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ポチの50話 王族にあったよ!

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 もやもやした気持ちのまま、今日の目的の場所についたんだ。
 王宮の中でもかなり奥の場所なんだって。
 
 コンコン。

「どうぞ」

 侍従のお姉さんがノックしてドアをあけたんだ。
 中には、大人の女性とカッコいいお兄さんと小さな女の子がいたんだよ。

「久しぶりね、リリーナ」
「お久しぶりでございます、王妃様」

 おお、大人っぽい女性は王妃様なんだ。
 金髪の長い髪で、お胸がとっても大きいんだよ。
 流石は王妃様だ。

 りっちゃんとポチが部屋の中に入ったら、侍従のお姉さんが部屋から出て行っちゃったんだ。
 
「人払いしていたのよ。ここは王族のプライベートな空間よ。もっとも、リリーナも直ぐにこの場所に入れる資格を得るわ」
「へえ、そうなんだ」

 わざわざ王妃様がニコリとしながら教えてくれたんだよ。
 王妃様ってとっても良い人なんだなあ。

「自己紹介しましょうか。私は王妃のエリザベスよ。こちらにいるのが息子のケインで、リリーナの婚約者ね。それでこの子が長男の娘のグレースよ」
「ポチはポチです!」
「あら、元気に挨拶してくれて有難うね」

 おお、このカッコいい男の人がりっちゃんの旦那さんになるんだ。
 金髪の短い髪で、優しそうなスーパーイケメンなんだ!
 グレース様も金髪のふわふわのセミロングの髪で、とっても可愛いんだ。

「ポチちゃんとは初めましてになるね、ケインだ。一応、リリーナの婚約者となっているよ」
「おお、凄いカッコいい! りっちゃん、イケメンの旦那さんでいいね!」
「ちょっとポチ! 何を言っているのよ!」
「ふがふが」
「はは」

 ポチが思ったことを言ったら、りっちゃんが顔を真っ赤にしながらポチの口を塞ぐんだ。
 いいじゃん、カッコいい人なんだから。

「グレースなの。三歳なの」
「おお! ポチはポチなんだよ」
「ポチちゃん、ぎゅってしていい?」
「どんとこいだよ!」
「じゃあ、ぎゅー! えへへ」
「ポチもぎゅー」
「あらあら、とっても可愛いわね」

 グレース様はとっても可愛いんだよ。
 ポチも直ぐに仲良くなりそうだよ。
 二人して抱き合って、ほっぺをすりすりしているんだ。
 王妃様もポチとグレース様の事を見て微笑んでいるんだ。
 自己紹介も終わったので、ポチはグレース様と手を繋いでソファーに座るよ。
 りっちゃんもケイン様と仲良さそうに一緒にソファーに座っているんだ。
 そんな皆の様子を、王妃様がニコニコとしているんだよ。
 と、ここで王妃様がりっちゃんとポチに質問してきたんだ。

「そういえば部屋に入る時に少し暗い顔をしていたけど、何かあったの?」
「えーっと、その……」
「香水臭いおばさんが、りっちゃんの事をいじめていたんだよ」
「ちょっと、ポチ!」

 りっちゃんが慌ててポチの事を止めようとするけど、ポチは絶対に誰かに言った方がいいと思ったんだよ。
 すると、王妃様が直ぐにりっちゃんに声をかけたんだ。

「あの侯爵夫人ね。自分の娘とケインをくっ付けようと企んでいるのよ。だから、リリーナに散々酷いことを言っているのよ」
「えー、なにそれ。酷いなあ。りっちゃんは街の人にも優しくて、とっても良い人なんだよ」
「私もリリーナがとても良い人というのは分かっているんだ。それに侯爵の娘は、その、夫人の様にちょっと問題のある人で、そもそも結婚しようとは全く思わないよ」
「普段から貴族がとか言っているけど、それなら侯爵家なのに公爵家に喧嘩を売るなっていいたいのよ」
「グレースも、あのおばさん嫌いなの」

 おお、王族の皆があのおばさんをボロクソに言っているよ。
 勿論、ポチもりっちゃんをいじめたあのおばさんは大っ嫌いなんだ。

「あの侯爵家は、晩餐会には当主しか呼んでいないわ。あの二人は今までも様々なパーティで問題を起こしているからね」
「そうですか、それは良かったです」

 りっちゃんも明らかにホッとしているよ。
 大事な場面を台無しにされたらたまらないよね。
 すると、王妃様がニヤリとしてりっちゃんとケイン様の方を向いたんだ。
 これは何か企んでいる顔だよ。

「そうだわ。晩餐会でダンスを踊るけど、ラストダンスを一緒に踊って二人の事を公にしなさい」
「「えっ!」」
「ラストダンス?」

 王妃様の提案に、りっちゃんとケイン様はビックリしているけど、ポチは何が何だか分からないんだ。
 なので、思い切って王妃様に聞いてみよう。

「王妃様、ラストダンスって何ですか?」
「晩餐会やパーティでは、社交ダンスとかを踊る事があるのよ。そして、一番最後に行われるラストダンスに参加する人は、お互い意中の人同士で踊るのが通例なのよ」
「おお。なら、りっちゃんとケイン様が一緒に踊っても何も問題ないよ!」

 ポチも王妃様の意見に大賛成だけど、りっちゃんの表情が冴えないよ。
 どうしたのかな?

「私、今まで足が悪かったから、ダンスの練習をしたことないのよ」

 そっか、りっちゃんはつい最近まで歩くのも大変だったもんね。
 でもリハビリを頑張って走る事はまだ難しいけど、歩くのはもう大丈夫になったんだ。
 そんなりっちゃんなら、きっと大丈夫。

「りっちゃん、特訓だよ! 頑張って歩けるようになったりっちゃんなら、きっと大丈夫だよ!」
「えっ?」
「それに、ある程度りっちゃんが踊れれば、きっとケイン様がごまかしてくれるよ」

 ポチはケイン様の方を向いたんだ。
 すると、ケイン様もニコリとポチに笑いかけてくれたんだよ。

「そうだな。私だってそこそこダンスには覚えがあるから、ある程度踊れれば全く問題ないぞ」
「ほら、りっちゃんは頭も良いし直ぐにダンスを覚えちゃうよ」

 もうここまできたら、りっちゃんも覚悟を決めたみたいだよ。

「うん、できないかもしれないけど、できるだけ頑張ってみるよ」
「おお、ポチもりっちゃんのお手伝いをするよ!」

 りっちゃんはポチのご主人様なのだから、ポチもできるだけお手伝いをするんだ。
 りっちゃんもふんすってやる気になっているよ。
 すると、王妃様がポチに向かって微笑んできたんだ。

「ふふふ、ポチちゃんの笑顔は周りを元気にするわね。公爵領でのポチちゃんの色々な噂を聞いたけど、やはり実物は凄いわね」
「ポチちゃんすごーい!」

 グレース様も一緒になってポチの事を褒めるから、少し恥ずかしくなっちゃった。
 でも、やる気になったりっちゃんの為にポチも頑張るぞ!
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