異世界に転生したら、いきなり面倒ごとに巻き込まれた！ 〜仲間と一緒に難題を解決します！〜

第一章 バルガス公爵領

第十五話 屋敷に到着

　馬車は門を抜けて、大きな屋敷の敷地内に入っていく。
　
「おお、お庭も大きい！」
「とても広い！」

　馬車の窓に張り付いているシロとミケの興奮もよく分かる。
　とんでもない程大きくて広い庭が、ドーンと広がっている。
　庭に設置されている美術品は少なめだけど、樹木も芝生も良く手入れされていてとても落ち着く庭だ。
　彫刻品だらけのよく分からない庭よりも、圧倒的に品の良い雰囲気だ。

　そして、馬車は屋敷の玄関に到着。
　メイド服を着た侍従が数人待機していて、直ぐに馬車の扉を開けてくれた。
　よく見ると、侍従も多種族が勤めているようで、エルフっぽい人に背中に羽が生えた天使っぽい人もいた。

「では、玄関ホールになります」
「「わあ」」

　侍従の案内で、玄関から玄関ホールに通された。
　玄関ホールは吹き抜けになっていて、とても高く広く感じた。
　この玄関ホールの広さなら、ちょっとした舞踏会やパーティも行う事が可能だろう。
　そして、玄関ホールには、品の良いドレスを着たご夫人とビアンカ王女殿下と同じ位の少女が立っていた。
　ご夫人は少しふっくらしているので、どうやら妊婦さんの様だ。
　ご夫人と少女は、バルガス公爵様の元に歩み寄って行った。

「貴方、ご無事で何よりです」
「お父様、ご無事で良かったよ」
「お前達にも心配をかけたな」

　バルガス公爵様は、ご夫人と少女をしっかりと抱きしめていた。
　なんだろう、この世界のリア充を見た気がする。
　今回魔物に襲われはしたけど、大きな領地の領主様で大きな屋敷に住んでいて街の人にも慕われている。
　美しい奥様にかわいい娘さんがいて、もうすぐ赤ちゃんも産まれる。
　うん、元いた世界でも公爵様は普通にリア充になるだろう。
　公爵様はご夫人と娘様との抱擁を解いた後、俺達の方にご夫人と娘様と共にやってきた。

「ここにいるサトー殿とシロちゃんとミケちゃんが、我々が襲撃されて危ない所を助けてくれたのだ」
「まあ、殿下と主人の危ない所を助けて頂き、本当にありがとうございます。私からもお礼を言わせて下さい」
「本当にありがとうございます」
「お二人とも顔を上げて下さい。私達も、ちょうど街道を通っていた所でしたので。皆様が無事ならそれで大丈夫です」

　バルガス公爵様が俺達の事を恩人だと紹介したので、ご夫人と娘様が深々とお礼を言っていた。
　バルガス公爵様のご夫人と娘様も、とっても良い人なんだな。