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第一章 バルガス公爵領
第五十六話 急遽バスク子爵領へ向かう事に
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ちゅーちゅーちゅー。
ちゅーちゅーちゅー。
なんだなんだ?
俺は、頬を何かに吸われる感覚で目が覚めた。
もしかして、蚊か何かかな?
「あ、起きた」
蚊だと思ったら、リーフが俺の頬をちゆーちゅーと吸っていた。
「お兄ちゃん、魔法沢山使ったらお腹すいちゃった」
「あー、はいはい。分かったよ。でも、魔力を吸いすぎて腹を壊すなよ」
「分かった。ちゅーちゅー」
リーフも沢山魔法を使ったからなのか、一心不乱に俺の魔力を吸っていた。
まだ眠くて頭が回らず、この位はしょうがないと思って視線だけ横を見ると、まだシロとミケが俺にくっついて寝ていた。
よく見ると、スライム達やタラちゃんと一緒にホワイトもベッドで寝ていた。
昼前まではまだ時間がありそうなので、俺はもう一回眠りについた。
「サトー、蚊にでも刺されたか? 頬が赤いぞ」
ようやくシロとミケも起きたので皆で応接室に向かったら、ビアンカ殿下に俺の頬を指摘された。
俺の肩に乗っているリーフを手のひらに移して、話を聞いた。
「いっぱい魔力を吸っちゃった」
リーフには、テヘヘといった感じで軽く言われてしまった。
俺は頬に回復魔法をかけつつ、リーフがチューチューと魔力を吸っている時は吸った場所を気をつける様にしようと心に誓った。
応接室に続々と人が集まってきたのだが、何故か冒険者ギルドマスターのマリシャさんも参加していた。
そして、話し合いの冒頭でマリシャさんが俺達に謝罪した。
「この度は、冒険者ギルド所属の冒険者が大きな事件を起こし、大変申し訳ございません」
「今回は、冒険者ギルドが上手く使われてしまった側面もある。防ぐのは中々難しいだろう」
「それでも事件が起きてしまったのは事実です。また、初心者向け講習も全面的に見直す事になりました」
マリシャさんに対してバルガス様が答えているが、確かにビルゴがうまく冒険者としての身分を利用したのもあるだろう。
それに、初心者向け講習なんてものは普通の冒険者はやりたくないだろうな。
この辺りは、ギルドの改革に期待するしかないだろう。
「では、次に捜索の状況について話をしよう。公爵領での捜索では、これ以上目立つ様な物は出なかった。しかし、王都のオーカス子爵邸の捜索では、色々な物が出てきたそうだ。それに関連して、複数の貴族の屋敷にも捜索の手が入っている」
「一つ悪事が見つかると、芋づる式に悪事が見つかりそうですね」
「まさにサトーの言う通りだ。王城の関連部署にも捜索が入っているし、直轄領にも捜索の手が入っている」
今回発覚した横領事件を契機に、出来るだけ多くの悪を見つけてほしい。
バビルの様な貴族主義派にいいように利用される人を、今後は出したくない。
「後は、当たり前だがビルゴとその仲間は指名手配だ。既に各領地に通達してある」
「とはいえ、奴らは何処に逃げたのか。そこが重要なポイントですね」
少なくとも、ビルゴ達はバルガス公爵領にはいないはずだ。
ビルゴは転移の魔導具を使って逃げたし、後を追うのは中々大変なはずだ。
と、ここで追加情報がとある人の元に入った。
「あら、お父様からの連絡ですわ。一体何でしょうか?」
「私にも、バスク子爵領のギルドからの連絡です」
バスク子爵から娘であるリンさんへ連絡が入り、同タイミングでバスク子爵領の冒険者ギルドからバルガス公爵領のギルドマスターであるマリシャさんの元に連絡が入った。
どう考えても、バスク子爵領で何かあったとしか考えられなかった。
応接室の中に緊張が走った。
まずリンさんが、俺達にバスク子爵からの報告を始めた。
「皆様、父であるバスク子爵から連絡がありました。バスク子爵領内で、指名手配されているビルゴの仲間の目撃情報があったそうです」
「私の元にきた、バスク子爵領のギルドからの報告も同じです。冒険者が、ビルゴの仲間と似た人物をバスク子爵領で見たと報告があったそうです」
続けて俺達にマリシャさんからの報告が伝えられたが、リンさんと同じ内容だった。
リンさんとマリシャさんからの報告を受けて、早速アルス殿下が動いた。
「信頼できるところから同じ情報が入った。となると、ビルゴの仲間がバスク子爵領で何かをしようとしているのは間違いないだろう。直ぐに手分けして動き出そう」
「うむ、アルスお兄様は公爵領での後作業が残っておる。ここはエステルお姉様と妾で動くとしよう」
「悪い事は早く止めないといけないよね。それにリンちゃんのところだし、私も頑張るよ」
ビアンカ殿下とエステル殿下が、アルス殿下の後に続いた。
そして、アルス殿下は俺とリンさんの方を向いた。
「リンの実家に関わる事だから、リンにはエステルとビアンカに同行して貰おう」
「はい、直ぐに出発の準備を進めます」
「そして、サトーにも同行を求めたい。万が一魔獣化した闇組織の構成員が現れた場合、サトーも分かる通りにかなりの戦力が必要になる。魔獣化した人に対応した経験のあるサトーに、同行を頼みたい」
「「おお、リンお姉ちゃんのおうちを守るよ!」」
「シロ、ミケ、俺が答える前に先に答えないの」
アルス殿下のいう事は分かるし、できれば闇組織に気付かれない様に少数精鋭でバスク子爵領に向かう必要もあるのだろう。
何よりも知り合いのお姉ちゃんのうちを守ると、シロとミケに限らず従魔までやる気になっているのだ。
「では、バスク子爵領への出発は何時にしますか?」
「直ぐに馬車を準備させる。物資の補給が済んだら、直ぐに向かってくれ」
「分かりました。では、買い出しに向かいます」
バルガス様がバスク子爵領へ向かう為の馬車を用意してくれる事になった。
という事で、俺達は街に買い出しに行く事にした。
ちゅーちゅーちゅー。
なんだなんだ?
俺は、頬を何かに吸われる感覚で目が覚めた。
もしかして、蚊か何かかな?
「あ、起きた」
蚊だと思ったら、リーフが俺の頬をちゆーちゅーと吸っていた。
「お兄ちゃん、魔法沢山使ったらお腹すいちゃった」
「あー、はいはい。分かったよ。でも、魔力を吸いすぎて腹を壊すなよ」
「分かった。ちゅーちゅー」
リーフも沢山魔法を使ったからなのか、一心不乱に俺の魔力を吸っていた。
まだ眠くて頭が回らず、この位はしょうがないと思って視線だけ横を見ると、まだシロとミケが俺にくっついて寝ていた。
よく見ると、スライム達やタラちゃんと一緒にホワイトもベッドで寝ていた。
昼前まではまだ時間がありそうなので、俺はもう一回眠りについた。
「サトー、蚊にでも刺されたか? 頬が赤いぞ」
ようやくシロとミケも起きたので皆で応接室に向かったら、ビアンカ殿下に俺の頬を指摘された。
俺の肩に乗っているリーフを手のひらに移して、話を聞いた。
「いっぱい魔力を吸っちゃった」
リーフには、テヘヘといった感じで軽く言われてしまった。
俺は頬に回復魔法をかけつつ、リーフがチューチューと魔力を吸っている時は吸った場所を気をつける様にしようと心に誓った。
応接室に続々と人が集まってきたのだが、何故か冒険者ギルドマスターのマリシャさんも参加していた。
そして、話し合いの冒頭でマリシャさんが俺達に謝罪した。
「この度は、冒険者ギルド所属の冒険者が大きな事件を起こし、大変申し訳ございません」
「今回は、冒険者ギルドが上手く使われてしまった側面もある。防ぐのは中々難しいだろう」
「それでも事件が起きてしまったのは事実です。また、初心者向け講習も全面的に見直す事になりました」
マリシャさんに対してバルガス様が答えているが、確かにビルゴがうまく冒険者としての身分を利用したのもあるだろう。
それに、初心者向け講習なんてものは普通の冒険者はやりたくないだろうな。
この辺りは、ギルドの改革に期待するしかないだろう。
「では、次に捜索の状況について話をしよう。公爵領での捜索では、これ以上目立つ様な物は出なかった。しかし、王都のオーカス子爵邸の捜索では、色々な物が出てきたそうだ。それに関連して、複数の貴族の屋敷にも捜索の手が入っている」
「一つ悪事が見つかると、芋づる式に悪事が見つかりそうですね」
「まさにサトーの言う通りだ。王城の関連部署にも捜索が入っているし、直轄領にも捜索の手が入っている」
今回発覚した横領事件を契機に、出来るだけ多くの悪を見つけてほしい。
バビルの様な貴族主義派にいいように利用される人を、今後は出したくない。
「後は、当たり前だがビルゴとその仲間は指名手配だ。既に各領地に通達してある」
「とはいえ、奴らは何処に逃げたのか。そこが重要なポイントですね」
少なくとも、ビルゴ達はバルガス公爵領にはいないはずだ。
ビルゴは転移の魔導具を使って逃げたし、後を追うのは中々大変なはずだ。
と、ここで追加情報がとある人の元に入った。
「あら、お父様からの連絡ですわ。一体何でしょうか?」
「私にも、バスク子爵領のギルドからの連絡です」
バスク子爵から娘であるリンさんへ連絡が入り、同タイミングでバスク子爵領の冒険者ギルドからバルガス公爵領のギルドマスターであるマリシャさんの元に連絡が入った。
どう考えても、バスク子爵領で何かあったとしか考えられなかった。
応接室の中に緊張が走った。
まずリンさんが、俺達にバスク子爵からの報告を始めた。
「皆様、父であるバスク子爵から連絡がありました。バスク子爵領内で、指名手配されているビルゴの仲間の目撃情報があったそうです」
「私の元にきた、バスク子爵領のギルドからの報告も同じです。冒険者が、ビルゴの仲間と似た人物をバスク子爵領で見たと報告があったそうです」
続けて俺達にマリシャさんからの報告が伝えられたが、リンさんと同じ内容だった。
リンさんとマリシャさんからの報告を受けて、早速アルス殿下が動いた。
「信頼できるところから同じ情報が入った。となると、ビルゴの仲間がバスク子爵領で何かをしようとしているのは間違いないだろう。直ぐに手分けして動き出そう」
「うむ、アルスお兄様は公爵領での後作業が残っておる。ここはエステルお姉様と妾で動くとしよう」
「悪い事は早く止めないといけないよね。それにリンちゃんのところだし、私も頑張るよ」
ビアンカ殿下とエステル殿下が、アルス殿下の後に続いた。
そして、アルス殿下は俺とリンさんの方を向いた。
「リンの実家に関わる事だから、リンにはエステルとビアンカに同行して貰おう」
「はい、直ぐに出発の準備を進めます」
「そして、サトーにも同行を求めたい。万が一魔獣化した闇組織の構成員が現れた場合、サトーも分かる通りにかなりの戦力が必要になる。魔獣化した人に対応した経験のあるサトーに、同行を頼みたい」
「「おお、リンお姉ちゃんのおうちを守るよ!」」
「シロ、ミケ、俺が答える前に先に答えないの」
アルス殿下のいう事は分かるし、できれば闇組織に気付かれない様に少数精鋭でバスク子爵領に向かう必要もあるのだろう。
何よりも知り合いのお姉ちゃんのうちを守ると、シロとミケに限らず従魔までやる気になっているのだ。
「では、バスク子爵領への出発は何時にしますか?」
「直ぐに馬車を準備させる。物資の補給が済んだら、直ぐに向かってくれ」
「分かりました。では、買い出しに向かいます」
バルガス様がバスク子爵領へ向かう為の馬車を用意してくれる事になった。
という事で、俺達は街に買い出しに行く事にした。
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