異世界に転生したら、いきなり面倒ごとに巻き込まれた! 〜仲間と一緒に難題を解決します!〜

藤なごみ

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第二章 バスク子爵領

第六十八話 大暴走の結果

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 やばい、馬車の中がとんでもない事になっている。
 俺は自分に回復魔法をかけてから、馬車の中へ生活魔法を使った。
 特に、マリリさんのところは入念に生活魔法をかけた。
 そして、一人づつ回復魔法をかけていく。
 御者をしていたオリガさんに回復魔法をかけたところで、守備兵が馬車にやってきた。

「失礼します。え、リン様! だ、大丈夫ですか?」
「わ、私は何とか大丈夫ですが、マリリが気絶しています。屋敷まで運んで下さい」
「分かりました。おい、誰か担架を運んでこい」

 馬車の中の惨状とぐったりしているマリリさんを見て、守備兵が慌ただしく動き始めた。
 ようやく俺達も動き出せる様になったので、馬車の中から次々と降りた。
 おや?
 御者席にいるオリガさんも、全く動かないぞ。
 俺がオリガさんに話しかけようとしたところで、オリガさんがこてんと倒れた。
 あ、オリガさんも白目を向いている。

「す、すみません。担架をもう一つ用意して下さい」
「分かりました」

 俺は守備兵に追加の担架を頼みつつ、オリガさんの服と座っていた場所を生活魔法で綺麗にした。
 オリガさんに生活魔法をかけた理由は、オリガさんの尊厳を守る為に言わない。
 うん、このスピードで御者席に座っていれば、こうなる事は分かる。
 オリガさんは、マリリさんと共に守備兵によって担架で運ばれていった。

「う、うう、気持ち悪い」
「エルシーさん、大丈夫ですか?」

 エルシーもなんとか意識はあるのだが、馬車を降りた途端に道端で戻し始めた。
 リンさんがエルシーの背中をさすっていて、おもちが追加の回復魔法をかけていた。

「全く、あまりにも急ぎすぎじゃ。全員動けなくなるところじゃったぞ。馬も、魔法が使えるからとはしゃぎすぎたな」
「あそこまで急ぐ必要はなかったよ。マリリさんとオリガさんも担架で運ばれちゃったし、逆効果だったね」
「「「ごめんなさい」」」
「「ヒヒーン」」

 そして、馬に急ぐ様に言ったシロとミケとリーフに馬本人には、ビアンカ殿下とエステル殿下が注意していた。
 まあマリリさんの体調が危ないと思ってスピードを上げてと言った訳であって、わざとスピードを上げてはいないのでビアンカ殿下とエステル殿下も注意程度に収めている。

 そして、俺は守備兵と話をしていた。
 何故かというと、他に話せる人がいないのもあります。

「予定では本日の夕方に到着するという話でしたが、随分とお早い到着でしたね。まだお昼ですよ」
「まあ、マリリさんが体調が良くないと思って馬がかっ飛ばしたのもあります。結果はあんな事になってしまいましたが」

 既にバスク子爵領の守備兵には、俺達の大体の到着時間が伝えられていたらしい。
 予定よりもかなり早く着いたので、守備兵も驚いていた。
 そして、今度は馬車に連結している檻について話をする。

「こいつらは、道中でリンさんが面倒を見ている女性を襲ったので討伐しました。鑑定したら、賞金もかけられていない唯の盗賊でした」
「そこまで調べてもらっていると、こちらの取り調べも行いやすいです。では、こいつらも連れて行きます」
「よろしくお願いします」

 檻と馬車を結んでいる紐を外して、檻ごと守備兵に引き渡した。
 因みに盗賊達はリアルジェットコースターになった為に、全員が気絶していた。

「しかし、馬車が砂煙を上げて走ってくるのを見てびっくりしました。魔物が襲ってきたと勘違いしましたよ」
「申し訳ないです。緊急時でない限り、あんなスピードを出す事はないので」

 守備兵が笑って答えてくれたけど、かなりの警戒をさせてしまった様だ。
 本当に申し訳ない。

「ぐふ、もう、ダメです」
「ああ、エルシーさんしっかりして。誰か担架を持ってきて下さい」
「分かりました」

 あ、おもちの治療の甲斐もなく、エルシーもダウンしてしまった様だ。
 リンさんが、守備兵に追加の担架を要求していた。
 そして、更に問題が発生した。

「この馬車なんですが、車輪が壊れる寸前ですね。修理をしないといけないです。取り急ぎ馬がゆっくりと馬車を引くのはいいのですが、これでは人は乗れませんね」
「あのスピードで走れば、馬車もこうなりますよね。道中壊れなくてよかったと思いたいです」

 馬車を見てくれていた守備兵に、俺は苦笑しながら話していた。
 ほぼ新品の状態でもらった幌馬車が、一泊二日の旅で壊れてしまったとは。
 バルガス様にも謝らないといけないな。
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