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第十六章 聖女様出迎え編

三百四話 急遽卒業式に参加

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 カレン様が動ける様にリハビリ中なので、元々カレン様と予定されていたイベントが中止になっている。
 だからといって暇になる訳でもなく、今日は別の公務が舞い込んできた。

「元々ルーシーお姉様とエレノアが行く事になっていたので、僕まで参加しなくても良い気がするのですが」
「えー、折角だから一緒にいようよ!」
「そうだよ!」

 僕は馬車の中でルーシーお姉様とエレノアに愚痴をこぼしています。
 今日は王立学園の卒園式。
 僕の予定が空いたので、急遽来賓として参加する事になりました。
 ルーシーお姉様とエレノアは、元々卒園式に参加予定だったので一緒の馬車に乗っています。
 因みにリズとサンディは、ルーカスお兄様とアイビー様と共に入園式の方に来賓として参加する予定です。
 
「大人の王族が誰も参加していないけど、大丈夫なのかな?」
「大丈夫じゃないかな? アレク君がいるし」
「そうそう」
「うーん、卒業生代表もマイク様だし何とかなるかなあ」

 とりあえずどうにかなると期待して、僕達の乗った馬車は学園に到着しました。

「聖女様の襲撃事件の事は私も聞いているよ」
「アレク君も大変だったね」
「本当に大変でしたよ……」

 僕達を出迎えてくれたのは、エマさんとオリビアさんだった。
 そっか、二人も生徒会に入ったって言っていたよね。
 知っている人が出迎えてくれたので、僕もルーシーお姉様もエレノアもホッとしていた。
 そのまま体育館のステージ横にある控室まで案内してくれた。

「皆様、卒園式に出席頂き有難う御座います」

 控室では、セシルさんが僕達の担当としてついてくれた。
 マイク様は生徒会長というのもあって、相当忙しいという。
 挨拶は別のタイミングにしておこう。

「本日ですが、来賓紹介の後に来賓代表挨拶をアレク君にして頂きます」
「え? ルーシーお姉様かエレノアではないのですか?」
「アレク君の入学式での挨拶が好評でしたので、今回も是非アレク君にという事になりました」
「「良かった……」」

 ルーシーお姉様とエレノアは、自分が挨拶しなくなってホッとしていた。
 僕としても入園式はいきなり挨拶となったので、まだ余裕があるだけ良いとしておこう。
 因みに着替えは既に終わっているので、後は卒園式が始まるまではやる事がなくなった。

「セシルさん、卒園式が始まるまで辺境伯様とマロード男爵に挨拶をしてきても良いですか?」
「ええ、大丈夫ですよ。アナウンスがありましたら、席に戻って下さいね」
「はい、分かりました」
「あ、私も挨拶に行きますね」
「エレノアも挨拶に行くよ」

 という事で、皆で保護者席にいる辺境伯様とマロード男爵の所に挨拶に行きます。
 ちょうど隣同士でいたので、まとめて挨拶ができそうだ。

「辺境伯様、マロード男爵様、マイク様とセシルさんの卒園おめでとうございます」
「「おめでとうございます」」
「おお、アレク君か。わざわざ来てくれて有難う」
「ルーシー様とエレノア様もわざわざ挨拶に来て頂き有難う御座います」

 王族の衣装を着た三人の子どもが突然保護者席にやってきたので、周りは何だろうと思って少しザワザワしていた。
 だけど、入園式で僕の事を見た保護者がいたらしく、また辺境伯様とマロード男爵に挨拶をしたら直ぐに騒ぎはおさまっていった。
 あ、マロード男爵に相談があったんだ。
 ついでだから、マロード男爵に聞いてみよう。

「マロード男爵様、実は聖女様が療養の為にマロード男爵領の温泉を利用したいと申しております」
「何? 聖女様が、我が領地の温泉に来られるだと?」

 そうなのだ、カレン様の希望で温泉で湯治をする事になったのだ。
 だからといって、大々的に何かをする予定はない。

「聖女様は出迎えとかは不要と言っております。以前私達が宿泊した宿で二、三日滞在できれば良いそうです」
「成程、普通の温泉利用客として扱って欲しいのですね。分かりました、念の為に警備はつける様にしておきます」
「よろしくお願いします」

 僕達も一緒に宿泊するけど、念の為に警備はお願いしておこう。
 さて、もうそろそろ開始時間の様なので席に戻らないと。
 僕達は急いで壇上の用意された席に戻っていった。
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