61 / 878
第十一章 共和国編
百八十六話 対テイマー戦第ニラウンド
しおりを挟む
「グルガー!」
「なになに? この魔力は」
突然テイマーから湧き上がる強大な魔力。
僕達は、腕で魔力の余波を防ぎながらテイマーを見ていた。
「え、腕が生えてきたよ!」
「なんだろう、魔力が人間って感じじゃない!」
「皆気をつけて、動くわよ」
ゆっくりとテイマーが立ち上がると、魔導具だった杖の爆発で千切れていた左腕が再生している。
更に、筋肉も発達してきて何だか異様な姿になってきた。
「グルガアー! ハアハア」
まるでテイマーは狼の遠吠えの様に叫んだ後、僕達を睨んできた。
その姿は人間ではなく魔物そのものに見えた。
顔なんて、今までのゴブリンに似ている風貌から鬼みたいになっている。
目も血走っていて、まともな状態ではないのか直ぐに分かった。
しかも鑑定したら、とんでもない結果が表示された。
「フウフウ、ウガー!」
ブォン、ガキン!
「お兄ちゃん?」
「ぐっ、なんて威力だよ」
予備的に魔法障壁を張っていて助かった。
テイマーがとんでもない勢いで突っ込んできて、パンチを繰り出してきた。
少し勢いに押されたけど、体勢は大丈夫。
「はっ!」
ヒュンヒュンヒュン。
「グエ?」
「くそ、皮膚も固くなっている」
一瞬の隙をついてティナおばあさまが連続の突きを繰り出すが、テイマーには殆ど効いていない。
身体能力がかなり上がっている。
「リズ、合体魔法の準備を。スラちゃんとプリンでテイマーを牽制して」
「私も攻撃するわ」
「私はお二人を守ります」
ここは一気に畳み掛けた方が良いと思って、リズとの合体魔法を仕掛ける事にした。
スラちゃんとプリンにティナおばあさまがテイマーを牽制しながら攻撃している。
「グオ、ウガー!」
「もう、まるで野獣ね」
テイマーの動きは素早いけど、単調なので避けるのは難しくない。
腕を振り回すだけで、本当に野獣の様な動きだ。
ティナおばあさまのつぶやきもよく分かる。
「魔力が溜まりました」
「オッケーだよ」
「ええ、やってお仕舞いなさい」
「グガーーー!」
僕とリズの魔力が溜まったので、前線の三人に呼びかけた。
ティナおばあさまとスラちゃんは素早く避けて、プリンは電魔法をおみまいしてから下がった。
どうやら魔法は普通通りに効くみたいで、テイマーはかなりのダメージを受けている。
「いくよ」
「うん」
「「えーい!」」
プリンが離れた所を見計らって、僕とリズは合体魔法を放った。
「グオーーー!」
テイマーはプリンの雷魔法で体が痺れていて殆ど動けず、僕とリズの合体魔法をモロに受けていた。
ズドーン。
僕とリズの合体魔法がやむと、テイマーは断末魔の様な叫び声を上げながら後ろ向きに倒れ込んだ。
お腹に大きな穴が空いていて、全く動かない。
すぐさま近衛騎士が確認に向かった。
「大丈夫です。死んでいます」
「ただ、異様な姿です」
近衛騎士は、生死の確認が終わるとおかしい所に気がついた。
皆が近づき見守る中、近衛騎士がテイマーの穴の空いたお腹の上を剣でさしていた。
「なんだろう。この塊は。魔力が集まっているよ」
「これは魔石よ。やはりあの薬を飲んだからだ」
ティナおばあさまは何かを知っている様だ。
思い出したくない何かを。
すると、僕達の頭の上から声がしてきた。
「ほほほ、流石は華の騎士様だ。思い出されましたかな?」
「うむ、改良型はそれなりに良いようだな」
空中に浮かんでいて、時々姿にノイズの様な物が入っている。
一人は白衣の様な物を着ていて、まるで医者の様だ。
もう一方は、サーカスのピエロの様な半分に割れた仮面を着けている。
ティナおばあさまは、その二人をキッと睨みつけた。
「ドクター、ピエロ!」
「覚えて頂いて光栄ですな」
「いやはや、十年振りでございますね」
二人はティナおばあさまに恭しく挨拶をするが、ティナおばあさまは怒りがおさまらない。
二人に向けて風魔法を放ったが、魔法は二人をすり抜けてしまった。
「これはただの映像です。姿だけ表しているのですよ」
「テイマー如きではあなた達に勝てないと思いましたが、良いサンプルが取れました」
言うだけ言って、二人の姿が薄くなっていく。
「またお会いしましょう。今日は、懐かしい再会に嬉しく思います」
「今度は戦場でお会いしましょう。それまでお体をご自愛下さいませ、華の騎士様」
「まて、逃げるのか!」
そして、二人の姿は完全に消えてしまった。
ティナおばあさまは、二人が消えた空中を睨みつけていた。
いつも優しいティナおばあさまが、ここまで激しい感情を表すなんて初めてだった。
「なになに? この魔力は」
突然テイマーから湧き上がる強大な魔力。
僕達は、腕で魔力の余波を防ぎながらテイマーを見ていた。
「え、腕が生えてきたよ!」
「なんだろう、魔力が人間って感じじゃない!」
「皆気をつけて、動くわよ」
ゆっくりとテイマーが立ち上がると、魔導具だった杖の爆発で千切れていた左腕が再生している。
更に、筋肉も発達してきて何だか異様な姿になってきた。
「グルガアー! ハアハア」
まるでテイマーは狼の遠吠えの様に叫んだ後、僕達を睨んできた。
その姿は人間ではなく魔物そのものに見えた。
顔なんて、今までのゴブリンに似ている風貌から鬼みたいになっている。
目も血走っていて、まともな状態ではないのか直ぐに分かった。
しかも鑑定したら、とんでもない結果が表示された。
「フウフウ、ウガー!」
ブォン、ガキン!
「お兄ちゃん?」
「ぐっ、なんて威力だよ」
予備的に魔法障壁を張っていて助かった。
テイマーがとんでもない勢いで突っ込んできて、パンチを繰り出してきた。
少し勢いに押されたけど、体勢は大丈夫。
「はっ!」
ヒュンヒュンヒュン。
「グエ?」
「くそ、皮膚も固くなっている」
一瞬の隙をついてティナおばあさまが連続の突きを繰り出すが、テイマーには殆ど効いていない。
身体能力がかなり上がっている。
「リズ、合体魔法の準備を。スラちゃんとプリンでテイマーを牽制して」
「私も攻撃するわ」
「私はお二人を守ります」
ここは一気に畳み掛けた方が良いと思って、リズとの合体魔法を仕掛ける事にした。
スラちゃんとプリンにティナおばあさまがテイマーを牽制しながら攻撃している。
「グオ、ウガー!」
「もう、まるで野獣ね」
テイマーの動きは素早いけど、単調なので避けるのは難しくない。
腕を振り回すだけで、本当に野獣の様な動きだ。
ティナおばあさまのつぶやきもよく分かる。
「魔力が溜まりました」
「オッケーだよ」
「ええ、やってお仕舞いなさい」
「グガーーー!」
僕とリズの魔力が溜まったので、前線の三人に呼びかけた。
ティナおばあさまとスラちゃんは素早く避けて、プリンは電魔法をおみまいしてから下がった。
どうやら魔法は普通通りに効くみたいで、テイマーはかなりのダメージを受けている。
「いくよ」
「うん」
「「えーい!」」
プリンが離れた所を見計らって、僕とリズは合体魔法を放った。
「グオーーー!」
テイマーはプリンの雷魔法で体が痺れていて殆ど動けず、僕とリズの合体魔法をモロに受けていた。
ズドーン。
僕とリズの合体魔法がやむと、テイマーは断末魔の様な叫び声を上げながら後ろ向きに倒れ込んだ。
お腹に大きな穴が空いていて、全く動かない。
すぐさま近衛騎士が確認に向かった。
「大丈夫です。死んでいます」
「ただ、異様な姿です」
近衛騎士は、生死の確認が終わるとおかしい所に気がついた。
皆が近づき見守る中、近衛騎士がテイマーの穴の空いたお腹の上を剣でさしていた。
「なんだろう。この塊は。魔力が集まっているよ」
「これは魔石よ。やはりあの薬を飲んだからだ」
ティナおばあさまは何かを知っている様だ。
思い出したくない何かを。
すると、僕達の頭の上から声がしてきた。
「ほほほ、流石は華の騎士様だ。思い出されましたかな?」
「うむ、改良型はそれなりに良いようだな」
空中に浮かんでいて、時々姿にノイズの様な物が入っている。
一人は白衣の様な物を着ていて、まるで医者の様だ。
もう一方は、サーカスのピエロの様な半分に割れた仮面を着けている。
ティナおばあさまは、その二人をキッと睨みつけた。
「ドクター、ピエロ!」
「覚えて頂いて光栄ですな」
「いやはや、十年振りでございますね」
二人はティナおばあさまに恭しく挨拶をするが、ティナおばあさまは怒りがおさまらない。
二人に向けて風魔法を放ったが、魔法は二人をすり抜けてしまった。
「これはただの映像です。姿だけ表しているのですよ」
「テイマー如きではあなた達に勝てないと思いましたが、良いサンプルが取れました」
言うだけ言って、二人の姿が薄くなっていく。
「またお会いしましょう。今日は、懐かしい再会に嬉しく思います」
「今度は戦場でお会いしましょう。それまでお体をご自愛下さいませ、華の騎士様」
「まて、逃げるのか!」
そして、二人の姿は完全に消えてしまった。
ティナおばあさまは、二人が消えた空中を睨みつけていた。
いつも優しいティナおばあさまが、ここまで激しい感情を表すなんて初めてだった。
569
お気に入りに追加
8,638
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました
上野佐栁
ファンタジー
前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
検索魔法で助けたもふもふ奴隷が伝説の冒険者だったなんて聞いてませんっ
富士とまと
ファンタジー
異世界に妹と別々の場所へと飛ばされました。
唯一使える鑑定魔法を頼りに妹を探す旅を始めます。
ですがどうにも、私の鑑定魔法って、ちょっと他の人と違うようです。
【鑑定結果〇〇続きはWEBで】と出るんです。
続きをWEBで調べると、秘伝のポーションのレシピまで表示されるんです。
なんだか、もふもふ奴隷さんに懐かれてしまったのですけど、奴隷とか無理ですごめんなさいっ。
尻尾ふらないでぇ!もふもふもふ。
ギルド職員に一目置かれちゃったんですけど、私、普通の接客業ですよ?
*無自覚の能力チート+日本人の知識無双で、時々プチざまぁしつつの、もふもふスローライフ?*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。