転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第十四章 五歳の祝いとマロード温泉

二百二十七話 賑やかな儀式会場

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「わあ、沢山の人がいるね」
「皆、五歳なんだ!」

 僕達が教会に着くと、沢山の子どもと保護者が教会の礼拝堂の中にいた。
 辺境伯領の街は大きいし、周辺の村から来ている人もいた。
 沢山の人の中には、僕達も見知った人もいた。

「あら、アレク君とリズちゃんじゃない。エレノアちゃんとサンディちゃんも五歳おめでとうね」
「「「「有難う御座います」」」」

 いつも薬草採取で一緒になるおばさんが、僕達に声をかけてきた。
 元気そうな男の子も一緒で、教会内を走り回っていた。

「今日はティナ様も一緒なんですね」
「この子達の保護者ですから。勿論来ますわよ」
「それにしても、アレク君達はきちんとしていますわね。うちの子なんて、走り回っていて言う事聞かないのですよ」
「まあまあ、元気な証拠ですよ」

 おばさんはティナおばあさまとも顔見知りなので、早速おばちゃんの井戸端会議みたいに話し始めている。

「お、一番の大物がやってきたな」
「皆、五歳おめでとうね」

 商店街でのお買い物や冒険者活動で知り合った人も声をかけてきた。
 やっぱりこの街の人は僕達の事も普通に扱ってくれる。
 僕達が王族や貴族だとはいえ、とてもありがたい事だ。
 
「「「じー」」」

 それに対して、殆ど僕達の事を見た事がない子ども達は、誰こいつ? って表情をしていた。
 そりゃそうだろうね。
 いきなり来た子どもと大人が対等に話をしているのだから。

「わー、スライムだ!」
「こっちのスライムはちっちゃいな」
「ぷよぷよしていて面白いな」
「わあ、スライムが魔法使ったよ!」

 僕達とは違って、スラちゃんとプリンは子ども達に大人気。
 スラちゃんとプリンも子どもの相手をするのは慣れているので、小さな魔力の球を動かしたりショートワープをしたりぴょんぴょんしていたりした。
 スラちゃんとプリンの動きに、子ども達は大喜び。
 そんな子ども達のところに、僕達も近づいていく。

「このスライムは、スラちゃんとプリンって言うんだよ」
「スラちゃんが青いスライムで、プリンちゃんが小さなスライムだよ」
「スラちゃんとプリンちゃん!」
「確かに小さくて黄色からプリンみたい」
「触ってみても大丈夫だよ」
「うん!」

 スラちゃんとプリンの事をきっかけに、僕達も他の子ども達と話せる様になった。
 特にリズは悪人でなければ人見知りしないので、どんどんと話しかけていった。

「ほほほ、今年は賑やかですね」
「あ、司祭様。騒がしくして申し訳ありません」
「いやいや、子どもは元気が一番じゃ。今年は特に元気がよいのう」

 リズ達とスラちゃん達の様子を見ていると、僕の後ろから司祭様がニコニコしながら声をかけてきた。
 司祭様の横では、同じくシスターが子ども達を見つめながらニコニコしていた。

「今年は五歳になる子どもも多いわ。それもこれも、アレク様やリズ様が奉仕活動の際に積極的に街の人の治療をしてくれたおかげですわ」
「僕は街の人に大変お世話になっていますので、奉仕活動の時に治療を行うのは当然だと思います」
「でも、それって中々できない事よ。正にノブレスオブリージュを体現していると言えるわ」

 シスターの言う通り、この前の偽物伯爵なんかお金儲けに目が眩んでいたし他にも僕は欲に眩んだ人を見てきた。
 僕の場合は辺境伯様の所にいたというのも大きいし、周りの人にも恵まれていた。
 だから、その人に恩返しをしたいと思っているんだよね。

「さあ、祝いの儀は直ぐに終わらせて食事とするか」
「そうですわね。儀式は子どもにとっては退屈でしょう。直ぐに始めましょう」

 そして、司祭様とシスターは式典の準備を始めた。
 すると、子ども達の親も集まって手伝いをしている。
 各領で行われている五歳の祝いは、親や保護者も一緒にお祝いするのが通例になっている所があるらしく、ここ辺境伯領も親や保護者が祝いの準備をする事になっている。
 因みに、ティナおばあさまも準備に参加していて、護衛で来ていた近衛騎士も一緒に準備を手伝っていた。

「よし、準備できたわ」
「「「わあ、きれいだな!」」」

 礼拝堂のイスや長椅子をきれいな布や花で装飾している。
 綺麗に装飾された礼拝堂内を見て、子ども達も喜んでいる。
 さあ、先ずは教会の儀式の開始だ。
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