忠犬ポチは、異世界でもお手伝いを頑張ります!

藤なごみ

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ポチの61話 ダンスが始まったよ

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 ダンスが行われる方に皆で移動したんだよ。
 生の音楽だから、とっても楽しみなんだ。

「リリーナ、最初のダンスは私と踊ってくれないか?」
「勿論ですわ、お父様」

 りっちゃんの最初のダンスの相手は領主様なんだって。
 おや?
 領主様の目が少し赤い様な気がするよ。
 
「今までリリーナの足が悪かったから、一緒に踊りたくてもできなかったのよ」
「りっちゃん、いっぱいリハビリしたからね」

 奥様もハンカチで涙をおさえていたんだ。
 りっちゃんは領主様を見ながらニコニコと微笑んでいるよ。

「ポチちゃん、私達も踊ろうよ!」
「勿論だよ!」

 ポチは一緒にジュースを飲んでいた子どもと一緒にダンスを踊るんだ。
 ポチもダンスはとっても楽しみ!

「それでは、一曲目のダンスをお楽しみ下さい」

 司会の人のアナウンスで、ダンスが始まったよ。
 ポチはちゃんとしたダンスじゃないけど、皆で手を繋いでダンスをするんだ。
 皆笑顔で、周りの人もポチ達の方を見てニコニコしているよ。

「うう、まさか娘と踊れる日が来るとは……」
「お父様、泣きすぎですよ」

 領主様は、念願だったりっちゃんとのダンスができて号泣しているんだ。
 あまりの涙に、りっちゃんの方が冷静になっているんだよ。
 でも、りっちゃんも綺麗に踊れていて、周りの人の視線を集めていたんだよ。

「公爵様、念願だったリリーナ様と一緒に踊れて、まさに感無量ですな」
「流石は公爵閣下の娘様だ。堂々としたダンスでしたな」
「ダンスの名手と言われる公爵様の血を存分に発揮されましたな」

 最初のダンスが終わったら、領主様の所に沢山の人が集まってきたんだ。
 領主様は涙がもう止まっていて、とってもニコニコしながら集まった人の応対をしていたんだよ。
 領主様も、りっちゃんとのダンスがとても嬉しかったんだね。

「りっちゃんは少し休むの?」
「そうね、まだ体力が戻りきっていないから、休み休み踊るわ。ポチは色んな人と踊っているね」
「ポチは体力いっぱいあるから大丈夫!」

 りっちゃんは休憩しながらダンスをしていたんだ。
 ポチは元気いっぱいだから、色々な人とダンスをしているの。
 グレース様やトール君とも踊ったし、一緒だった子ども達とは全員踊ったよ。
 領主様とも踊ったし、陛下や王太子様にケイン様とも踊ったんだ。
 皆、踊りがとっても上手でポチはびっくりしたんだよ。

「ポチちゃんは本当に人気者ね」
「そうなのかな? でも、色々な人と踊れて楽しかったよ!」

 ジュースを飲みながら休憩していたら、王妃様が話しかけてきたんだよ。
 流石にポチも疲れちゃったから一休みなんだ。
 
「それでは、今宵のダンスも最後となります」
「あ、りっちゃんとケイン様が手を繋いでいるよ」
「ふふ、二人ともちょっと表情がかたいかしら?」

 と、ここで司会の人がアナウンスしたんだ。
 りっちゃんもケイン様も気合が入っているよ。
 でも、王妃様のいう通りに、肩に力が入っているんだ。
 りっちゃん、上手く踊れるかな?
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