転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

第十章 バザール領とジェイド様とソフィアさんの結婚式

百五十五話 作戦会議

「リズ、お留守番宜しくね」
「任せて！　スラちゃんとプリンと一緒にお姉さん達を守るよ」

　僕は王城に行くので、リズに留守番をお願いした。
　スラちゃんとプリンもやる気になっているので大丈夫だろう。
　僕は着替えをして辺境伯様の屋敷に向かい、辺境伯様とジェイド様と一緒に王城に向かった。
　王城に着いて宰相に会うと、宰相の方から話しかけてきた。

「丁度よかったぞ。辺境伯に話をしたかったのだ。例の領地の事でな」
「私もその事でお話しがあります」
「うむ、閣僚も揃っているので会議室に行こう。嫡男もいい経験になるぞ」
「はい」

　僕も一緒に会議室に行くと、閣僚だけでなく陛下もいた。
　これはよっぽどの事なんだろう。

「おお、辺境伯に嫡男もいるか。アレクにも関わる事だから一緒に聞くように」
「はい」

　陛下に促されて、僕も席に座ったところで話が始まった。
　まず簡単に今朝あった事を、会議室にいる人に報告した。
　
「既に住民の生活は崩壊しておるか。しかも、屋敷の改築工事は届が出ておらん。これで決定だな」

　陛下に報告すると、何かを決意した様な表情となった。
　そしておもむろに話し始めた。

「アレクには対象の領地の名前を教えていなかったな。バザール伯爵だ。謁見の際に噛み付いてきたやつだよ」
「あの時は覚えなくていいと言った貴族ですね」
「もう覚えなくても良くなるぞ。あやつの家は重犯罪で断絶の可能性が高いからな」

　確かあの時噛み付いた伯爵は当主交代になったけど、交代した当主も愚か者だったのか。
　でも、一体何をしたのだろう。

「表向きは、違法建築と税法違反だ。しかし、本丸は違法奴隷の摘発だ」
「違法奴隷って、そんな酷い事が」
「奴隷自体は存在するが、犯罪奴隷か戦争の捕虜になる。どうも闇ギルドと手を組んで違法売買をしている様だ」

　思ったよりも大事になっていてびっくりした。
　まさか違法奴隷案件になっているとは。
　ジェイド様もびっくりしている。

「直ぐに令状を発行しよう。アレク、悪いがこの後兵を辺境伯領へ送ってくれ」
「畏まりました」
「部隊の指揮は軍務卿が務める。副官にジェイドを指名しよう。結婚に向けて軍功をつけるのも悪くないし、将来の辺境伯として軍を指揮する事も大切な事だ」
「謹んでお受け致します」
「ご配慮頂き感謝します」

　せっかくというので、ジェイド様が副官となった。
　貴族なので、戦功というのは大きな勲章になるそうだ。

「捕縛した者の護送や違法奴隷の治療もある。アレクとリズも後方支援として着いてもらおう。その冒険者三人も国からの指名依頼という事で同行させよう」
「はい、承りました」
「リズに良く言っておけ。あくまでも後方支援だからな」

　陛下にも念を押されたぞ。
　とは言っても、リズとスラちゃんは突っ込んでいく気がしてならないな。
　二人には特に厳重に言っておかないと。
　
「商務卿と農務卿は、困窮地域への支援物資の準備を」
「「はっ」」
「宰相と内務卿は、不届者の取り調べの準備を」
「「承りました」」
「外務卿は、帝国に情報共有する準備を。共和国にはまだ伝えなくて良いだろう」
「はっ、直ぐに準備します」

　陛下は矢継ぎ早に閣僚に指示を出し、閣僚が動き出した。
　僕も一旦辺境伯様とジェイド様を辺境伯領に送ってから、兵をホーエンハイムの街の郊外にある駐屯地に送った。
　そして僕の屋敷に戻ったタイミングで、冒険者のお姉さんも屋敷に到着した。
　リズも含めて、明日の事を話す。

「明日、バザール伯爵の屋敷に調査に入ります。違法なものがある可能性が高いです。調査隊の隊長は軍務卿で副官にジェイド様がつきます。そのレベルの捜査を行います」
「これで村の苦難が楽になればいいですね」
「はい、既に支援物資の準備も進めています。そしてこれからが本題となります。僕とリズも後方支援部隊として従軍する事になりました。怪我人等の対応となります。そして、冒険者のお姉さん達も国からの依頼で僕達と一緒に後方支援として参加する事なりました」
「おお、リズにお任せだよ」
「勿論参加するよ。ある意味この時を待っていたんだ」
「私達の手で、故郷を解放してあげたいです」
「地元の人を楽にしてあげたいです」

　リズもスラちゃんも、勿論冒険者のお姉さんもやる気満々だ。
　うーん、これは改めてリズとスラちゃんに一言言っておかないと。

「リズにスラちゃん。今回はジェイド様が主役だから邪魔しちゃダメだよ。僕達は治療がメインになるからね」
「はーい」

　一応分かった様だから、大丈夫だと信じたいな。

「プリンはジェイド様の護衛についてね。ジェイド様を守ってあげるんだよ」
「えー、プリンいいなあ……」

　プリンは与えられた役目にやる気満々だけど、最前線にいる事になったプリンが羨ましくてリズとスラちゃんが駄々をこねていた。
　ここは我慢してもらわないとな。
　という事で、準備があるので冒険者のお姉さん達も帰って明日朝合流する事に。
　僕達も念の為に食糧などを準備して貰って、明日に備えた。