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第十五章 再びの貴族主義派の不正

二百七十一話 ようやく一息ついて

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「にーに、ねーね」
「「「疲れた……」」」
「?」

 年末ももうすぐのとある日、僕とリズとサンディはソファーでぐったりとしながら座っていました。
 そんな僕達の様子を、ミカエルが不思議そうに見つめています。
 結局ナシュア子爵領とアホラ子爵領の対応で思ったよりも時間がかかり、一週間かかりました。
 スラちゃんとプリンはアイテムボックスを使っての運搬役だったので、僕達とは基本的に別行動だった。
 僕は官僚の移動でタクシー状態だったし、リズとサンディもアホラ子爵領での住民への治療対応で大忙しだった。
 ナシュア子爵領だけだったらこんなに時間はかからないので、如何にアホラ子爵領がダメダメだったかを痛感しました。
 そして、昨日の夜になって僕達はようやく解放されたのだった。
 因みにスラちゃんとプリンは侍従のお姉さんの赤ちゃんの所に遊びに行っていますが、僕達は流石に疲れてヘロヘロです。

「ほら、アレク君もリズちゃんもサンディちゃんも、疲れているなら少し休みなさい」
「「「はーい」」」

 僕達の様子を見に来てくれたソフィアさんに促されて、僕達は昼食まで仮眠する事に。
 ソフィアさんも段々とお腹が大きくなってきたので、妊婦さんって実感がでてきた。
 僕の部屋に集まって、ミカエルも一緒に寝る事にしたのだった。

「ある意味ベストール侯爵家が今まで重しになっていたのが、無くなった途端に色々な事が噴き出したからだろう」
「どうして貴族主義の連中は、ここまで自分勝手なのでしょうか?」
「貴族主義の連中にとっては贅沢するのが当たり前だから、寧ろ私達の方がおかしいと思っているだろうね」

 辺境伯様は年末も忙しいと言うので、僕はお昼寝から起きると挨拶も兼ねて会いに行った。
 議題はお互いに迷惑を被った貴族主義の連中の件だけどね。

「年明けには王妃様とアリア様が出産なされる。更には聖女様もやってくるとなると、今年以上に警戒しないとならないな」
「ここぞとばかりに何かをしでかす可能性もありますね」
「闇ギルドもやり方を変えてきた。今は誰が何をするかも分からないから、警備も難しくなってきたよ」

 確かに今までは闇ギルドが直接手を出してくるパターンが多かったけど、間接的な関与が増えてきたんだよな。
 薬や怪しい魔導具とか、まるでビジネスみたいにやっているよね。

「はいはい、難しいお話はそれくらいにしましょうね」
「お兄ちゃん、今日はお鍋だよ!」
「チセさんも一緒に参加するとの事ですよ」

 僕と辺境伯様が話をしていた応接室に、イザベラ様とリズとサンディが顔を見せていた。
 スラちゃんとプリンもリズとサンディに抱かれて一緒にいる。
 特にリズとスラちゃんとプリンは、お腹が空いてお鍋が待ちきれない様だぞ。

「今日はこの辺りにしておくか」
「そうですね。腹ペコが沢山いるみたいですから」

 僕と辺境伯様は苦笑しながら席を立った。
 今日は大勢いるから、ちょうど鍋は良いのかもしれないな。
 特にうちの面々はマロード男爵領の温泉に行ってから、鍋が大好きになったんだよな。
 そんな事を考えながら、僕は皆の後をついていったのだった。
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