上 下
79 / 950
第十三章 貴族主義派の不正

二百四話 不正の発覚

しおりを挟む
 ジンさんの結婚式が終わったけど、今年はまだまだイベントが盛り沢山。
 エレノアとリズの誕生パーティと、辺境伯領と王都での五歳の祝いのイベントだ。
 とはいえ、こちらは僕達が何かを用意する事はなくただ単に参加するだけで良い。
 服も既に決まっているので、焦ることもない。
 
「疲れたよ……」
「勉強難しいよ……」

 なので、勉強と時々冒険者をする日々を送っていた。
 今日は王城での勉強で、相変わらずの難しい問題にエレノアとリズがダウンしていた。

「終わったよ!」
「あら、ルーシーも良く出来るようになったわね」
「ルーシー、凄いね」
「えへへ」
「「ぐぬぬ……」」

 因みに、ルーシーお姉様は何かコツを掴んだのかスラスラと問題を解ける様になっていた。
 今日の監督役であるティナおばあさまと先に課題を終わらせたルーカスお兄様に褒められて、ルーシーお姉様はとってもご満悦だ。
 そしてエレノアにリズよ、悔しがる前に手を動かしなさい。

「ほら、頑張って終わらせないと。午後は宰相の執務室を見学するのでしょう?」
「「そうだった!」」

 ティナおばあさまに言われて、エレノアとリズはガバッと起きてきた。
 今も現場見学を続けていて、今日は宰相の執務室を見学する事になっている。
 それを思い出した二人は、急いで問題を解いていった。

「「「「「こんにちは!」」」」」
「おお、ようこそ来てくれた」

 午後になり、皆で宰相の執務室に向かう。
 ティナおばあさまは来客の応対があるので同行していない。
 王妃様とアリア様が安定期に入るまでは、一部の公務を肩代わりするという。
 代わりにジェリルさんとランカーさんをはじめとする近衛騎士がついてきている。
 
「そうだ、ルーカス王子とアレクはこっちにきてくれ。その他の者は、係の者が案内させよう」
「「「はーい」」」

 おや?
 僕とルーカスお兄様だけ、宰相のすぐ側に呼ばれていった。
 ルーシーお姉様達は、職員の人から説明を受け始めている。
 
「二人とも、この書類を」
「おや? 数字がおかしいような。後から色々と付け足した様に見えますね」
「計算も合わないので、何が正しいのか分かりませんね」

 宰相が見せてくれたのはとある所の税の申告書なのだが、数字がデタラメで僕とルーカスお兄様も困惑してしまった。
 
「子どもがひと目で見て分かるほどの書類を送ってくるとはな。これは王都直轄の港湾都市ポートコールの代官から送られてきた物だ」
「え、本物ですよね?」
「という事は、不正ですか?」
「残念ながらその可能性がある」

 港湾都市ポートコール。
 ちょうど今日の勉強で習った所だ。
 天然の良港で漁業が盛ん。
 国内の各都市とも交易が盛んな所だったはず。
 辺境伯領から馬車で四日位の所にあり、王都よりも辺境伯領の方が近い。
 王国直轄地なので、王国から派遣された代官が統治する。

「先ずは査察官を辺境伯領経由で派遣させる。強制査察だな」
「直ぐに不正を認めてくれればいいのですが」
「それは無理だろうな。なにせあの侯爵一派の人間なのだから」
「うわあ、よりによってですか……」

 いきなり現地に乗り込んで強制査察になるのも異例なのだが、相手はあの侯爵一派だ。
 絶対に不正蓄財していそうだぞ。
 このあと警護付きの調査団を編成して、現地に送るそうだ。
 できれば穏便に済ませてもらいたいなあ。
しおりを挟む
感想 235

あなたにおすすめの小説

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。