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第二章 バスク子爵領

第七十六話 早速ワース商会に潜入開始

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 冒険者ギルドを出た俺達は、今度は別の場所に向かう事に。

「バスク子爵家の御用商人に、ワース商会の情報を聞きに行きます」
「こういうのは、出来るだけ早い方が良いな」

 という事で、冒険者ギルドのすぐ近くにあるバスク子爵家の御用商人であるオース商会に向かいます。
 
「おお、商品がいっぱいだよ」
「食べ物もあるよ」

 オース商会に着いた俺達は、マリリさんが会長への取次をしている間にちょっとした買い物をする事に。
 流石御用商人というだけあって、品物がとても充実している。
 シロとミケも、エステル殿下と共に早速食べ物コーナーに行ってドライフルーツなどを購入している。
 俺はというと、調理道具や野営用の道具を購入していく。
 調味料も興味を引くのがあったので、併せて買っていこう。
 リンさんやビアンカ殿下は、服を選んで購入していた。
 
「皆様、面会のご用意ができました」

 ちょうど全員の買い物が終わった所で、マリリさんが俺達を呼んできた。
 俺達は、商会の二階に上がって会長の部屋に入った。

「失礼します。皆様が来られました」
「おお、そうか。入ってくれ」

 執務室の中から声がしたので、俺達は中に入った。
 すると、如何にも商人らしい恰幅の良い人物が立っていて、俺達を出迎えてくれた。
 
「リンお嬢様、お久しぶりでございます。お元気そうで何よりです」
「会長も相変わらずお元気ですね」

 リンさんと会長が挨拶をして、面会はスタート。
 お互いに自己紹介をするが、流石商人というかビアンカ殿下とエステル殿下の正体を知っても丁寧に対応していた。

「あの、サトー様は本当に貴族様ではないのですか?」
「はい、私は平民です」
「はあ」

 何故か会長はビアンカ殿下やエステル殿下の正体よりも、俺が貴族でない事を疑問に思っていた。
 俺はどこから見ても、立派な平民です。
 そんな俺の気持ちを置き去りにして、話はスタート。

「ワース商会の噂は、我々も良く聞いております。組合にも所属しておらず、単独で活動しております。そして店頭に用心棒も立てていて、中々様子を伺う事ができません」
「もうこの時点で怪しさ満点じゃな。己らの様子を探られたくない様じゃな」

 ビアンカ殿下の言う通りだ。
 余程、他の人に知られたくない情報があるのだろう。

「ワース商会の店頭に並んでる商品も殆どが輸送用で、お客様がワース商会で買い物をする事はまずありません」
「商品も勘付かれるのが嫌な物なんですね」

 会長の言う通りだと、商品が盗品という噂も否定できない。
 でも普通の人では、ワース商会の様子を探る事もできない。
 と言う事で、ここは俺達の出番です。

「妾達には内偵可能な従魔がおる。ここはフル活用するぞ」
「そうですね。タラちゃんにホワイト、それにビアンカ殿下の従魔のフランソワも出動ですね」
「ふふふ、腕がなるわね」
「全てを暴いてやるぞ」
「夕方にオース商会に来るから、そこで合流しよう」
「「はーい」」

 既に、タラちゃんとホワイトとフランソワは準備運動みたいに体を動かしていた。
 そしてタラちゃんとホワイトとフランソワは、二階の会長の執務室から器用に移動して、あっという間にオース商会の斜め向かいにあるワース商会に侵入していった。

「さて、暫くは我々も足を動かすか」
「そうね。ここは身軽な冒険者として動きますか」

 ビアンカ殿下とエステル殿下の話す通り、ここからは俺達も出来るだけ情報を集めよう。
 
「お兄ちゃん、どんな依頼を受けるの?」
「薬草を採るの?」
「力仕事になるかな? 商会のお手伝いをしつつ、ワース商会を監視する予定だ」
「おお、力仕事ならシロにお任せだよ!」
「ミケもいっぱいお手伝いをするよ!」

 シロもミケも力持ちだし、商会のお手伝いは大丈夫だろう。
 という事で、俺達は一旦屋敷に戻る事にした。
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