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第十四章 五歳の祝いとマロード温泉

二百二十八話 五歳の祝い

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 儀式を始める前に、僕達も白いローブみたいな服を着た。
 どうも儀式を受けるために、この服を着ないといけない様だ。
 そして全員が白いローブを着て座った所で、儀式が始まった。

「神よ、女神よ。神のご加護により、こうして多くの子どもが成長する事ができ感謝いたします。今ここにこの世に生を受け五年の月日を無事に過ごしてきた子ども達にどうか祝福を」

 司祭様が僕達の成長を神や女神さまに報告し、そして祝福を受けられるように祈願していた。
 そして、僕達の座っている所にシスターがやってきて、一人ひとり司祭様の前に行くように言われた。
 何故か僕が最初に行く事になり、司祭様の元に歩いて向かう。
 司祭様の前に立つと、司祭様はニコリと笑って僕の頭の上に手を置いた。

「神よ女神よ。この者にどうか祝福を与えよ」

 司祭様の言葉が終わると、僕は席に戻った。
 そして、リズが続いて行って順々に司祭様が僕達に神様と女神様の祝福を与えていく。
 その間、子ども達も後ろにいる大人たちも真剣に儀式を見ていた。
 中には涙ぐんでいる大人もいる。
 きっと子どもが無事に成長したことが嬉しいのだろう。
 順々に祝福をあたえていく姿を、大人達は感慨深く見ていた。

 一通り司祭様からの祝福が終わると、今度はシスターが子ども達に花を一輪配っていく。
 子ども達は、色とりどりの花を手に取って他の子どもとも話していく。

「さあ、ご両親に有難うってお花をあげましょうね」
「「「はーい」」」

 シスターが子ども達に声をかけると、子ども達は一斉に親や保護者の元に駆け寄っていく。
 僕達も勿論ティナおばあさまの所に歩み寄って……、リズはスラちゃんと共に思いっきりダッシュしていった。

「おばあちゃん、今まで有難う!」
「リズちゃんこそ、無事に大きくなってくれて有難うね」

 リズはティナおばあさまにお花を渡してぎゅっと抱きついていた。
 何故かスラちゃんもお花を貰っていて、ティナおばあさまにお花をあげている。
 僕達もティナおばあさまの側に行って、皆でお花をあげた。
 プリンもスラちゃんと同じくお花をあげている。
 
「ティナおばあさま、僕からも有難うです」
「私も有難うなの」
「ティナ様、私も有難う御座います」
「あらあら、皆有難うね。エレノアは後でお母さんにもお花をあげないとね」

 皆でティナおばあさまにお花をあげてぎゅーっとしている。
 ティナおばあさまも少し涙目になって、僕達の事を抱きしめていた。
 ちらりと他の人を見ると、恥ずかしそうにお花を渡している男の子や、リズと同じ様に思いっきりダッシュしていく女の子もいた。
 この儀式のハイライトと言うべき光景で、司祭様とシスターも拍手をしながら祝福してくれた。

「さあ、この後はみんなが待ちに待ったパーティですよ」
「「「やったー!」」」

 全員が両親や保護者に花を配り終わったタイミングを見計らって、シスターが子ども達に話しかけた。
 勿論子ども達のテンションは上がり、中には飛び跳ねて喜んでいる子もいる。

「さあアレク様、ゲートの準備を」
「はい」

 司祭様に促されて、僕は辺境伯様の屋敷前にゲートを繋ぐ。

「おお、すげー!」
「魔法だ! すごいすごい!」
「じゃあ、リズが一番」
「エレノア二番」
「あ、僕も行く!」
「わたしもわたしも!」

 僕のゲートを見た子ども達は、目の前に現れた空間魔法に大興奮。
 リズとエレノアがゲートをくぐるのを見ると、子ども達もドンドンとゲートを潜っていく。
 因みに今子ども達がきている白いローブみたいなのは、全員持ち帰る事になる。
 流石に汚れちゃうので、食事前には脱ぐけどね。

「お、やっと出てきたか」
「皆待ってたわよ」

 大人も司祭様もシスターもゲートを通り抜けて最後に僕がゲートをくぐって辺境伯様の屋敷の前に出ると、そこには街の人々が沢山待っていてくれた。
 商店街の人や兵や冒険者も集まっている。
 皆、僕達におめでとうって言ってくれている。
 いつもの年なら教会から辺境伯様の屋敷まで歩いていくので、街の人に祝福されながら行進するという。
 今年は闇ギルドとかの警戒の為に僕のゲートを使ったけど、お祝いをする為に集まってくれたという。
 何だかとっても嬉しいな。
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