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第十四章 五歳の祝いとマロード温泉

二百三十九話 みんなで温泉

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 皆も水着に着替え終わったので、いざ温泉へ。

「「わー、広い!」」

 女性陣で温泉に一番乗りをしたリズとエレノアが、目の前に広がる温泉を見てびっくり。

「凄い、こんなに広いんだ」
「そうでしょう。ここの温泉はとても広くて、しかもとっても体にいいのよ」

 ティナおばあさまも太鼓判の温泉は、プールみたいにとっても広いのだ。
 少し白っぽい泉質だけど、温泉の匂いもしている。
 一緒に出てきた女性陣も、思わず感嘆のため息を漏らしていた。
 因みに女性陣は全員ビキニを着ている。
 リズ達を除くと全員スタイル抜群だから、温泉に入りにきている男性の視線を集めていた。
 うん、全員おじいちゃんで良かったよ。
 そして、体を洗う所には先に来ていたルーカスお兄様とジンさんに男性の近衛騎士がいた。
 早速といった感じで、ルーカスお兄様の所にアイビー様が突撃していく。

「ルーカス様、お背中をお流しいたしますわ」
「うーん。折角だからお願いしようかな?」
「お任せください!」

 うーん、なんだろう十歳にしてこのラブラブ夫婦の雰囲気は。
 お互いにニコニコしながら背中流して貰っている。
 お隣のラブラブを羨ましそうに見ていたジンさんは、こちらを向いてきた。

「レイナ、カミラ……」
「「無理!」
「そ、そんな……」

 ジンさんが全てを言い終える前に、少し顔が赤いレイナさんとカミラさんにバッサリと切り捨てられた。
 とほほと落ち込みながら、ジンさんは一人で体を洗い始めた。

「お兄ちゃん、頭洗って!」
「はいはい。リズは髪の毛が短いのだから、一人で洗える様にならないとね」
「まだ無理!」

 僕はいつも通りにリズの頭を洗って、それから体を洗います。
 リズの体についた泡を流すと、今度はエレノアの頭と体を流します。
 そして、ルーシーお姉様の体を流し終えた時、不満気にしているジェリルさんとランカーさんと冒険者のお姉さん達が僕の後ろに立っていた。

「また、殿下一人で他の殿下のお世話をしています」
「私達の仕事を取らないで下さいよ」
「あ、いつもの感覚でやっていました……」

 さっきの着替えの時も僕がリズ達の事を手伝ってしまったのに、またもや僕がリズ達の体を洗ってしまったのだ。
 わきわきとしたお姉さん達に、僕は囲まれてしまう。
 えっと、ティナおばあさまとレイナさんとカミラは、もう温泉に入っているよ!

「なら、私達が殿下のお世話をするまでですね!」
「えー!」

 僕は五人の女性に囲まれて体を洗われてしまった。
 うん、とっても気持ちいいけどとっても落ち着かない。
 ちらりと温泉の方を見ると、ルーカスお兄様とジンさんが僕の事を気の毒な目で見ていた。
 勿論、見ているだけで助けに来てくれなかった。

「ははは、流石はハーレムキングだな」
「うう、その二つ名は勘弁して下さい……」

 温泉に入ると、早速ジンさんが絡んできた。
 因みにジェリルさんとランカーさんと冒険者のお姉さん達は、良い仕事をしてとっても良い表情をしながら温泉に浸かっていた。

「お兄ちゃん、温泉気持ちいいね」
「そうだね、ゆっくり温まりな」
「うん!」

 リズは温泉が相当気に入ったのか、気持ち良さそうな顔をして湯船に浸かっていた。
 リズの頭にはスラちゃんもちょこんと乗っている。
 因みにプリンとアマリリスは、桶に温泉を入れてもらって気持ちよさそうにしていた。
 と、ここでまさかの知り合いが登場。

「あら、皆もこの温泉宿に泊まったのね」
「あ、おばちゃん!」

 マロード男爵領への乗合馬車でも一緒だった、薬草採取で一緒になるおばちゃん一家だった。
 しかし、おばちゃん凄いよ。
 この温泉にいる全員の中で、一番際どい水着を着ている。

「この温泉は一見様お断りだし、マナーが悪い奴も追い出すんだよ」
「そうなんだ」
「私も前にここに来た事がある人と来ましたよ。そうでなければ私でも宿泊は駄目でしたわ」
「え! おばあちゃんでも無理なんだ!」

 おばちゃんとティナおばあさまの発言にリズはびっくりしていたけど、そりゃこれだけ良い温泉だから荒らされるのは嫌だよね。
 うん?
 少し嫌な予感がするぞ。

「ティアおばあさま、確かこの温泉街に貴族主義の貴族が来ているらしいですけど」
「ああ、ムノー子爵ね。宿のおかみさんに聞いたら、貴族用の一番高い宿に泊まったそうよ」
「ほっ、それは良かった」

 貴族主義の貴族だったら、宿のルールなんか絶対に無視しそう。
 僕達が泊まったタイミングで、問題を起こして欲しくないなあ。
 さて、十分体も温まったしそろそろ温泉から出るか。

 ザパン。
 ザパン。

「え? なんでお姉さんも温泉から上がるの?」
「勿論、殿下のお着替えをお手伝いするためですわ」
「えー!」

 僕が温泉から上がったら、ジェリルさんとランカーさんに加えて冒険者のお姉さん達も温泉から上がってきた。
 いやいや、僕は一人で着替えが出来ますから!

「ははは、アレク諦めな。あたしもさっき息子を着替えさせていたんだ」
「いやいや、僕はもう五歳ですよ」
「あたしの息子も五歳だ。親から見たら、子どもなんていくつになってもガキだよ」

 更におばさんからも追撃を受けてしまった。
 結局、僕はまたもやお姉さん達に着替えを手伝って貰う事になったのだった。
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