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第十五章 再びの貴族主義派の不正

二百七十二話 新年の挨拶と評価爆上がりのジンさん

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 ドタバタの年末も無事に終わり、新たな年が始まります。
 昨年は本当に色々あったけど、今年はどんな年になるかな?

「新年、おめでとう!」
「「「おめでとう!」」」

 新年初めは、いつも通りに辺境伯様の屋敷で新年の挨拶をします。
 新顔としてサンディも初めて参加します。

「いやあ、一時はどうなるかと思ったけど、無事に辺境伯領に到着して良かったな」
「辺境伯様にも、色々ご心配をおかけしました」
「当分はこちらにおりますので」

 そして、妊娠が発覚して王都にいたレイナさんとカミラさんも年末に辺境伯領に戻ってきた。
 ちなみにレイナさんとカミラさんの花嫁修行は継続中で、出産までは辺境伯様の屋敷の侍従が講師だったり僕の屋敷で赤ちゃんや子どもの世話を勉強するそうです。
 それでも実家の親の目からようやく逃れることができて、レイナさんとカミラさんもほっとしているそうです。

「しかし、今年はどこも出産ラッシュだな。我が家もそうだし、王家も赤ちゃんが生まれるし、ジンの所も三人とも出産か。子沢山で何よりだな」
「王妃様とアリア様の所はもう臨月ですし、ソフィア様も夏前で、ジンさんの所も秋前ですね」
「どんな赤ちゃんが生まれるか、とっても楽しみ!」

 僕の屋敷には侍従のお姉さんの赤ちゃんがいるけど、ミカエルもいるから本当に賑やかなんだよね。
 今年赤ちゃんが生まれる所は、一気に賑やかになりそうだね。
 
 辺境伯様への挨拶も終わったので、今度は王城に向かいます。
 サンディだけじゃなく、ジンさんも引き連れて行く事に。
 ジンさんは何で俺までって顔をしているけど、王族の皆さんからの要望です。

「おお、皆きたか。新年おめでとう」
「「「おめでとう御座います!」」」

 王城に着いて直ぐに皆が集まっている部屋に案内されました。
 王妃様とアリア様は臨月ってのもあるから、お腹がとても大きいなあ。
 時々リズやサンディにエレノアが王妃様とアリア様のお腹の音を聞いているよ。
 
「わあ、ぽこぽこしているよ」
「赤ちゃん元気だね!」
「そうね、赤ちゃんも皆に会えるのが楽しみなんだよ」
 
 アリア様のお腹に手を当てて、リズとエレノアがニコニコしているよ。
 何だかとってもほのぼのとした光景だなあ。
 とは言え、次の予定もあるので直ぐに動く事に。

「ジンさん、次の所に行きますよ」
「次って、一体どこだ?」
「帝国の皇族の方に挨拶に行きます」
「はっ?」

 ジンさんが僕の事をお前何言ってるんだって表情で見ているけど、こっちが今日のメインイベントです。
 そういえばアイビー様とサンディも初めて帝国に行くんだっけ。
 ちょうど良いから纏めて紹介しておこう。
 という事で、早速帝国の皇城にゲートを繋ぎます。
 参加者は僕とエレノアとリズとサンディ、それにティナおばあさまとルーカスお兄様にアイビー様。
 それとルーシーお姉様にジンさんです。

「なあ、俺がこの面子にいて良いのか?」
「良いに決まってますよ。ジンさんなら何も問題ないです」

 皇城に皆と一緒に到着したジンさんは、凄くソワソワし始めている。
 初めての場所だし仕方ないよね。

「アレク君、来たか。新年おめでとう」
「おめでとう御座います、皇帝陛下」

 王族のプライベートスペースに案内されると、早速皇帝陛下が挨拶をしてくれた。
 
「「あうー」」
「ルイちゃん、キャサリンちゃん。お客さんきたよ」

 部屋の中では、昨年生まれたルイちゃんとキャサリンちゃんが元気よくハイハイをしていた。
 そんな二人に声をかけるリルムも、随分とお姉ちゃんになったなあ。

「今日は新しいお客さんもいるのね」
「はい、ルーカスお兄様の婚約者のアイビー様、我が家で一緒に暮らしているロンカーク伯爵家当主のサンディ、そして僕の冒険者の師匠でAランク冒険者でもあり宰相と閣僚の娘さんやお孫さんを嫁に貰ったジンさんです」
「あらあら、皆凄い方なのね」

 皇妃様から皆の事を質問されたので、うまく紹介できたと思う。
 だけど、ジンさんはちょっと不満そうだ。

「おい、アレク。俺の紹介が何だか凄い事になっているぞ!」
「え? 何か間違っていましたか?」
「俺の事は控え目に紹介してくれ」
「分かりました」

 という事で、ジンさんはもう一回紹介する事に。

「えっと、僕の事を呼び捨てで呼ぶ二人の内の一人です。もう一人は国王陛下です」
「「「おお!」」」
「おいアレク、それじゃ俺が陛下と同等と同じ様な言い方だぞ!」

 我ながら上手く説明出来たと思うし、皆納得してくれたよ。
 ここにいる時点で、ジンさんには諦めて貰わないと。
 そして、一つ気になった事が。

「ケイリさん、ご懐妊ですか?」
「はい、安定期を迎えました。秋前には出産予定です」
「おお、ケイリさんおめでとう!」

 リズも思わず大喜びだ。
 ケイリさんにも赤ちゃんができたんだ。

「リルムはまたお姉ちゃんになるね」
「そうなの。でも、赤ちゃんはいっぱい可愛がるよ!」

 双子の赤ちゃんのお姉ちゃんになったリルムは、更にお姉ちゃんになるのでとってもワクワクしていた。
 リルムは双子も可愛がっているからなあ。

「そして、ジンは何をしているのかな?」
「ティナ様、俺も分からないです。抱っこしてと、両足に抱きつかれました……」
「「キャッキャ!」」
「「「いーなぁー」」」

 何故かジンさんはルイちゃんとキャサリンちゃんを両腕で抱いていた。
 未来の皇帝陛下を抱っこしている事に、ジンさんは訳がわからなくなっていた。
 リズ達はジンさんに双子ちゃんを取られて羨ましがっていた。

「おお、ジン殿は中々の傑物だな。ルイとキャサリンは、家族以外では気に入った者にしか抱っこをせがまないぞ」
「本当ですわね、流石はアレク君のお師匠様ね」
「勘弁してください……」
「「キャッキャ!」」

 未だに楽しそうにジンさんに楽しそうに抱きついている双子ちゃんを見て、皇帝陛下と皇妃様が感心していた。
 ジンさんはとっても残念なお顔になっているよ。
 と、ここで皇帝陛下がティナおばあさまに荷物を預けた。

「ティナ様、王妃様と妹の出産が近いのでささやかながら我が国からの贈呈品となります」
「まあまあ、わざわざありがとうございます。改めてお礼をいたしますわ」

 僕達も既に王妃様とアリア様に贈り物をしたけど、皇帝陛下にとっても自分の妹の子どもだから嬉しいよね。
 ニコニコしながらティナおばあさまに贈り物を渡していた。

「「すー、すー」」
「あの、しがみついて離れないのですが……」
「あらあら、二人とも気持ちよさそうに寝ているわね。よっぽど抱っこが気持ちよかったのかな?」
「ははは。ジン殿、これは凄いな。初めて会った人に抱っこをせがむばかりか寝てしまうとは」
「あはは……」

 そしてジンさんは双子ちゃんが抱っこしたまま寝てしまったので、皇妃様を見ながらとってもあたふたしていた。
 いずれにせよ、ジンさんは未来の皇帝陛下に好かれてしまい、帝国皇族から一目置かれる存在となってしまったのだった。
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