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ポチの34話 マスクを作ったよ

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 ポチとりっちゃんが再会しても、ポチの生活は大きく変わっていないよ。
 孤児院で生活して、色々なお店でお手伝いしているの。
 りっちゃんも一生懸命にリハビリをして、歩けるようになろうとしているんだよ。

「うーん、毛虫が多いわね。バラはどうしても毛虫がついちゃうよね」
「そうなの。とってもとっても、また虫がついちゃんだよ」

 今日は領主様の屋敷、つまりはりっちゃんのお家でお仕事だよ。
 うーん、いつもいっぱい虫を取っているけど、今日もいっぱい虫がいるなあ。
 りっちゃんも車椅子に乗ってポチの側にいるけど、虫がいっぱいで驚いていたよ。

「お、お嬢様。その、虫は怖く無いですか?」

 側にいた侍従がポチとりっちゃんに恐る恐る聞いてきたの。
 あ、そういえば侍従のお姉さんは虫が大嫌いなんだよね。

「毛虫は素肌で触ればかぶれますが、触らなければ大丈夫ですよ」
「あのかぶれるとかではなく、芋虫と毛虫は姿や動きとかが気持ち悪くて私達は全くダメなんです」
「ああ、そう言う事ですか。確かにうねうねと動きますが、慣れればなんて事はありませんわ」
「凄い、流石はお嬢様ですわ」

 ポチも虫はへっちゃらだけど、りっちゃんも虫はへっちゃらなんだって。
 確かに虫の動きは面白いけど、そんなに怖いのかな?
 その間も、ポチはひょいひょいと芋虫と毛虫を捕まえていくよ。
 
「ほら、芋虫も全然平気だよ!」
「きゃー!」
「わあ! びっくりしたよ」

 侍従のお姉さんに取った芋虫を見せると、とってもびっくりした声を出すんだ。
 ポチは、芋虫よりも侍従のお姉さんの声の方がびっくりだよ。

「ポチ、午後は商工ギルドに行くんでしょう? 早めに準備しないとね」
「おお、そうだったよ!」

 ポチ、すっかり忘れていたよ。
 午後はマスクを商工ギルドの会長さんに見せに行くんだ。
 ふふふ、会長さんはマスクを見たらきっとびっくりするんだよ。
 折角なので、マスクのサンプルを作って持って行くのだ。

「こんな感じでどうでしょうか?」
「おお、ピッタリだよ!」
「ふふ、ポチかわいいわ」

 屋敷に戻って応接室に移動します。
 虫取りの時に一緒にいた侍従のお姉さんが、ささってマスクを作ってくれたの。
 侍従のお姉さんは、何だかとっても張り切ってお裁縫をしていたよ。
 
「あら、いいわね。似合っているわよ」

 領主様の奥様もマスクの事を褒めていたよ。
 カラフルな布だけど、きちんと息もできるよ。
 機能も問題なさそうだ。

「大人用の物も準備しました。こちらもお持ち下さい」
「わあ、とてもいいデザインですわね」
「これなら、大人がつけても全く問題ないわね」

 大人用の柄も何種類か作ったの。
 男の人用と女の人用でマスクの色を分けるのもいいなあ。
 シンプルな白い色のマスクも作ったよ。

「それじゃあ、ご飯を食べたら皆で商工ギルドに行きましょうね」
「「はーい」」

 ふふふ、これで準備はバッチリなのだ。
 ご飯を食べたら、りっちゃんと一緒に商工ギルドに向かうのだ。
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