忠犬ポチは、異世界でもお手伝いを頑張ります!

藤なごみ

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ポチの17話 皆でポーションを作るよ

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 今日もポチとミッケちゃんとリルムちゃんは商店街にお手伝いに来たけど、ちょっと違うお仕事をして欲しいんだって。
 
「何だかね、薬屋さんに孤児院から薬草が大量に届いたらしいの。それで薬草を洗ったりする人手が欲しいんだって」
「「「あっ!」」」

 お肉屋さんのおかみさんがミケ達に今日のお手伝い内容を教えてくれるけど、ミケ達には心当たりがありすぎちゃった。
 思わずミッケちゃんとリルムちゃんと顔を見合わせちゃったよ。
 という事で、今日は皆で服屋さんの隣にある薬屋さんに向かいます。

「「「おはようございます!」」」
「はい、おはよう」
「待っていたわよ」

 薬屋さんは美形のお兄さんとお姉さんがやっているの。
 エルフって言うんだって。
 でも、孤児院にいるエルフのお兄ちゃんは、何だか人間っぽいけど。
 何かお兄さんとお姉さんと違うのかな

「沢山の薬草が孤児院から届いたからビックリしたよ」
「「「うう、ごめんなさい……」」」
「はは、この位なら大丈夫。最近は冒険者も稼働が活発でね、ポーションが少し少な目だったんだよ」

 美形のお兄さんは、シュンとしてしまったポチ達の頭を優しく撫でてくれたの。
 とっても優しい人で良かったよ!

「じゃあ、最初に薬草を洗うから、こっちに来て手伝ってね」
「「「はーい」」」

 最初のお手伝いは、エルフのお姉さんと一緒にポチ達が摘んだ薬草を綺麗にする事。
 お姉さんの所に行くと、薬草がいっぱい入ったざるが五個並んでいた。
 改めてみると、凄い量を採っちゃったんだなあ。
 たらいに水を入れて、皆で薬草を綺麗に洗っていきます。
 
「わあ、この薬草土まみれだよ」
「男の子達が摘んできた薬草だね」
「適当に薬草を摘むのは駄目なの」

 昨日一緒にポチ達と薬草摘みで競争した男の子の摘んだ薬草が、見事にどろどろです。
 これはしっかりと洗わないといけないなあ。
 たらいに入っている水が直ぐに汚れちゃったから、何回も水を代えて薬草を洗っていきます。
 
「あら、こっちの薬草は綺麗に摘んであるわね」
「あ、それはリルムちゃんが摘んだ薬草なんだよ」
「リルムちゃんは薬草摘みの達人なんだ!」
「そうなのね。とっても丁寧でいい仕事だわ」
「あう……」

 男の子のどろどろの薬草と比べて、リルムちゃんが摘んだ薬草はとっても綺麗なの。
 皆から褒められちゃって、リルムちゃん少し顔が赤くなっちゃったよ。
 美形のお姉さんもリルムちゃんを褒めていたよ!
 でも、綺麗に薬草を摘めるって凄いよね。

 薬草を頑張って綺麗に洗ったら、今度は大きなお鍋で薬草を煮るんだって。
 ここからは美形のお兄さんの出番です。

「薬草は煮過ぎても良いポーションが出来ないんだ」
「へえ、そうなんだ!」
「あと、ポーション作りは水が大事なんだ。この一帯の井戸水はとても綺麗だから、何も手を加えないで済むんだよ」

 ポーション作りはお水が大事なんだ。
 確かに、ここのお水はとっても美味しいんだよ。
 美形のお兄さんは、薬草を煮ている鍋に追加で別の葉っぱと石っぽいのを入れていったよ。
 この石って何だろう?

「お兄さん、今お鍋に石を入れなかった?」
「これは魔石だよ。魔物を倒すと出てくるんだ。ポーション作りには欠かせないんだよ」
「へえ、そうなんだ!」

 美形のお兄さんが説明をしてくれるけど、何だかリルムちゃんが物凄く真剣に聞いているよ。
 うーん、何かあったのかな?

 薬草を煮るのは終わりで、この後は火から鍋をおろして冷やすんだって。
 それから瓶にポーションを詰めて完成!
 でもポチ達が摘んだ薬草は、まだまだいっぱいあるんだ。
 すると、美形のお姉さんが、ポーション作りを真剣に見ていたリルムちゃんに声をかけてきたんだ。

「リルムちゃん、次は一緒にポーション作ってみる?」
「え? リルムが作っても良いの?」
「ええ、薬草もいっぱいあるし、ちょっとくらい失敗しても大丈夫よ」
「うん、リルムポーション作ってみたいの!」
「「リルムちゃん、頑張って!」」

 リルムちゃん、ふんすとやる気満々でお姉さんと一緒に小さな鍋を使いながらポーション作りを始めたよ。
 お姉さんの説明を聞きながら、リルムちゃんは真剣な表情でポーションを作っていきます。
 その間に、ポチ達は冷えたポーションを瓶にどんどん詰めていきます。
 おお、どんどんポーションの瓶が出来上がっていくよ。
 ポチ、何だか瓶詰めも作業も楽しいな。

「ふう……」
「うん、キチンとポーションができているわ」
「おお、一発でポーションを作るなんて。リルムちゃんは薬師の才能があるね」

 そしてリルムちゃんの作ったポーションがついに完成。
 お姉さんも太鼓判の出来だって!

「おお、リルムちゃん凄い!」
「ポーションできたんだ!」
「うん、頑張ったよ!」

 少し誇らしげなリルムちゃんの事を、ポチとミッケちゃんも一緒になって喜んだよ!
 でも、薬草はまだまだあるから、ポチとミッケちゃんはポーションを瓶に詰めていって、リルムちゃんはお姉さんと一緒にポーションを作っていきます。

「よし、これで全部完了だね!」
「皆お疲れ様ね。でも、できたポーションをギルドに持って行って確認できたら完了なのよ」

 お昼過ぎには、全部の薬草をポーションにできたんだ。
 沢山の瓶ができたけど、これで完成じゃないんだ。
 リルムちゃんが作ったポーションも、検査を受けないといけないんだって。
 という事で、皆で出来上がったポーションを持って直ぐ近くの冒険者ギルドに行きます。

「お、ポチちゃんじゃないか。今日はどうした?」
「おお、おっちゃんだ。今日は薬屋さんのお手伝いをしたんだ!」
「そうかい、そうかい」

 ギルドに入ると、いつもパン屋さんでパンを買っていくおっちゃんが声をかけてくれたよ。
 他にも知り合いになった冒険者に声をかけてもらいながら、皆でギルドの魔物の引き取り所に到着。

「おお、今日は沢山ポーションを持ってきたな」
「孤児院から沢山の薬草が届いたんです」
「丁度良かったよ。今ポーションが不足気味なんだ。確認するからちょっと待っていろよ」

 お兄さんが受付のおっちゃんにポーションを渡して、おっちゃんが何かの機械でポーションを確認し始めたんだ。
 リルムちゃんは自分の作ったポーションがちゃんと検査を通るか、ドキドキしていたよ。
 ポチとミッケちゃんでリルムちゃんの手をぎゅっと握って、大丈夫ってニコリとしてあげたんだ。
 すると、おっちゃんがこっちにやってきたんだよ。

「全部問題ないな。悪いが、暫くは少し多めに納品してくれるか?」
「はい、では孤児院にも伝えておきますね」

 全く問題ないっておっちゃんがお兄さんに言っているってことは、リルムちゃんの作ったポーションも大丈夫だったんだ。
 お姉さんがこっちにウインクしてくれたから、問題ないって分かったよ。

「リルムちゃん、良かったね!」
「リルムちゃんの作ったポーション、問題なかったって」
「うん、良かった……」

 ポチとミッケちゃんがリルムちゃんに良かったねっていったら、リルムちゃんもほっと胸を撫でおろしているよ。
 すると、おっちゃんもこっちを見てビックリしていたんだ。

「おお、リルムの嬢ちゃんがポーション作ったのかい?」
「うん、お姉さんに手伝って貰いながらだけど」
「ははは、小さい薬師の誕生だな。品質は全く問題なかったぞ」
「ありがとう御座います!」

 おっちゃんの太鼓判を貰って、リルムちゃんもニコリってしたんだ。
 すると、知り合いの冒険者が集まってきたんだよ。

「おお、リルムの嬢ちゃんがポーション作ったのか」
「小さいのに凄いなあ」
「で、でも手伝って貰ったから……」
「ははは、俺なんて手伝って貰っても出来ないや」
「俺も同じだな。だから十分に誇っていいぞ」
「うん」

 冒険者からも褒められて、リルムちゃんもニコニコになったよ。
 でも、確かにポーション作れるなんてカッコいいなあ!
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