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第二章 バスク子爵領

第七十四話 バスク子爵領の冒険者ギルドに到着

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「ぐふう、朝から疲れた……」

 食堂に着いた俺は、朝っぱらからのシロとミケとの訓練で疲れてしまい、思わずテーブルに突っ伏してしまった。

「あの、サトーさん大丈夫ですか?」
「朝から死闘を繰り広げるとは思いませんでした」
「あ、あはは。そ、そうだったんですね」

 水を持ってきてくれたエルシーと話をするが、シロとミケとの対戦で本気で死にそうだったからな。
 因みに、エルシーはメイド服を着て早速サーシャさんの指導を受けていた。
 エルシーはとてもやる気がある様で何よりです。

「サトー、この後冒険者ギルドに向かう。サトーもついてくるのじゃ」
「分かりました」

 朝食を食べながら、ビアンカ殿下から話があった。
 冒険者ギルドで目撃のあったビルゴの仲間の件もある。
 今日も忙しくなりそうだ。

「「ギルドに行くぞ」」
「「「おー!」」」

 朝食も終わり、皆で冒険者ギルドに向かいます。
 シロとミケの掛け声に、従魔達が答えます。
 因みに、リーフは最近お気に入りの俺の胸ポケットの中にいます。
 そして、冒険者ギルドへは街の様子を見る為に歩いて行きます。
 
「おお、馬車がいっぱい!」
「色々な馬車があるね!」
「バスク子爵領は交通の要所でもありますので、多くの商会の中継地があります」
「王都からバスク子爵領を通ってバルガス公爵領や南の地域、そしてブルーノ侯爵領やランドルフ伯爵領に通ずる。バスク子爵領は、まさに交通の一大拠点じゃ」

 バスク子爵領は、高速道路でいうジャンクションの役割をしているのか。
 だからなのか、街には多くの商会が立ち並び、多くの馬車が行き交っていた。
 そして、少し歩くと冒険者ギルドに到着。
 流石にバルガス公爵領の冒険者ギルドよりは小さいけど、子爵領としては大きい分類だろう。

「「わあ、人がいっぱいだよ」」
「まだ朝だから、依頼を受ける人が沢山いるんだよ」
「「そうなんだ」」

 冒険者ギルドに足を踏み入れると、多くの冒険者が受付に並んでいた。
 全体的に屈強な感じの人が多いな。
 すると、シロとミケは受付に並んでいる冒険者に話しかけていった。
 相変わらず積極的な性格だな。
 因みにマリリさんは、ギルドマスターとの面会をする為に受付の奥に向かっています。

「おっちゃん、どんな依頼をするの?」
「おお、筋肉凄いね」
「わはは、元気な嬢ちゃんだな」
「俺らは荷物運びだ。たまに商会の護衛もするぞ」
「おお、カッコいい」
「凄い凄い」
「そ、そうか。はは、ありがとな」

 シロとミケは、良い人だと思ったら遠慮なく話しかけるからな。
 筋肉ムキムキの冒険者も、小さな冒険者に褒められて思わず照れていた。

「いやあ、あの積極性は凄いのう」
「意外と大きな武器になりそうですね」

 ビアンカ殿下も褒めるシロとミケの積極性だ。
 もしかしたら、聞き込みとかで大きな威力を発揮しそうだな。

「ねえねえ、最近何か変な事とか噂とかあった?」
「おう、間違いなくワース商会だな」
「「ワース商会?」」
「ああ、あそこは怪しいな。依頼を受ける冒険者も曰く付きが多いな」
「俺らみたいなまともな冒険者は、ワース商会の依頼は受けないぞ」
「「おお、凄い凄い!」」

 おお、シロとミケは冒険者に話を聞いて、いきなりキーワードになりそうな情報が出てきたぞ。
 商会の名前からして、とても怪しい商会だな。

「ふむ、ワース商会か。確か最近勢力を伸ばし始めた商会だな」
「確か、強引な手口もあるって、お父様が言っておりました」
「これは調べておいた方が良いですね」

 女性陣もワース商会について疑問に思い始めた様だ。
 早速、ビアンカ殿下とリンさんがタブレットみたいな魔導具で何かをし始めた。
 何故かタブレットを操作するビアンカ殿下が悪い表情をしているが、気にしない事にしよう。

「皆様、ギルドマスターとの面会準備が出来ました」
「分かりました。シロ、ミケ、そろそろ行くぞ」
「「はーい、おっちゃんありがとう」」
「おう、嬢ちゃんも気をつけてな」
「嬢ちゃんも頑張れよ」

 マリリさんから声をかけられたのでシロとミケを見ると、いつの間にか多くの冒険者とワイワイ話をしていた。
 シロとミケのコミュニケーション能力には、本当に驚かされるな。
 でもそのコミュニケーション能力が、今回はかなり役に立ったぞ。
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