上 下
96 / 143
第三章 王都

第九十六話 王都に向けて出発

しおりを挟む
 謁見まであと八日、つまり今日はバスク子爵領を出発して王都に向かう日です。
 俺達は、朝から出発の為の準備をしています。
 メンバーは俺とシロとミケに、コタローとフェアとレイア。
 リンさんとオリガさんとマリリさんも、謁見対象なので王都に向かいます。
 エステル殿下とビアンカ殿下も王族として謁見には出ないといけないので、俺達と一緒に王都に向かいます。
 
「お兄ちゃんは後から来るんだよね?」
「ああ、明日には飛竜に乗って王都に向かうぞ」

 アルス殿下は残作業があるらしいので、明日バスク子爵領を立つそうです。
 飛竜なら、バスク子爵領から数時間で王都に着くそうです。

「わあ、馬車だ」
「大きい」

 バルガス公爵領からバスク子爵領へ向かう際の馬の暴走により、馬車はボロボロになっていた。
 ようやく馬車の修理も終わり、人を乗せられる様になった。
 馬車は補強の為に若干大きくなっていて、フェアとレイアもびっくりしていた。

「今回は赤ちゃんもいるのだから、くれぐれも暴走はするなよ」
「「ヒヒーン」」
「誰にモノを言っているんだって、お馬さんが言っているよ」
「俺は気遣いの出来る馬だと、お馬さんが言ってた」

 馬車を引くのは、すっかり顔馴染みになった馬二頭だ。
 というか、馬は魔獣化したブレッドを吹き飛ばす様な強者になってしまったし、何処かで馬の扱いをバルガス様と相談しないといけないな。
 という事で、王都に向けての出発準備は完了です。

「テリー様、色々とありがとうございました」
「いやいや、こちらこそ大変世話になった。また、バスク子爵領に遊びに来てくれ」

 先ずは、テリー様とガッチリ握手をする。
 テリー様には、本当にお世話になったな。

「サトー様、道中はリンの事を宜しくね」
「子ども達は任せて頂戴、しっかりと面倒を見ておくわ」
「サトーには世話になった。リンをよろしくな」

 エーファ様とサーシャさんにも、色々とお世話になった。
 ラルフ様も忙しいのに、俺達に顔を見せてくれた。
 出会った貴族の人が、皆良い人で本当に良かった。

「サトーさん、本当にお世話になりました。サトーさんに出会えたからこそ、キャロルと再会できたのだと思っています」

 エルシーは、そのままバスク子爵家の屋敷で働く事になった。
 まだ幼いキャロルを育てながらだけど、もう悲観的な表情をする事はなかった。

「「「お兄ちゃん、ばいばーい」」」
「元気でな」

 保護された子ども達は、全ての親と連絡がついたそうだ。
 誘拐されて辛い目にあった分、これからは幸せに暮らして貰いたい。
 他の人も挨拶が終わったので、俺も馬車に乗り込みます。

「では、出発します」
「「ヒヒーン」」

 御者を務めるオリガさんが合図を出すと、馬はひとなきして歩き始めた。
 オリガさんが指示を出す前に馬が動き始めたけど、もうオリガさんも馬の行動を気にしていない様だ。

「「ばいばーい!」」
「「「ばいばーい」」」

 そして、シロとミケは馬車の後ろから屋敷に残る子ども達へ両手を振っていた。
 フェアとレイアも、控え目ながら手を振っていた。
 屋敷に残る子ども達も、元気いっぱいに馬車へ手を振っていた。
 お互いに、姿が見えなくなるまで手を振っていた。
 さあ、王都に向けて出発です。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界まったり冒険記~魔法創造で快適無双~

南郷 聖
ファンタジー
普通の学校に通う普通のオタクな高校生「坂本 匠」16歳は童貞だ。 将来の夢は可愛い女の子と付き合ってあんなことやこんなことをすること。 しかしその夢は、放火の魔の手によってもろくも崩れ去る。 焼死した匠の目の前に現れたのは、ナイスバディな女神様。 その女神様の計らいで異世界に転生することになった主人公。 次の人生では女の子にモテるような人生を歩むことを心に誓い、転生を決意する。 果たして匠は異世界で童貞を捨てることはできるのか!?

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~

御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。 異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。 前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。 神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。 朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。 そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。 究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

田舎で師匠にボコされ続けた結果、気づいたら世界最強になっていました

七星点灯
ファンタジー
俺は屋上から飛び降りた。いつからか始まった、凄惨たるイジメの被害者だったから。 天国でゆっくり休もう。そう思って飛び降りたのだが── 俺は赤子に転生した。そしてとあるお爺さんに拾われるのだった。 ──数年後 自由に動けるようになった俺に対して、お爺さんは『指導』を行うようになる。 それは過酷で、辛くて、もしかしたらイジメられていた頃の方が楽だったかもと思ってしまうくらい。 だけど、俺は強くなりたかった。 イジメられて、それに負けて自殺した自分を変えたかった。 だから死にたくなっても踏ん張った。 俺は次第に、拾ってくれたおじいさんのことを『師匠』と呼ぶようになり、厳しい指導にも喰らいつけるようになってゆく。 ドラゴンとの戦いや、クロコダイルとの戦いは日常茶飯事だった。 ──更に数年後 師匠は死んだ。寿命だった。 結局俺は、師匠が生きているうちに、師匠に勝つことができなかった。 師匠は最後に、こんな言葉を遺した。 「──外の世界には、ワシより強い奴がうじゃうじゃいる。どれ、ワシが居なくなっても、お前はまだまだ強くなれるぞ」 俺はまだ、強くなれる! 外の世界には、師匠よりも強い人がうじゃうじゃいる! ──俺はその言葉を聞いて、外の世界へ出る決意を固めた。 だけど、この時の俺は知らなかった。 まさか師匠が、『かつて最強と呼ばれた冒険者』だったなんて。

前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~

櫻木零
ファンタジー
20XX年。特にこれといった長所もない主人公『朝比奈陽翔』は二人の幼なじみと充実した毎日をおくっていた。しかしある日、朝起きてみるとそこは異世界だった!?異世界アリストタパスでは陽翔はグランと名付けられ、生活をおくっていた。陽翔として住んでいた日本より生活水準が低く、人々は充実した生活をおくっていたが元の日本の暮らしを知っている陽翔は耐えられなかった。「生活水準が低いなら前世の知識で発展させよう!」グランは異世界にはなかったものをチートともいえる能力をつかい世に送り出していく。そんなこの物語はまあまあ地頭のいい少年グランの異世界建国?冒険譚である。小説家になろう様、カクヨム様、ノベマ様、ツギクル様でも掲載させていただいております。そちらもよろしくお願いします。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

処理中です...