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第三章 王都

第百三十八話 従魔の名前

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 そして昼過ぎになると、従魔の活躍もあって薬草も沢山採れました。
 これなら結構な換金額になるでしょう。
 しかし、他のメンバーは薬草よりも新たな仲間に夢中になっています。

「オリガさんは、綺麗な青い小鳥ですね」
「はい、ハミングバードのつがいですね。サファイアとアクアマリンと名付けました」
「とても綺麗な名前ですね」
「「ピイ」」
「ピイ」

 オリガさんに懐いた青いハミングバードのつがいは、青色の宝石から名前が付けられました。
 今はエステル殿下の従魔であるショコラと、鳥同士で何か会話をしています。

「リンさんは、新たなアルケニーですね」
「はい、ポチと名付けました」
「あの、リン様? その名前って、昔リン様が飼っていた犬の名前では……」

 リンさん、流石にアルケニーに犬の名前はないんじゃないかな?
 オリガさんも、名前を聞いてちょっと苦笑しているぞ。
 因みにアルケニーが三匹になったので、皆で仲良くおしゃべりしています。

「それで、マリリさんはスライムにどんな名前を付けたんですか?」
「このスライムには、タコヤキってつけました。南のドワーフ自治領の名物だそうですね」
「いや、なんでスライムに食べ物の名前って、うちのスライムも全部食べ物の名前だったな」

 マリリさんも、従魔への名前の付け方が独特だなあ。
 しかしドワーフ自治領か、日本食の名前が出ているという事は日本文化に近いのかもしれないな。
 そして、一番揉めたのがコタローと仲良くなった飛竜の名前です。

「ニクが良いのでは?」
「トカゲはどうでしょうか?」
「いやいや、その名前はダメでしょう」

 リンさんマリリさんが、飛竜に対してとんでもない名前を付けようとしていたのだ。
 俺もその名前はないと否定したけど、飛竜も手をフリフリして否定していた。
 王城にいる飛竜はとっても頭が良かったので、子どもの飛竜でも人の言葉が分かるでしょう。
 結局は、ホワイトが提案したバハムートという名前で落ち着きました。
 というか、よくネズミのホワイトがバハムートという名前を思いついたな。
 リンさんやマリリさんよりも、よっぽど良い名前を考えるなあ。
 そしてコタローにも、少し変化が現れていた。

「ばー」
「グルル」
「きゃっきゃ」

 まさかのコタローが一番最初に喋った言葉が、バハムートのばーという名前の事だった。
 バハムートも、コタローを背中に乗せて一緒に歩いていきます。
 スライム軍団も、コタローと一緒にバハムートの背中に乗っています。

「凄いお友達ができたね」
「あう」

 コタローの周りを飛んでいるリーフもびっくりです。
 バハムートも全くコタローに危害を加えるつもりはない様なので、このままにしておこう。
 しかし流石に街の人の視線を集めています。
 防壁の守備兵にも、何事かと驚かれました。
 そして、そのまま冒険者ギルドに向かいます。

「おい、あれは何だ? 飛竜か?」
「朝、酔っ払いに絡まれていた赤ん坊じゃないか?」
「ははは、すげーボディーガードだな」

 うーん、何故か冒険者は喜んでいる人が多いぞ。
 コタローも、スライム軍団と共に周りの冒険者に手をフリフリしている。
 そして、薬草の換金と共に従魔登録をする事に。

「うーん、その飛竜はコタローちゃんに慣れているから、コタローちゃんの従魔として登録しておきましょうね」
「あの、赤ん坊のコタローが冒険者登録できるのですか?」
「実はね、出来るんですよ。制度上の不備だと思いますが、保護者の同意があれば何歳でも登録が可能なんですよ」
「うむ、確かに制度上の不備じゃな。登録年齢を調べて、制限をかけた方が良いじゃろう」

 まあ、制度問題はビアンカ殿下が聞いてくれたから動いてくれるでしょう。
 次いでだから、今日の薬草採取の報酬をコタローの冒険者カードに少し入れておこう。
 少しだけど薬草採取はしたからなあ。
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