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第二章 バスク子爵領

第八十二話 今日の成果報告

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 夕方になったので、ホワイトとタラちゃんとフランソワの帰りを待ってから冒険者ギルドに向かった。

「おお、お嬢ちゃん達か。今日荷物運びをしている所を見たが、お嬢ちゃん達は力持ちだな」
「ふふふ、シロは力持ちなのだ」
「ミケも力持ちだよ」
「ワハハ。そうかそうか、そりゃすげーな」
「「えへへ」」

 冒険者ギルドについて手続きを済ませている間、シロとミケの周りには沢山の屈強な冒険者が集まっていた。
 どうも自分の仕事の合間にシロとミケの荷物運びを見ていた様で、シロとミケも屈強な冒険者に頭を撫でられてご機嫌だった。
 シロとミケは悪い人ではなければ、どんな人にも積極的に接するからな。

「シロ、ミケ、帰るぞ」
「「じゃーね!」」

 シロとミケは、冒険者に挨拶してから俺の所にやってきた。
 シロとミケは、屈強な冒険者達とはすっかり友達になったみたいだ。
 さて、屋敷に戻ってテリー様と今後の事を話さないと。

「おかえりなさーい!」
「お、リーフか。ただいま」

 屋敷に戻ると、防壁の警備から帰ってきていたリーフが俺達を出迎えてくれた。
 リーフは、ご機嫌な様子で俺の周りをくるくると回っていた。

「おお、帰ってきたか」
「はい、今戻りました」

 ちょうどテリー様も、俺達の事を出迎えてくれた。
 どうやら、テリー様からも俺達に話があるらしい。
 俺達も渡りに船という事で、皆で応接室に向かいます。

「先ずはサトー殿から話を伺おうか」

 応接室に入って出された紅茶を飲んでから、テリー様は俺に話しかけてきた。
 俺は、ホワイトとタラちゃんとフランソワの報告を混ぜながら話し始めた。

「ワース商会は、オース商会の前に構えている店舗の他にバスクの街にもう一つ拠点を構えている様です。どうやら、もう一つの拠点が奴らの本命の様です」
「ふむ、奴らは店舗を隠れ蓑として別の所で暗躍しているのか」
「はい、因みにワース商会への潜入調査の結果、奴らは明後日の夜に何か動きがあるそうです」

 ホワイトとタラちゃんとフランソワの潜入調査の結果、明後日の夜に店舗からもう一つの拠点に馬車を出すという事が分かった。
 明らかに何かあると予想していいだろう。

「では、次はこちらの番だな。サトー殿の従魔達が、防壁の警備を頑張ってくれた。お陰で多くの不審者を捕らえる事ができた」
「むふー」

 テリー様がリーフやスライム達の事を褒めると、リーフがドヤ顔で俺の事を見ていた。
 スライム達も触手をふりふりして、俺達にやったぞとアピールしていた。

「捕らえた者の多くは普通の犯罪者だが、数人闇組織の構成員がいた。尋問した結果、どうやら王都側の門に近いスラム街に奴らの拠点がある事が分かった」
「となると、ワース商会がこの街に持っているもう一つの拠点は、尋問した結果と所になりそうですね」
「うむ、その場所へ兵の巡回を強化した。奴らが尻尾を出すとは考え難いが、やらないよりかは良いだろう」
「人の目があるだけで、犯罪者は警戒しますからね」

 拠点の目安が分かるだけで、俺達としても動きやすくなる。
 そして、現場突入のタイミングも決定した。

「となると、明後日の夜に奴らを押さえる事になるな」
「はい、ワース商会から出た馬車の後を追い、拠点が発覚次第突入ですね」
「調査継続だが、もう一つの拠点の方が本命じゃな。店舗は騎士や兵に任せて、妾達はもう一つの拠点に向かうとするか」
「ふふふ、これは腕がなるわね」
「「悪い人は、全部捕まえるよ」」

 ビアンカ殿下とも話をして、これからの方針が決定した。
 現場突入の方針が決定したら、何故かエステル殿下とシロとミケがやる気を出していた。

「因みに、サトー殿は明日は如何なされますか?」
「実は、本日のオース商会の手伝いを頑張ったら他の商会からも声をかけられまして。明日もワース商会の監視をしつつ、商会の手伝いになります」
「うむ、分かった。リンよ、地元の人の為にしっかりと働くのだぞ」
「はい、お父様」

 これで明日行う事も確定し、話し合いは終了です。
 しかし、リンさんにしっかりと働く様に言うテリー様は、やっぱり凄いなと思った。

「はい、フルーツの盛り合わせですよ」
「一杯食べて下さいね」
「「「わーい!」」」

 因みに今日は皆頑張ったという事で、シロとミケに従魔達全員にご褒美が配られていた。
 サーシャさんとエルシーさんが皆の前へフルーツの盛り合わせを配っているが、何故かエステル殿下の前にもフルーツの盛り合わせが配られていた。
 因みにリーフ達が捕まえた犯罪者には賞金首がいたらしいが、賞金は辞退して寄付するという。
 オース商会も今日は大儲けした筈だが、俺達は依頼料以外は受け取らなかった。
 なので、皆にはこのご褒美はたっぷりと食べて貰いたい。

「うーん、労働の後の甘い物は格別だなあ」
「あの、エステルお姉様。もう少し遠慮して貰うとありがたいのだが」

 因みに、エステル殿下はビアンカ殿下の忠告もスルーして、フルーツの盛り合わせをお代わりまでしていた。
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