忠犬ポチは、異世界でもお手伝いを頑張ります!

藤なごみ

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ポチの40話 入院していた男の子を元気にしたよ

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 ちゅんちゅん。
 ちゅんちゅん。

 がばっ。

「おお、お? ここはどこだ?」

 お外で小鳥さんの声が聞こえたからポチ起きたんだけど、いつもの孤児院じゃないの。
 うーん、この場所はつい最近見た事があるぞ。
 えーっと、ここは何だっけ?

「あっ、ポチちゃん目が覚めたんだね」
「看護師さんだ! ここは病院?」
「そうだよ。ポチちゃんは暴れ黒犬と戦って、ずっと寝ていたんだよ」
「そうなんだ!」

 頭をぽりぽりとかいていたら、看護師さんが部屋に入ってきたんだよ。
 そっか、ポチは大きな黒い犬獣人と戦って大勝利をおさめたんだったよ。

「じゃあ、診察をするからちょっと待っていてね」
「はーい」

 看護師さんが席を離れると、ヤギみたいなお髭のお爺ちゃんがやってきたの。
 おお、メーって言ったら面白いなあ。

「ふむ、流石はお嬢様の魔法だ。折れていた腕も綺麗に治っている」
「おお、本当だよ。全然痛くない!」

 すっかり忘れていたけど、ポチの左腕って折れていたんだ。
 全然痛くなかったから、すっかり忘れていたよ。

「ふむ、この様子なら明日にも退院できそうじゃな」
「えー、ポチは全然元気だよ!」

 ベッドの上に立ってシャキーンってポーズしたけど、ダメみたいなの。

「魔法で骨折した箇所を繋げただけだから、固まるのに時間かかるんだよ。それに頭を打ってもいるからな」
「えー、そんなー。今日はお肉屋さんのお手伝いがあるのに……」
「先ずはしっかりと体を治す事だよ。今日は安静にしないとね」
「はーい……」

 うう、今日のポチはポンコツなのです。
 なので、ベッドで寝ていてって。

「うー、うずうずするよ」

 ベッドで寝ているのって、何だかつまらないなあ。
 何か面白い事はないかな?

「そうだ、病院の中を散歩しよう!」

 寝ているだけは暇だもんね。
 病院から出ないし、きっと大丈夫なのだ!

 てくてく。

「お、誰かいたよ!」

 病院のお庭にベンチがあって、ポチと同じ位の男の子が座っていたんだよ。
 ポチは思わず突撃しちゃったよ。

「こんにちは!」
「こ、こんにちは……」

 クリクリの大きな目の男の子だよ。
 髪も瞳も茶色の可愛い子だなあ。
 でも、何だか元気ないなあ。
 どうしたのだろう?

「ポチはポチなんだよ。君は?」
「僕はトールだよ」
「トール君ね。何だか元気ないけどどうしたの?」

 ポチはトール君に話しかけたよ。
 そうしたら、トール君がポロポロと泣き出しちゃったの。
 あれ?
 ポチ、何か悪い事を言っちゃったかな?

「僕ね、治療の為に入院しているけど毎日苦いお薬飲んでやになっちゃったんだ」
「そうなんだ、それは嫌だね」

 ポチはトール君の頭をなでなでしてあげたんだ。
 ポチも豆柴の時に注射とかしていたけど、本当に嫌なんだよね。

「お薬って、あとどれくらい飲むの?」
「あと、三日間だって……」
「おお、ならあと少しだよ!」
「えっ?」

 まだ三日あるというよりも、あと三日で終わるって思った方が気が楽だよね。

「ポチも頭を打って腕がポキッて折れちゃったけど、明日には退院できるんだ。そうしたら、またいっぱいお手伝いするの!」
「そうなんだ、それは良かったね」
「そうなの。だから、トール君もあと三回頑張れば元気になれるよ!」
「まだ三回じゃなくて、あと三回?」
「そうなの!」

 トール君も元気になれれば、きっと楽しいはずだよ。
 りっちゃんも歩ける様になってきてとても楽しそうだから、きっと一緒だよ。

「ポチちゃん、ありがとう。僕、もう少し頑張ってみるね」
「おお、トール君ファイトだよ!」

 トール君も少し笑顔になったんだよ。
 多分大丈夫って、ポチは思ったんだ!
 うーん、ポチも明日退院できるのが楽しみになってきたなあ。
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