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第三章 王都

第百八話 ケーキを頬張る高貴な男性

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 昼食後は王妃様とのお茶会なのだが、ここでちょっとしたトラブルが発生。

「「すー、すー」」
「寝ちゃったね」
「そうだね」

 コタローとウィリアムちゃんが、お腹いっぱいになっておむつを替えて貰ったらお互いにスヤスヤと眠ってしまったのだ。
 そして、コタローはライラック様に抱っこされている。
 勿論、ウィリアムちゃんは王太子妃様に抱っこされています。

「赤ちゃんだもの。こればかりはしょうがないわね」
「私がコタローちゃんを抱っこして連れて行くわね」
「申し訳ありません、フローラ様、ライラック様」

 コタローはまだまだ赤ちゃんだからしょうがないとはいえ、これからどうしようかなと想っていたらフローラ様とライラック様がコタローを抱っこして連れて行ってくれるという。
 エステル殿下のドレスへの着替えは少し時間がかかるというので、俺達は先にお茶会が開かれるという応接室に向かいます。

 コンコン。

「失礼します。皆様が到着されました」
「おう、入ってくれ」

 あれ?
 俺達を先導してくれた侍従がお茶会の会場となる応接室のドアをノックしたら、何故か応接室の中から男性の声がしてきた。
 俺は勿論の事、俺と手を繋いでいたフェアとレイアも男性の声にはてなとなった。
 一方のフローラ様とライラック様に加えて、リンさん達と王太子妃様はあちゃーって顔をしていた。
 この反応を見るに、どうやら応接室から声をかけてきた男性の事を知っている様だ。
 とりあえず、応接室の中に入ろう。

 かちゃ。

「おお、待っていたぞ」
「「待っていたぞ、お兄ちゃん」」
「あはは……」

 応接室には、予想外の人達がソファーに座っていた。
 先ずは街の巡回に同行していたはずのシロとミケが、従魔達と共にケーキを美味しそうに頬張っていた。
 そして謎の高貴そうな男性が個人用の椅子に座っていて、シロとミケと従魔達と共にケーキを頬張っている。
 そんなケーキを食べている人々を、ドレスアップしたビアンカ殿下とビアンカ殿下の従魔であるフランソワが呆れた目で見ていた。

 うん、何がなんだかさっぱり分からないぞ。
 とりあえず、一番事情を知っていそうなビアンカ殿下に話を聞いてみよう。

「ビアンカ殿下、これは一旦何が起きているのですか?」
「はあ、流石のサトーも困惑するよな。簡単に説明しよう」
「お願いします」

 ビアンカ殿下が溜息を漏らしながら、応接室にいる人達の事を教えてくれた。

「妾は元々この後のお茶会に参加予定じゃ。そうしたら、巡回に行っておったシロとミケが王城に戻ってきたので、そのまま応接室に招待したのじゃ。沢山の不審者を捕まえたと言う事で、妾が皆に褒美と言う事でケーキを出す様にしたのじゃ」
「お兄ちゃん、沢山の怪しい人を捕まえたよ!」
「軍務卿も喜んでいたよ!」

 ここまでの話を聞く限り、ビアンカ殿下とシロとミケ達がこの応接室にいるのは予定通りの様だ。
 シロとミケもちゃんと巡回を終えている様だし、何よりも最近従魔のリーダー格になってきたホワイトがうんうんと頷いているから間違いないだろう。
 するとビアンカ殿下は、ちょっと怒った表情で高貴そうな男性の事を睨みつけていた。

「妾もケーキを食べようと思ったら、突然応接室に父上が入ってきてな。妾の分のケーキを食べ始めたのじゃ」
「ははは、美味しい匂いを見つけたのでな。応接室に入ったら、ケーキがあったのだ」
「父上! 妾がちょっと部屋を出ている隙に、楽しみにしていたケーキを食べるとは!」

 あー、なるほど。
 ビアンカ殿下が怒っている理由が良く分かった。
 応接室からちょっと出ていた隙に、楽しみにしていたケーキを父親に食べられたのか。
 あと、ビアンカ殿下の父親って言う事は、この高貴そうな男性の正体ってあれだよな。
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