異世界に転生したら、いきなり面倒ごとに巻き込まれた！ 〜仲間と一緒に難題を解決します！〜

第一章 バルガス公爵領

第二十八話 バルガス様の教育

　皆で話しながらだったので、あっという間に屋敷に到着。
　直ぐに、俺達とリンさんを応接室に案内してくれた。
　直ぐに、ビアンカ殿下とサリー様が侍従と共に応接室に入ってきた。

「あっ！」

　おや？
　リンさんが、部屋に入ってきた侍従を指差して固まっているぞ。

「ルキア様、何故侍従の格好をしているのですか？」
「ふふふ、普段は領地経営の勉強をしていて、空いた時間に侍従として働いているのですよ」

　リンさんが話をした侍従は、確か昨日も俺達の部屋を案内してくれた人だ。
　巨乳を超えた爆乳の持ち主で、青に近いロングヘアの女性だ。
　でも、子爵家令嬢のリンさんが様をつけているという事は、もしかしたらとっても偉い人なのか？
　俺の疑問に、ビアンカ殿下が答えてくれた。

「ルキアは、バルガス公爵家と並ぶ王都周辺の大貴族ブルーノ侯爵家の跡取りじゃ。普段はバルガス公爵領で、領地経営の勉強をしておる」

　おお、マジですか。
　ルキアさんは、とんでもないお嬢様ではないですか。
　昨日も思ったけど物腰が柔らかい人だと思っていたら、とんでもない大物じゃないですか。

「公爵は、勉強したいとあれば周囲の貴族家の者も受け入れておる。屋敷には、ルキアの他にも貴族の子弟がおるぞ」
「バルガス様って、本当に凄いな。自分の領地だけでなく、他の貴族の人の勉強も見ているとは」

　俺の中で、バルガス様への好感度がうなぎのぼりだ。
　領民から慕われるだけでなく、周囲の貴族家からも慕われているとは。
　逆をいうと、闇組織にとってはそんなバルガス様の事が邪魔でしょうがないのだろう。
　だからこそ、バルガス様は襲撃の対象となったのだな。

「ねえねえ、初めての依頼はどうだった？」
「えっとね、魔導具屋さんの掃除をしたんだよ」
「でも、魔導具屋さんのおばあちゃんが腰を痛めていて、お兄ちゃんとおもちちゃんが治療したんだ」
「へえ、そうなんだ」

　サリー様は、シロとミケに今日の活動内容を聞いていた。
　恐らく、サリー様が応接室にきた理由なのだろう。

「魔導具屋さんのおばあさまには、私が冒険者をしている時にお世話になりました。無事に回復して、良かったです」
「これからは、息子さんのやっているお店でお世話になるそうですよ。明日はリンさんと共に、引越しのお手伝いをする予定です」

　ルキアさん、冒険者までしていたとは。
　本当に物凄い人だぞ。
　そして、俺達の明日の予定を伝えると、何故かルキアさんとサリー様とビアンカ殿下が考え込んでいた。
　何だか嫌な予感がするぞ。

「明日はお休みなので、私もお手伝いします。魔導具屋さんのおばあさまには、とてもお世話になりましたので」
「ふむ、妾も今日色々と進展したお陰で明日の予定が空いた。久々に冒険者活動をするかのう」
「サリーも明日はフリーなんだ。サリーも久々にお手伝いするよ」

　なんと、お偉い方三人とも明日の引越し作業を手伝うという。
　しかもビアンカ殿下とサリー様も、冒険者登録してあるそうだ。

「サリーには、街の事を知る為に簡単な手伝いや薬草採取をやらせております。街の事を知らずして、統治はできませんからな」

　と、ここで遅れてバルガス様が応接室に入ってきた。
　実の娘に、街の事を知る為に冒険者活動をさせているとは。
　やっぱりバルガス様は、只者ではないぞ。

「それに、今回の依頼者は商店街の会長だ。サリーには、ついでに書簡を渡して貰おう」
「お父様。分かりました」

　そして、バルガス様は恐らく商店街にも今回の襲撃事件の情報収集の協力を要請するのだろう。
　バルガス様は、実の娘をも巧みに使っているな。