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第十二章 ジンさん達の結婚式

二百話 ジンさん達の結婚式の始まり

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「それでは、新郎の入場です」

 ジンさんと共にダイアンさんとゴードンさんも入場してきた。
 それぞれ白いスーツを着込んでいる。

「なんだ。ジンよ、ガチガチじゃないか」
「ははは、顔が引き攣っているぞ」
「そこ、うるさいぞ」
「「「ははは」」」

 ジンさんの事を冒険者が冷やかしているけど、それを返すジンさんに余裕がない。
 ダイアンさんとゴードンさんが堂々と入場してきただけあって、余計にジンさんの緊張が目立っている。
 ジンさんのクラスメイトの女性からは、緊張してるジン君が可愛いと言われている程だ。
 ジンさんの妹のリリーさんは、そんな兄の姿にハラハラとしていた。

「それでは、新婦の入場です。皆様、暖かい拍手でお迎え下さい」
「「「わー!」」」

 拍手もあったけど、何故か男性冒険者から野太い歓声が上がっていた。
 レイナさんは商務卿と、カミラさんは父親である宰相の長男と腕を組んでいた。
 ナンシーさんとルリアンさんもそれぞれ父親と腕を組んでいる。
 みんな綺麗なウェディングドレスを着ていてとても綺麗なのだが、それ以上に目立っている人が一人。

「うっうっうっ、ぐず」

 そう、商務卿が盛大に号泣しているのだ。
 これにはレイナさんや他の新婦も思わず苦笑い。
 さっさと新郎に新婦を引き渡してしまおうということで、レイナさんが苦笑しながらズンズンと商務卿を引っ張っていく。
 ジンさんも流石に商務卿の姿を見て落ち着いたのか、商務卿に笑顔で歩み寄って何かを話している。
 しかし、商務卿は涙声で全然何を言っているか分からない。
 ジンさんは商務卿と抱き合ってレイナさんを受けとった。
 あまりにも商務卿がグタグタだったので、カミラさんとカミラさんの父親とは和やかに話をしていた。
 ダイアンさんもナンシーさんを、ゴードンさんもルリアンさんを受け取り、前に進んでいく。
 あ、商務卿が席に戻っていったけど、レイナさんのお兄さんと思わしき二人も号泣していた。

 さあ、気を取り直して結婚式の開始となる。
 司祭様の前に三組のカップルが並んだ。

「それでは、神様に三組の夫婦が誕生する事を報告する」

 神父役の司祭様の言葉で、結婚式が始まった。

「では、汝ジン・フォン・クライシスは、レイナ・フォン・ベリー、並びにカミラ・フォン・ニースを妻とし、終生愛する事を誓いますか?」
「はい、誓います」
「次に、レイナ・フォン・ベリー並びにカミラ・フォン・ニースは、ジン・フォン・クライシスを夫とし、終生愛する事を誓いますか?」
「「はい、誓います」」

 ジンさんとレイナさんとカミラさんの誓いの言葉が交わされた。
 ダイアンさんとナンシーさん、ゴードンさんとルリアンさんも言葉を交わし指輪を交換した。

「それでは、誓いの口づけを」
「「「うっ、うっ」」」

 誓いの口づけをしている時、商務卿の席からは未だに涙声が聞こえてきている。
 もうジンさん達も苦笑するしかない。

「おお、ここに三組の新しい夫婦が誕生しました。皆様、新しい拍手を」
「「「わーあ」」」

 もうこういう号泣者がいる事に慣れているのか、司祭様はあっさりと結婚式を終了した。
 出席者も大盛り上がりでジンさん達を送り出している。
 商務卿とレイナさんのお兄さん達は、何だか全力で拍手している。

 そして全員教会から出て、お待ちかねのブーケトス。
 今回は新婦が四人いるので、ブーケも四つある。

「ルーシーお姉様、リズ、エレノア。あの中に突っ込む勇気あります?」
「「「無理!」」」

 そう、今回チャンスがあると思って沢山の女性がブーケトスに参加しているのだ。
 女性の冒険者やジンさん達の同級生は勿論の事、冒険者ギルドの受付のお姉さんも参加している。
 うん、魔物が逃げ出す位の気迫を感じている。
 今回は流石にリズ達も遠くから見守る事になった。

「準備が出来ましたので、どうぞブーケを投げて下さい」
「「「「そーれ!」」」」

 四つのブーケが女性陣に向けて投げられた。
 うん、女性陣の気合いが更に高まった気がした。

「「「うわー」」」

 リズ達が引いてしまった程のブーケ争奪戦が始まってしまった
 ソフィアさんがブーケトスをした時よりも激しい戦いが繰り広げられていた。
 ブーケをゲットした人が高々とボロボロになったブーケを掲げている。
 うん、おめでとうと言っておこう。
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