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第二章 バスク子爵領

第八十話 お仕事開始!

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 朝の訓練が終わり朝食を食べたら、今日は一日冒険者活動です。
 でも、その前に守備兵に防壁の警備に行くリーフやスライム達を託します。
 このバスク子爵領には、王都側とバルガス公爵領側とブルーノ侯爵領側の三つの門があるので、リーフとスライム達も三分割して向かう事に。
 王都側はリーフといちごとラムネが、バルガス公爵領側にはメロンとチョコとぶどうが、ブルーノ侯爵領側には、プリンとおもちとあんこが向かいます。

「いってきまーす!」
「「頑張ってね!」」

 リーフの元気な声に、シロとミケが返答します。
 リーフとスライム達は、やる気満々でこちらに手と触手を振っていた。
 さて、俺達も冒険者ギルドに向かいます。

「はい、では頑張って下さいね」
「「はーい」」

 オース商会の会長が本日の手伝いをわざわざ指名依頼にしてくれたので、冒険者ギルドの受付で依頼の手続きを行います。
 今日の冒険者活動には、エルテル殿下とビアンカ殿下の護衛も兼ねてガルフさんとマルクさんが引き続き参加します。
 個人的にはエステル殿下とビアンカ殿下の強さを考えると護衛はいらないと思うのだが、ここは形式的にも護衛をつける事になります。
 という事で、無事に手続きも終わったのでオース商会に皆で向かいます。

「「おはようございます!」」
「やあ、シロちゃんミケちゃんおはよう。今日は宜しくね」
「「はーい」」

 店頭では、丁度オース商会の会長が店前の路地の掃除をしていた。
 会長自ら掃除をしているとは、中々ない事だ。
 早速、皆で手分けしてお手伝いを開始した。

「じゃあ、こっちも行ってくるね!」
「気をつけてね」

 オース商会の街道を挟んで向かい側にあるワース商会に潜入する為、ホワイトとタラちゃんとフランソワが俺に挨拶してワース商会に向かって行った。
 昨日の夕食時のご褒美効果もあってか、ホワイト達はやる気満々でワース商会に乗り込んで行った。

 さて、俺達もワース商会の監視をしつつ、キチンとオース商会の仕事を手伝います。
 
「荷物がきたぞ!」
「ここはシロの出番だよ」
「ミケも頑張る!」
「私も、荷物運びが良いな」

 沢山の荷物を積んだ馬車が店先に到着したので、力持ちのシロとミケがどんどんと店の奥に荷物を運んでいく。
 エステル殿下も荷物運ぶ方が楽だというので、積極的に荷物運びを手伝っていた。
 そして、荷物の陳列をリンさんとオリガさんとガルフさんが行なっている。

「奥様、こちらの商品は如何でしょうか?」
「こちらの商品が良くお似合いですよ」

 マルクさんとマリリさんは、店内で接客を担当している。
 執事と侍従というだけあってか、さりげない接客でお客からも好評だ。

「ほい、サトーできたぞ」
「はい、こちらになります。ありがとうございます」

 そして、ビアンカ殿下と俺は何故かレジ打ちと品物の包装を行なっていた。
 たまたまレジ担当の店員が体調不良で休みになったので、俺とビアンカ殿下の出番となったのだ。
 この世界はレジみたいな魔導具に金額をセットしてお客のカードを読み取れば良いので、俺でもビアンカ殿下でも簡単に扱える事ができる。

「これは素晴らしい。皆様の能力が高いので、普段よりもお客様が沢山来ております」
「特にマリリさんとマルクさんの接客能力が高いですね。俺には到底真似できないです」

 オース商会の会長も、ホクホク顔で俺達と店内の様子を見ていた。
 店内は沢山のお客で溢れかえっていて、俺達に依頼料を払ったとしても十分にお釣りが出るだろう。
 お客の数が多いのでいつの間にかリンさんも接客にまわっていて、オリガさんとマルクさんも品物の補充で忙しく動き回っていた。
 すると、隣の店の店主と思われる人がオース商会の会長に話しかけてきた。
 何やらトラブルが発生した様だ。

「会長、すまんが誰か人手を貸してくれないか? 荷物が予想よりも多く届いて、人手が足りないんだ」
「おや、それは大変ですな」

 おお、確かに隣の店頭には二台の荷馬車が止まっていた。
 確かに、この量の荷物を運ぶのはとても大変だ。
 すると、シロとミケが会長の所にやってきた。

「ここはシロの出番だよ!」
「ミケも頑張るよ。エステルお姉ちゃんも頑張ってくれるはずだよ」
「では、すまんが頼めるか?」
「「了解!」」

 力仕事はお任せということで、シロとミケがエステル殿下の手を引っ張って隣の店に向かって行った。
 エステル殿下はええって顔をしていたけど、ここは頑張って手伝いをしてもらいたい。
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