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ポチの6話 初めてのお手伝い
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「シスター。今日のお手伝いにポチちゃんと一緒にいっちゃだめかな?」
「ポチちゃんと?」
「うん、そうだよ」
お昼ごはん前に早速シスターさんに確認しているミッケちゃん。
ポチと同じ位行動力がありそう!
シスターさんはちょっと考え込んでいた。
「ポチちゃん、朝から色々あったから疲れてない?」
「ポチ、元気いっぱいだよ!」
「うーん、でもちょっと心配だわ」
シスターさんは、それでも心配してうなっていた。
ポチ元気だから、大丈夫なんだけどなあ。
「ほほほ、ポチちゃんは本当に元気じゃのう」
「司祭様」
「お爺さん」
「ポチちゃんはみんなとお手伝いしたいのかい?」
「うん! ポチ、ミッケちゃんとリルムちゃんと一緒にお手伝いする!」
「体調は大丈夫かい?」
「うん、元気元気」
「ほほほ、そうかいそうかい」
お爺さんが食堂に来て、ミケの頭を撫でながら質問してきた。
ミケは元気だし、みんなのお手伝いをしたいだけだもん。
「シスターよ、行かせてあげなさい」
「司祭様、でも……」
「転生して直ぐだから心配なのは分かるが、子ども同士一緒にいることが、この世界に慣れる秘訣じゃ」
「はい、その考えもありますね」
「いずれにせよ領主様は王都にいて、一ヶ月後にこちらに戻るそうじゃ。それまでは子ども同士仲良くさせてあげよう」
おお、お爺さんがなんだかカッコいい。
領主様に会うまでに、ポチは色々な事を覚えるのだ!
「ポチちゃん、無理をしない範囲でお手伝いするのよ」
「ポチ、分かった!」
「ミッケちゃんとリルムちゃんも、ポチちゃんの事をよろしくね」
「うん、任せて」
「……頑張る」
シスターさんの許可も出たので、みんなと一緒にお手伝いにいくよ。
ミケちゃんも元気よく手を上げていたし、リルムちゃんはふんすってやる気になっていてちょっと可愛かったよ。
じゃあ、さっさとごはん食べないと!
「うーん、いい天気!」
「そうだね。暖かくてちょうどいい天気だね」
「お客さん一杯きてほしいなあ」
お昼ごはんの後、ミッケちゃんとリルムちゃんと手をつなぎながら商店街を目指すよ。
今日は暖かくていい天気!
絶好のお手伝い日和になりそうだ。
「ミッケちゃん、リルムちゃん、こんにちは。その犬獣人の子は」
「こんにちは、お肉屋さんのおばさん。新しく孤児院に入ったポチちゃんだよ」
「これからみんなでパン屋さんでお手伝いするの」
「あら、そうかいそうかい。ポチちゃんっていうのね。あたしゃ肉屋のおかみだよ」
「こんにちは肉屋のおかみさん! ポチはポチだよ」
「うんうん、元気ね」
「うん、ポチいつも元気だよ!」
道中色々な人が声をかけてくれる。
今はお肉屋さんのおかみさん!
熊獣人なんだって。
とってもフレンドリーなおばちゃんだ。
ポチの事、みんなに早く覚えてもらいたいなあ。
「ポチちゃん、パン屋さんについたよ」
「おお、ここがパン屋さん! 良い匂い!」
「うん、ここのパンは絶品」
そうこうしている間に、パン屋さんに到着。
中からとっても良い匂いがするよ。
リルムちゃんがおすすめするんだから、きっと美味しいはずだ。
そう思っていたら、中から若いおねえさんが出てきた。
「「「こんにちわ」」」
「ミッケちゃん、リルムちゃん、こんにちは。あらこの可愛らしい子は誰かな?」
「ポチはポチだよ!」
「あら、可愛らしいお嬢ちゃんね。わたしはマーサ、主人とパン屋さんやっているの」
「マーサさん! よろしくおねがいします」
マーサさんが優しく頭を撫でながら紹介してくれた。
優しそうな人で良かった!
「うんうん、礼儀正しい子ね。ミッケちゃん、孤児院の新しい子?」
「うん、今日からなんだ。一緒にお手伝いしたいんだけど大丈夫?」
「大丈夫よ。こんなに元気な子ならいっぱいお客さん来ちゃうかもね。そうだ、主人にも紹介しないと」
マーサさんは、早速ミッケちゃんにポチもお手伝いしても大丈夫って言ってくれたよ。
でもマーサさんの旦那さんはどんな人なんだろう?
ちょっと興味あるなあ。
「ポチちゃん、マーサさんの旦那さんみてビックリしないでね」
「きっと驚く」
あれ?
ミッケちゃんとリルムちゃんが、ビックリしないでと言ってきた。
マーサさんの旦那さんの事で何かあるのかな?
「あなた、新しいお手伝いさんが来たからこっちにきて」
「おう、ちょっとまちな」
と、中から大きなおじさんが出てきた。
おお、頭はツルツルで傷がいっぱいあるよ。
「この嬢ちゃんが新しいお手伝いか?」
「うん、そうだよ。ポチはポチだよ!」
「そうかい、元気だな!」
「ポチはいつも元気だよ!」
「ガハハ、そりゃいいな。俺はブランコだ。よろしくな」
「うん!」
マーサさんと並ぶと美女と野獣って感じだけど、豪快なおっちゃんだ。
ポチ、一目見ておっちゃんも気に入ったよ。
「はー、ポチちゃん凄いね」
「あれ? マーサさん、何かあったの?」
「うちの主人を見て平気な人は久しぶりにみたわ。ミッケちゃんとリルムちゃんも最初は旦那を見てビックリしていたのよ」
「そうなの? うーん、悪い臭いとかしなかったから平気だよ」
「そうなの、犬獣人としての感なんだろうね」
マーサさんはポチがブランコのおっちゃんにビックリしないことに驚いていた。
よく見ると、ミッケちゃんもリルムちゃんも驚いている。
見た目怖いけど、悪い人の臭いはしないし、パンの良い匂いがするから問題ないと思うけどなあ。
「よし。嬢ちゃん達、今日も頑張ってくれよ」
「うん! おっちゃん、今日は何パンがおすすめ?」
「そうだな、今日は食パンが良い出来だな」
「分かった! よーし、頑張るぞ!」
店頭にマーサさんがたって、リルムちゃんがお手伝い。
リルムちゃんお金の計算が出来るんだって。リルムちゃん凄い!
ミッケちゃんは、おっちゃんが焼いたパンを次々にお店に並べています。
よーし、ポチも頑張るよ。
「マーサさん、ポチは何をすればいい?」
「ポチちゃんには声掛けをやってもらおうかな?」
「ポチ、声掛け頑張るね!」
この世界に来て初めてのお手伝いだ。
頑張って声掛けをやるぞ!
「美味しいパンはいかがですか!」
「焼きたてのパンですよー」
「今日は食パンがおすすめだよ!」
ポチは早速声掛けを始めたよ。
ポチ、張り切っちゃおう。
「リルムちゃん、ポチちゃんって声掛け上手ね」
「うん、リルムには真似出来ない。あっ、お客さんが来たよ」
「本当だね、冒険者も来たから忙しくなるかも」
マーサさんとリルムちゃんはビックリしていたけど、ポチはりっちゃんとテレビ見ていたから声掛けは何となく分かるんだ!
あ、前の建物から人がいっぱい来たから、頑張って声掛けよう!
「美味しいパンはいかがですか!」
「おう、犬の嬢ちゃん。おすすめはなんだい?」
「おっちゃんが食パンがおすすめって言ったけど、何でも美味しいよ!」
「そうかいそうかい。そりゃ寄ってみないとなあ」
「ありがとうございます!」
「おう、嬢ちゃんもがんばれよ」
よし、いい感じだ。
おっちゃんに声掛けできたし、もっと頑張るぞー。
「ポチちゃん凄い。冒険者の人と普通に話している」
「主人にも物怖じしなかったし、見た目で判断しないんだろうね」
何だかマーサさんとリルムちゃんが、おっちゃんに声掛けをしているポチを見てびっくりしているよ。
臭いで悪い人ではないと分かったし、何も問題ないけどな。
「おお、マーサ。新しいお手伝いかい?」
「ええ、孤児院からのお手伝いよ。良い子でしょう」
「ああ、ありゃ大物だ。俺を見てビックリしなかったぞ」
「主人を見てもニコニコしていたよ。悪い人は臭いで分かるんだってさ」
「そりゃ凄いなあ。リルムの嬢ちゃんも頑張れよ」
「うん、頑張る」
「お、その粋だ。じゃあせっかくだからちょっくら見てみるかな」
お店の中でも、さっきポチに声をかけてきたおっちゃんとマーサさんが話していた。
あっ、リルムちゃんがおっちゃんに頭撫でられている。リルムちゃん、いいなあ。
おっと、ポチも頑張らないと。
「美味しいパンはいかがですか!」
「可愛いお嬢ちゃんね」
「おねえさんもパンはいかがですか?」
「あそこのパンは美味しいからね。顔を出して見ようかな」
「毎度あり!」
今度は剣士のおねえさんたちをお店に案内できた。
よし、ポチももっともっと頑張るぞ。
「マーサの姉さん、久しぶり」
「あら、どうしたの?」
「そこで可愛い嬢ちゃんに声をかけられてね」
「そうなの。今日からなのよ」
「そうなのかい? それにしては声掛けに年季入っていたよ」
「物怖じしない性格みたいなのよ」
「えー、そりゃ凄い。店も繁盛じゃないか」
「今日はあの子が来てくれて助かったわ」
うん、剣士さんとマーサさんが何か話しをしているけど、お店が大賑わいなのは嬉しいなあ。
お店の様子を見ると、みんな忙しそう。
ミッケちゃんもリルムちゃんも一生懸命に頑張っているから、ポチももっともっと頑張るぞ!
「ポチちゃん、声掛けは終わりにして中に入って」
「はーい」
マーサさんに呼ばれたので、お店の中に入るよ。
おっと、気がついたら夕方だ。
「お疲れ様、ポチちゃん。声掛け上手だったよ」
「ありがとうマーサさん」
「久々に忙しかったなあ。でも、こういう忙しさは良いな」
「おっちゃんもお疲れ様!」
マーサさんとおっちゃんが、お疲れ様って声をかけてくれた。
お店もお客さんいっぱいで良かった。
「ポチちゃん凄かったよ! 声掛け凄かったよ」
「うん、リルムも見てて凄かった」
「ミッケちゃん、リルムちゃん、ありがとう!」
やっぱりミッケちゃんとリルムちゃんにほめられるのは嬉しいなあ。
「それでねポチちゃん、明日もお手伝いしてほしいんだけど良いかな?」
「もちろんポチ頑張るよ!」
おお、マーサさんからまたお手伝いのお願いが来たよ。
ポチいっぱい頑張るよ。
「でね、明日は隣のお肉屋さんの声掛けも一緒にしてほしいんだけど良いかな?」
「お肉屋さんの?」
「そこからはあたしが説明するよ」
「あ、お肉屋さんのおばちゃんだ」
パン屋さんに誰か入ってきた。
あれはパン屋さんに行く途中であった、熊のおばちゃんだ。
お肉屋さんの声掛けって、何するんだろ。
「実はね、最近オーク肉がいっぱい入荷したんだよ。いい肉何だけど売れないとしょうがないからね」
「美味しいお肉なら、みんなに食べて貰いたいね」
「そうなの、だから明日は美味しいお肉ありますよってポチちゃんに声掛けしてほしいの」
「それならポチにお任せだよ。パン屋さんもお肉屋さんも、いっぱいお手伝いするよ!」
美味しいお肉なら、色々な人に食べてもらいたいからね。
明日もいっぱいお手伝い頑張っちゃうよ。
「うんうん。マーサさん、この子たちはとても良い子だね」
「ミッケちゃんも、リルムちゃんも、ポチちゃんも、みんな良い子ですよ」
「明日が楽しみだよ」
マーサさんとお肉屋さんのおばちゃんが何か話しをしている。
もちろん、ミッケちゃんもリルムちゃんも、良い子だよ。
「マーサさん、明日は朝からお手伝いする?」
「リルムちゃん。そうね、みんなが大丈夫なら朝からお願いしようかな?」
リルムちゃんがマーサさんにお手伝いの時間を聞いてくれた。
明日は朝から頑張るぞ。
「今日は本当にありがとうね。みんなにパン焼いたから持っていってね」
「「「はーい」」」
マーサさんに見送られ、孤児院に帰ります。
シスターさんやおとこの子の分も、パンをいっぱい貰っちゃった。
「ポチちゃん、今日は凄かったね!」
「うん、凄かった。マーサさんも驚いていたよ」
「そんな事はないよ。お客さんに声を掛けていただけだし。ポチはミッケちゃんの様にパン並べられないし、リルムちゃんの様にお金の計算出来ないもん」
ミッケちゃんとリルムちゃんが、ポチ凄いと褒めてくれるけど、ポチはやっぱりミッケちゃんとリルムちゃんの方が凄いなあと思うよ。
「明日は朝から頑張ろうね!」
「うん、頑張る」
「ポチも頑張るぞ!」
手をつなぎながら、皆で明日にむけて気合を入れていたよ。
孤児院に着くと、玄関にシスターさんがいてポチ達の帰りを待っていてくれたよ。
「あら、みんなおかえりなさい。ポチちゃん、お手伝いどうだった?」
「ポチ、お手伝い楽しかったよ!」
「それは良かったね。今日は何をしたのかな?」
「今日はパン屋さんの声掛けをしたの。明日はパン屋さんとお肉屋さんの分の声掛けもするんだ」
「あら、もう他のお店からスカウト来たのね。それは凄いわ」
シスターさんに今日あったことを話したら、ニコニコしながら聞いてくれたんだ。
「シスター、パン屋さんがみんなにパンくれたよ」
「あらあら、こんなに沢山。後で御礼しないとね」
「うん、明日言っておく」
ミッケちゃんとリルムちゃんが、シスターにお土産のパンを渡していた。
そういえばおっちゃんのパン食べたことないなあ。
「さあ、みんなお風呂に入って夕ごはんにしましょう」
「「「はーい」」」
ミッケちゃんとリルムちゃんと一緒にお風呂に入って夕ごはんに。
夕ごはんにおっちゃんの焼いたパンが並んでいた。
「うーん、美味しい!」
「やっぱりパン屋さんのパンは美味しいね」
「うん、とても美味しい」
おっちゃんの焼いたパンは、とても美味しかったんだ。
ほっぺが落ちそうな美味しさだったよ。
よーし、明日もお手伝い頑張るぞ!
「ポチちゃんと?」
「うん、そうだよ」
お昼ごはん前に早速シスターさんに確認しているミッケちゃん。
ポチと同じ位行動力がありそう!
シスターさんはちょっと考え込んでいた。
「ポチちゃん、朝から色々あったから疲れてない?」
「ポチ、元気いっぱいだよ!」
「うーん、でもちょっと心配だわ」
シスターさんは、それでも心配してうなっていた。
ポチ元気だから、大丈夫なんだけどなあ。
「ほほほ、ポチちゃんは本当に元気じゃのう」
「司祭様」
「お爺さん」
「ポチちゃんはみんなとお手伝いしたいのかい?」
「うん! ポチ、ミッケちゃんとリルムちゃんと一緒にお手伝いする!」
「体調は大丈夫かい?」
「うん、元気元気」
「ほほほ、そうかいそうかい」
お爺さんが食堂に来て、ミケの頭を撫でながら質問してきた。
ミケは元気だし、みんなのお手伝いをしたいだけだもん。
「シスターよ、行かせてあげなさい」
「司祭様、でも……」
「転生して直ぐだから心配なのは分かるが、子ども同士一緒にいることが、この世界に慣れる秘訣じゃ」
「はい、その考えもありますね」
「いずれにせよ領主様は王都にいて、一ヶ月後にこちらに戻るそうじゃ。それまでは子ども同士仲良くさせてあげよう」
おお、お爺さんがなんだかカッコいい。
領主様に会うまでに、ポチは色々な事を覚えるのだ!
「ポチちゃん、無理をしない範囲でお手伝いするのよ」
「ポチ、分かった!」
「ミッケちゃんとリルムちゃんも、ポチちゃんの事をよろしくね」
「うん、任せて」
「……頑張る」
シスターさんの許可も出たので、みんなと一緒にお手伝いにいくよ。
ミケちゃんも元気よく手を上げていたし、リルムちゃんはふんすってやる気になっていてちょっと可愛かったよ。
じゃあ、さっさとごはん食べないと!
「うーん、いい天気!」
「そうだね。暖かくてちょうどいい天気だね」
「お客さん一杯きてほしいなあ」
お昼ごはんの後、ミッケちゃんとリルムちゃんと手をつなぎながら商店街を目指すよ。
今日は暖かくていい天気!
絶好のお手伝い日和になりそうだ。
「ミッケちゃん、リルムちゃん、こんにちは。その犬獣人の子は」
「こんにちは、お肉屋さんのおばさん。新しく孤児院に入ったポチちゃんだよ」
「これからみんなでパン屋さんでお手伝いするの」
「あら、そうかいそうかい。ポチちゃんっていうのね。あたしゃ肉屋のおかみだよ」
「こんにちは肉屋のおかみさん! ポチはポチだよ」
「うんうん、元気ね」
「うん、ポチいつも元気だよ!」
道中色々な人が声をかけてくれる。
今はお肉屋さんのおかみさん!
熊獣人なんだって。
とってもフレンドリーなおばちゃんだ。
ポチの事、みんなに早く覚えてもらいたいなあ。
「ポチちゃん、パン屋さんについたよ」
「おお、ここがパン屋さん! 良い匂い!」
「うん、ここのパンは絶品」
そうこうしている間に、パン屋さんに到着。
中からとっても良い匂いがするよ。
リルムちゃんがおすすめするんだから、きっと美味しいはずだ。
そう思っていたら、中から若いおねえさんが出てきた。
「「「こんにちわ」」」
「ミッケちゃん、リルムちゃん、こんにちは。あらこの可愛らしい子は誰かな?」
「ポチはポチだよ!」
「あら、可愛らしいお嬢ちゃんね。わたしはマーサ、主人とパン屋さんやっているの」
「マーサさん! よろしくおねがいします」
マーサさんが優しく頭を撫でながら紹介してくれた。
優しそうな人で良かった!
「うんうん、礼儀正しい子ね。ミッケちゃん、孤児院の新しい子?」
「うん、今日からなんだ。一緒にお手伝いしたいんだけど大丈夫?」
「大丈夫よ。こんなに元気な子ならいっぱいお客さん来ちゃうかもね。そうだ、主人にも紹介しないと」
マーサさんは、早速ミッケちゃんにポチもお手伝いしても大丈夫って言ってくれたよ。
でもマーサさんの旦那さんはどんな人なんだろう?
ちょっと興味あるなあ。
「ポチちゃん、マーサさんの旦那さんみてビックリしないでね」
「きっと驚く」
あれ?
ミッケちゃんとリルムちゃんが、ビックリしないでと言ってきた。
マーサさんの旦那さんの事で何かあるのかな?
「あなた、新しいお手伝いさんが来たからこっちにきて」
「おう、ちょっとまちな」
と、中から大きなおじさんが出てきた。
おお、頭はツルツルで傷がいっぱいあるよ。
「この嬢ちゃんが新しいお手伝いか?」
「うん、そうだよ。ポチはポチだよ!」
「そうかい、元気だな!」
「ポチはいつも元気だよ!」
「ガハハ、そりゃいいな。俺はブランコだ。よろしくな」
「うん!」
マーサさんと並ぶと美女と野獣って感じだけど、豪快なおっちゃんだ。
ポチ、一目見ておっちゃんも気に入ったよ。
「はー、ポチちゃん凄いね」
「あれ? マーサさん、何かあったの?」
「うちの主人を見て平気な人は久しぶりにみたわ。ミッケちゃんとリルムちゃんも最初は旦那を見てビックリしていたのよ」
「そうなの? うーん、悪い臭いとかしなかったから平気だよ」
「そうなの、犬獣人としての感なんだろうね」
マーサさんはポチがブランコのおっちゃんにビックリしないことに驚いていた。
よく見ると、ミッケちゃんもリルムちゃんも驚いている。
見た目怖いけど、悪い人の臭いはしないし、パンの良い匂いがするから問題ないと思うけどなあ。
「よし。嬢ちゃん達、今日も頑張ってくれよ」
「うん! おっちゃん、今日は何パンがおすすめ?」
「そうだな、今日は食パンが良い出来だな」
「分かった! よーし、頑張るぞ!」
店頭にマーサさんがたって、リルムちゃんがお手伝い。
リルムちゃんお金の計算が出来るんだって。リルムちゃん凄い!
ミッケちゃんは、おっちゃんが焼いたパンを次々にお店に並べています。
よーし、ポチも頑張るよ。
「マーサさん、ポチは何をすればいい?」
「ポチちゃんには声掛けをやってもらおうかな?」
「ポチ、声掛け頑張るね!」
この世界に来て初めてのお手伝いだ。
頑張って声掛けをやるぞ!
「美味しいパンはいかがですか!」
「焼きたてのパンですよー」
「今日は食パンがおすすめだよ!」
ポチは早速声掛けを始めたよ。
ポチ、張り切っちゃおう。
「リルムちゃん、ポチちゃんって声掛け上手ね」
「うん、リルムには真似出来ない。あっ、お客さんが来たよ」
「本当だね、冒険者も来たから忙しくなるかも」
マーサさんとリルムちゃんはビックリしていたけど、ポチはりっちゃんとテレビ見ていたから声掛けは何となく分かるんだ!
あ、前の建物から人がいっぱい来たから、頑張って声掛けよう!
「美味しいパンはいかがですか!」
「おう、犬の嬢ちゃん。おすすめはなんだい?」
「おっちゃんが食パンがおすすめって言ったけど、何でも美味しいよ!」
「そうかいそうかい。そりゃ寄ってみないとなあ」
「ありがとうございます!」
「おう、嬢ちゃんもがんばれよ」
よし、いい感じだ。
おっちゃんに声掛けできたし、もっと頑張るぞー。
「ポチちゃん凄い。冒険者の人と普通に話している」
「主人にも物怖じしなかったし、見た目で判断しないんだろうね」
何だかマーサさんとリルムちゃんが、おっちゃんに声掛けをしているポチを見てびっくりしているよ。
臭いで悪い人ではないと分かったし、何も問題ないけどな。
「おお、マーサ。新しいお手伝いかい?」
「ええ、孤児院からのお手伝いよ。良い子でしょう」
「ああ、ありゃ大物だ。俺を見てビックリしなかったぞ」
「主人を見てもニコニコしていたよ。悪い人は臭いで分かるんだってさ」
「そりゃ凄いなあ。リルムの嬢ちゃんも頑張れよ」
「うん、頑張る」
「お、その粋だ。じゃあせっかくだからちょっくら見てみるかな」
お店の中でも、さっきポチに声をかけてきたおっちゃんとマーサさんが話していた。
あっ、リルムちゃんがおっちゃんに頭撫でられている。リルムちゃん、いいなあ。
おっと、ポチも頑張らないと。
「美味しいパンはいかがですか!」
「可愛いお嬢ちゃんね」
「おねえさんもパンはいかがですか?」
「あそこのパンは美味しいからね。顔を出して見ようかな」
「毎度あり!」
今度は剣士のおねえさんたちをお店に案内できた。
よし、ポチももっともっと頑張るぞ。
「マーサの姉さん、久しぶり」
「あら、どうしたの?」
「そこで可愛い嬢ちゃんに声をかけられてね」
「そうなの。今日からなのよ」
「そうなのかい? それにしては声掛けに年季入っていたよ」
「物怖じしない性格みたいなのよ」
「えー、そりゃ凄い。店も繁盛じゃないか」
「今日はあの子が来てくれて助かったわ」
うん、剣士さんとマーサさんが何か話しをしているけど、お店が大賑わいなのは嬉しいなあ。
お店の様子を見ると、みんな忙しそう。
ミッケちゃんもリルムちゃんも一生懸命に頑張っているから、ポチももっともっと頑張るぞ!
「ポチちゃん、声掛けは終わりにして中に入って」
「はーい」
マーサさんに呼ばれたので、お店の中に入るよ。
おっと、気がついたら夕方だ。
「お疲れ様、ポチちゃん。声掛け上手だったよ」
「ありがとうマーサさん」
「久々に忙しかったなあ。でも、こういう忙しさは良いな」
「おっちゃんもお疲れ様!」
マーサさんとおっちゃんが、お疲れ様って声をかけてくれた。
お店もお客さんいっぱいで良かった。
「ポチちゃん凄かったよ! 声掛け凄かったよ」
「うん、リルムも見てて凄かった」
「ミッケちゃん、リルムちゃん、ありがとう!」
やっぱりミッケちゃんとリルムちゃんにほめられるのは嬉しいなあ。
「それでねポチちゃん、明日もお手伝いしてほしいんだけど良いかな?」
「もちろんポチ頑張るよ!」
おお、マーサさんからまたお手伝いのお願いが来たよ。
ポチいっぱい頑張るよ。
「でね、明日は隣のお肉屋さんの声掛けも一緒にしてほしいんだけど良いかな?」
「お肉屋さんの?」
「そこからはあたしが説明するよ」
「あ、お肉屋さんのおばちゃんだ」
パン屋さんに誰か入ってきた。
あれはパン屋さんに行く途中であった、熊のおばちゃんだ。
お肉屋さんの声掛けって、何するんだろ。
「実はね、最近オーク肉がいっぱい入荷したんだよ。いい肉何だけど売れないとしょうがないからね」
「美味しいお肉なら、みんなに食べて貰いたいね」
「そうなの、だから明日は美味しいお肉ありますよってポチちゃんに声掛けしてほしいの」
「それならポチにお任せだよ。パン屋さんもお肉屋さんも、いっぱいお手伝いするよ!」
美味しいお肉なら、色々な人に食べてもらいたいからね。
明日もいっぱいお手伝い頑張っちゃうよ。
「うんうん。マーサさん、この子たちはとても良い子だね」
「ミッケちゃんも、リルムちゃんも、ポチちゃんも、みんな良い子ですよ」
「明日が楽しみだよ」
マーサさんとお肉屋さんのおばちゃんが何か話しをしている。
もちろん、ミッケちゃんもリルムちゃんも、良い子だよ。
「マーサさん、明日は朝からお手伝いする?」
「リルムちゃん。そうね、みんなが大丈夫なら朝からお願いしようかな?」
リルムちゃんがマーサさんにお手伝いの時間を聞いてくれた。
明日は朝から頑張るぞ。
「今日は本当にありがとうね。みんなにパン焼いたから持っていってね」
「「「はーい」」」
マーサさんに見送られ、孤児院に帰ります。
シスターさんやおとこの子の分も、パンをいっぱい貰っちゃった。
「ポチちゃん、今日は凄かったね!」
「うん、凄かった。マーサさんも驚いていたよ」
「そんな事はないよ。お客さんに声を掛けていただけだし。ポチはミッケちゃんの様にパン並べられないし、リルムちゃんの様にお金の計算出来ないもん」
ミッケちゃんとリルムちゃんが、ポチ凄いと褒めてくれるけど、ポチはやっぱりミッケちゃんとリルムちゃんの方が凄いなあと思うよ。
「明日は朝から頑張ろうね!」
「うん、頑張る」
「ポチも頑張るぞ!」
手をつなぎながら、皆で明日にむけて気合を入れていたよ。
孤児院に着くと、玄関にシスターさんがいてポチ達の帰りを待っていてくれたよ。
「あら、みんなおかえりなさい。ポチちゃん、お手伝いどうだった?」
「ポチ、お手伝い楽しかったよ!」
「それは良かったね。今日は何をしたのかな?」
「今日はパン屋さんの声掛けをしたの。明日はパン屋さんとお肉屋さんの分の声掛けもするんだ」
「あら、もう他のお店からスカウト来たのね。それは凄いわ」
シスターさんに今日あったことを話したら、ニコニコしながら聞いてくれたんだ。
「シスター、パン屋さんがみんなにパンくれたよ」
「あらあら、こんなに沢山。後で御礼しないとね」
「うん、明日言っておく」
ミッケちゃんとリルムちゃんが、シスターにお土産のパンを渡していた。
そういえばおっちゃんのパン食べたことないなあ。
「さあ、みんなお風呂に入って夕ごはんにしましょう」
「「「はーい」」」
ミッケちゃんとリルムちゃんと一緒にお風呂に入って夕ごはんに。
夕ごはんにおっちゃんの焼いたパンが並んでいた。
「うーん、美味しい!」
「やっぱりパン屋さんのパンは美味しいね」
「うん、とても美味しい」
おっちゃんの焼いたパンは、とても美味しかったんだ。
ほっぺが落ちそうな美味しさだったよ。
よーし、明日もお手伝い頑張るぞ!
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元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
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魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
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最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
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「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
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転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
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前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
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ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
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