住民はとても盛り上がっている。
当の本人達は、あっという間に戦いが終わってしまったので、かなり不満そうだ。
「ジンさん、王妃様と皇妃様の戦いをどう見ますか?」
「余裕で戦っていたなあ。本気を出したら、どれほどの強さか分からないなあ」
「ですよね」
僕とジンさんはお互い顔を見合わせて、思わず苦笑していた。
炊き出しももう直ぐで終了。
無事に終わるかなと思ったら、終わらなかった。
今日は朝から大人数を呼ぶので、僕は大忙しだ。
先ずは王城からルーカスお兄様達を迎えに行くのだが、何故かこの人も参加する事に。
「教皇国も久々ね。今日は子ども達の良いところが見られそうね」
「ははは……」
ルーカスお兄様が空笑いするのも仕方ない。
同行者は王妃様なのだからだ。
赤ちゃんは、アリア様が面倒をみているそうだ。
そして、帝国にリルムを迎えにいったら、帝国もこの人が参加する事になった。
「我が子の良い所を見ないといけませんわね」
そう、今度は皇妃様がついてきたのだ。
双子ちゃんはケイリさんがみているそうだ。
「リズちゃん! エレノアちゃん!」
「「リルムちゃん!」」
仲良しの三人は、再会を喜んでいた。
実はちょこちょこと会っているから、久しぶりではないんだよね。
「うーん、これは中々壮観ですな」
ポニさん達と研究員を連れて来るために辺境伯領に向かったら辺境伯様も来ると言ったので、一緒に連れてきたのだ。
大教会の庭では、教皇様と王妃様と皇妃様とティナおばあさまが談笑していた。
うん、何故トップの集まる井戸端会議にジンさんも巻き込まれているかは不明だ。
僕に向かって助けてって表情をしているけど、僕はあの人達に物を申すのは無理です。
先ずは大教会の前で炊き出しと治療の準備をするのだが、待っている街の人が物凄い数だ。
「聖女様がいらっしゃる」
「双翼の天使様もいるぞ」
「華の騎士様もいるわ」
「導く者様もいるなあ」
主に僕達の事を指差してキャーキャー言っている。
僕達が皇都に来た時の、サイクロプス討伐の影響が物凄くありそうだ。
「こりゃ相当の量の食材を切らないといけないな」
「腕が痛くなりそうですね」
大量の食材を刻んでいる僕とジンさんを他所に、治療班は早速市民に治療を始めている。
治療ができる人が多いので、何とかまわっている様だな。
因みに今回はスラちゃんも護衛に回っているので、近衛騎士のノエルさんが魔法を使って野菜を切ってくれている。
「ヒヒーン」
「うわ、何だ!」
「縛られて動けないぞ!」
そして、今日もポニさん達とスラちゃん達は大活躍。
次から次へと、不審者を捕まえている。
アマリリスによって、ぐるぐる巻きに拘束されているのもいる。
本当にゴキブリホイホイみたいに不審者が取れるなあ。
「くそ!」
「えーい」
「ぐっはー」
並んでいて捕まるのも時間の問題になった不審者は、刃物を持って治療班に突っ込んでいく。
でも、刃物を掴んで走り出した瞬間に、リズによって魔法で吹き飛ばされたけどね。
「えーっと、あのフードを深めに被った人も不審者です」
「はい、直ぐに向かいます」
僕も野菜を切りつつ、探索で辺りを警戒します。
僕の側にいる聖騎士に、こっそりと不審者のいる位置を指示していく。
「リルムちゃん、魔力大丈夫?」
「まだまだ大丈夫だよ!」
治療班も沢山の人を治療しているけど、魔力はまだまだ大丈夫の様だ。
リルムも順調に魔力が伸びている様だな。
「魔法で治りませんでしたね。では、この生薬をお使い下さい」
「はい、ありがとうございます」
「へえ、この様に魔法と生薬を併用しているのね」
研究者も治療班に混じって住民の治療を行っています。
研究者の様子を皇妃様が興味深そうに見ています。
帝国も、生薬の研究が始まったばかりって言っていたもんね。
「くそう、ヤケクソだ!」
「危ない、全員警戒を」
と、ここで不審者がまたもや手榴弾の様な魔道具を投げてきた。
が、すかさず蹴り返したものがいた。
「ヒヒーン」
「ブッチー!」
「マジかよ! ぐへえ」
そう、ブッチーが魔導具が発動する前に人のいない方角へ蹴り飛ばしたのだ。
不審者はまさかの事態にびっくりしている。
あ、不審者はアマリリスの電撃でノックアウトした様だ。
「「「ギシャー!」」」
教会の敷地の隅っこで現れたのは、ゴブリン五十体。
うーん、こんな雑魚で僕達に対抗するとは。
もしかしたら、懐古派は持っている魔導具が少なくなっているのかもしれないな。
どうしようかと思っていたら、王妃様と皇妃様とティナおばあさまがすくっと立ち上がった。
「暇だったし、ちょうどいい運動相手が出ましたね」
「子どもの前なので、少しはカッコいい所を見せないと」
「ちょっと雑魚ですが、退屈しのぎには良いでしょうね」
ティナおばあさまはいつものレイピアだったけど、王妃様は両手に鞭を構えていて皇妃様はごっついハルバートを持っている。
そして、三人による一方的な殲滅戦が始まった。
「はいはいはいはい、遅いわよ!」
王妃様は両手に持った鞭を振り回し、複数のゴブリンを屠っていく。
王妃様、この鞭を陛下に向けてはいないよね?
「うおー、喰らいなさい!」
皇妃様はハルバートをブンブン振り回して、一撃で複数のゴブリンを屠っていく。
すげー、正しく戦乙女って感じだよ。
「せい、はあ!」
二人がとても派手に戦うから、ティナおばあさまの剣撃がとても地味に見えている。
そして僅か数分で、五十体のゴブリンは殲滅されたのだった。
「うおー! 両国の妃様はこんなにも強いのか」
「国を武力でも支えているのか!」
三人が一瞬でゴブリンを殲滅したのを見て、住民はとても盛り上がっている。
当の本人達は、あっという間に戦いが終わってしまったので、かなり不満そうだ。
「ジンさん、王妃様と皇妃様の戦いをどう見ますか?」
「余裕で戦っていたなあ。本気を出したら、どれほどの強さか分からないなあ」
「ですよね」
僕とジンさんはお互い顔を見合わせて、思わず苦笑していた。
炊き出しももう直ぐで終了。
無事に終わるかなと思ったら、終わらなかった。
458
お気に入りに追加
8,861
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄の場に相手がいなかった件について
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵令息であるアダルベルトは、とある夜会で婚約者の伯爵令嬢クラウディアとの婚約破棄を宣言する。しかし、その夜会にクラウディアの姿はなかった。
断罪イベントの夜会に婚約者を迎えに来ないというパターンがあるので、では行かなければいいと思って書いたら、人徳あふれるヒロイン(不在)が誕生しました。
カクヨムにも公開しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。