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ネーミングセンス②

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「らいとから生まれたんだよー」

「!?」

「いやリーラ、合ってるんだけど!合ってるんだけどな?」

「えええっと?ライトさんが生んだからライトさんは実は女の子で?えええっと?つまりライトさんはホモで?えええっと?」

「落ち着けミリカ。色々言ってることおかしいぞ」

どうやらミリカはパニクって自分で何を言っているか分かってないらしい。


数分後やっと落ち着いたミリカに、信じてもらえるか分からないがパイプルについて話すことにした。

「まずこの子について話す前提として言うけど、俺は神様なんだそうだ」

「・・・」

「で、この子を作り出した」

「・・・」

「・・・」

「・・・え?終わりですか?」

「うん」

「説明が大雑把すぎますよ...まぁ分かりましたけど」

「え、俺が神って信じてくれるの?神だよ?神」

「あの強さは人間とは思えませんからね」

とミリカは笑いながら答えた。
今思えば確かにそうかも知れない。古龍を一撃とか普通ありえないもんな。

「ところで、この子の名前は何て言うんですか?」

「まだない。名前を考えるの大変なんだよなぁ」

俺がため息混じりに答えると

「あ、じゃあ私も名前考えましょうか?」

とミリカが言ったので一緒に考えてもらうことにした。


「うーん...見た目から名前つけましょうかね」

食堂でいつもの席に座り(パイプルは俺の横)、朝食を食べながらパイプルの名前を考える俺達。ミリカは俺と対面で座っているが、もうすぐおっちゃんに注意されると思うので、ギリギリまで考えてもらう事にした。
毎度お馴染み冒険者の視線を浴びながら。

「やっぱそうだよな」

うんうん。さっきは勘違いとか思ってたけどやっぱり俺のセンスは良いんじゃないか?

「ところでこの子の仮名とかあるんですか?」

「仮名というか、この名前にしよう!って決めたやつはあったぞ。却下されたけど」

とパイプルをジト目で見ると、パイプルの顔が赤面した。

「・・・ライトさん、因みにどんな名前にしようとしたんですか?」

それを見たミリカからいつもより若干低めの声がした。

「えっと、パイプル」

「由来は?」

「髪色とおっぱいから...」

「へぇ、おっぱいからですか」

怖ぇぇ。さっきより更に声のトーン下がったぞ。

「は、はい」

「女の子がおっぱいが由来の名前付けられて嬉しいと思いますか?」

「.....」

そこんとこ全く考えてなかった....

「嫌ですよね?」

「...はい」

「じゃあ名前考えたら、私に言いに来てください」

と言って厨房へ行くミリカ。
いつもはおっちゃんに注意されるまでずっといるのに、今日は注意されるまでに戻ったってことは結構怒ってるんだな。

「マスター」

ずっと黙っていたパイプルが口を開いた。

「ん?なんだ?」

「私はその...エッチな名前じゃなければ何でも良いのでササっと決めてくれないでしょうか?」

と言われても全く浮かばない。

「とらいにしよーよー」

「それは何かダメな気がする。ていうかまず女の子らしくないからダメだ」

とらいって名前気に入ってんのか?

はぁ、とため息を吐くと隣のテーブルから冒険者達が気になる話をしていたので盗み聞きする事にした。

「おう!マジのマジ。今日はメルスターが降り注ぐぞ」

「よし!絶対1個は取ってやる!」

メルスターとは数ヶ月に一度、空からこの地上へ降り注ぐ紫色の星の形をした魔力の塊の事である。この魔力の塊は取って齧れば自分の魔力が莫大に上がると言われているが、落下速度が異常に速い上、地面に落ちると割れて魔力が分散してしまうため、空中でキャッチという至難の技をこなさなければいけない。

とまあそんな感じだが今はどうでもいい。気になったのは名前と特徴だ。

今日はパイプルの生まれた日だ。そしてパイプルの髪色はパープルでメルスターも紫...つまりパープルだ。この偶然を逃す俺ではない。

「よし、君の名前が決まった」

俺はパイプルの正面を向くと彼女に名前を告げた。

「君の名前はメルだ」

「メル...ですか。はい。では私の事はこれからはメルとお呼びください」

淡々と言うメルだったが口元が少しニヤけているので、少なくとも喜んでくれてると思う。エッチな名前が来なくて安心してるって所もあると思うが。

ちょうど朝食を食べ終わったので、厨房から出てきたミリカにメルの名前と由来を報告すると、許しを得たので心の中でガッツポーズをする。あの冒険者には感謝しないとな。

「じゃあメル。これからよろしくな」

「はい!マスター!」
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