異世界に転生したら、いきなり面倒ごとに巻き込まれた! 〜仲間と一緒に難題を解決します!〜

藤なごみ

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第二章 バスク子爵領

第九十五話 皆の日用品を買いに行きます

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 謁見まであと九日、そして王都へ明日出発するに辺り、今日は出発する為の準備を行います。

「お、お兄ちゃん……」
「ぱ、パパ」
「あうあう」
「はいはい、どうしたかな?」

 そう、俺に懐いていて話の流れで俺が保護者になった三人の子どもの事だ。
 ダークエンジェルのフェアは、シロとミケの真似をして俺の事をお兄ちゃんと呼ぶ様になった。
 しかし、ハイエルフのレイアは何故か俺の事をパパと呼んでいて、俺はエステル殿やビアンカ殿下からも揶揄われている。
 コタローはまだ喋る事ができないので、話すのは赤ちゃん言葉だ。
 三人の子どもは服や下着の替えを持っていないので、日用品を色々買いに行く予定だ。
 なのだが、

「私は冒険者ギルドに行ってくるよ」
「薬草を沢山採ってくるよ」
「目指せ、薬草ハンター!」
「「おー!」」

 自分の買い物ではないので、早速三人が逃げ出した。
 エステル殿下とシロとミケは、既に冒険者服と騎士服に着替えていた。
 しかも買い物途中の俺達と遭遇しない様に、荷物運びではなく薬草採取に行くという徹底ぶりだ。
 しかも、従魔達もシロとミケにくっついて行く様だ。
 スライム達も触手を上げてやる気になっていた。
 因みに、シロとミケとエステル殿下のお守りにオリガさんとガルフさんが同行するという。
 本当にすみません。

「妾も色々と仕事があるので、サトーに同行できない」
「すみません、私も学園のレポートを書きたいので」

 ビアンカ殿下とリンさんは仕事なので、俺と同行できないのは仕方ない。
 しかし、リンさんが学園のレポートを書くのにエステル殿下が書かなくて良いのかは大いに疑問だ。
 と言うことで、俺はフェアとレイアとコタローを連れて、オース商会に向かった。

「おや、これはこれはサトー様。本日はお子様をお連れですか?」

 早速オース商会の会長が出迎えてくれたので、要件を伝えよう。

「この子達の服と下着を見繕って欲しいのですが。ある程度の数を頂けますか?」
「畏まりました。抱っこ紐とオムツもご用意致します」

 おお、流石は会長だ。
 ずっと腕でコタローを抱っこしていた俺を見て、抱っこ紐をお勧めしてくれた。
 抱っこ紐だけは真っ先に購入しよう。

「この時期の子どもは直ぐに大きくなりますので、少し大きめの服でも問題御座いません」

 会長から女性店員にバトンタッチして、フェアとレイアにあった服を見繕って貰う。
 二人とも幼いけど美人さんだから、どんな服を着ても似合う。
 気がついたら、結構な量の服を選んでしまっていた。
 コタローには、赤ちゃん用の服を選んでいく。
 着ぐるみみたいな可愛い服もあったので、勿論買っていく。
 オムツは今のサイズと少し大きめの物も購入しよう。
 
 三人の服やオムツも購入し終わって、ふと思った。
 屋敷にいる子ども達の服も必要だよな。
 
「すみません、屋敷に保護した子どもがまだいるんですけど、服を見繕って貰うことはできますか?」
「確か、誘拐されたお子様が保護されているとお聞きしております。では、お屋敷まで出張致しましょう」
「よろしくお願いします。先にお金を払います」
「畏まりました」

 三人の買い物も終わったし後は屋敷に帰るだけなので、オース商会の人と共に屋敷に戻った。

「「「わー!」」」

 屋敷に戻って子ども達に服を見せると、目を輝かせて服を手に取っていた。
 侍従も手伝って、自分の気に入った服に着替えている。

「サトーさん、子ども達の為にわざわざありがとうございます」
「三人だけに服を買うと、他の子に不公平だと思ったので。あ、お金は払っていますよ」
「この辺の気遣いは、流石サトーじゃ」

 俺はリンさんとビアンカ殿下からも褒められているけど、お金はある訳だしこの位はしても問題ないだろう。

「「「ただいま! お土産買ってきたよ」」」
「「「わー! ケーキだ!」」」

 と、ここで薬草採取に行っていたシロとミケとビアンカ殿下が帰ってきた。
 今日の薬草採取の報酬で子ども達にケーキを買ってきた様で、服を選び終わった子ども達がケーキの元に集まっていった。
 
「子どもはやっぱり甘い物が好きだからね。いっぱい食べて大きくならないと」

 ケーキを食べて笑顔になっている子ども達を見て、何故か得意気のエステル殿下。
 しかし、俺達はエステル殿下の別の所に視線を向けていた。

「ピー」

 そう、何故かエステル殿下の肩に小さなフクロウがちょこんと乗っていたのだ。
 ピーピー鳴いているので、まだ雛なのかな?

「エステルお姉様。その、肩に乗っているフクロウはなんじゃ?」
「あー、この子ね。薬草採取の時に出会ったの。ショコラって言うんだよ」
「ピー」

 ビアンカ殿下に肩に乗っているフクロウを指摘されたエステル殿下は、満面の笑みで経緯を説明していた。
 フクロウはとても小さいのに、ちょこんと俺達にお辞儀をしていた。
 エステル殿下と違って、とても礼儀正しいフクロウの様だ。
 
「ビアンカちゃんのフランソワが羨ましかったんだよ。だからショコラとお友達になったのが、もう嬉しくて嬉しくて」
「ピッ、ピー」

 エステル殿下がショコラに頬ずりしているけど、エステル殿下のショコラへの愛が強すぎてショコラは困惑気味だ。
 これはショコラは苦労するなと、俺だけでなくリンさんやビアンカ殿下も思ったのだった。
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