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第1章 突然のさよならから
第1話 僕、性格悪いから
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「俺たちさ、別れようぜ」
季節は秋。
時刻は午後四時五十分。
場所は高校北校舎三階の廊下。
「……え? 今なんて……」
彼氏からのまさかの言葉に理解が追いつかない。
つい昨日まであんなに笑い合って過ごしていたのに、どうして別れ話をされているのかわからなかった。
なにかの悪い冗談なのかと疑う。
「な、なんで? そんないきなり……」
「他に好きな子ができたんだよ」
「なにそれ……嘘でしょ……?」
「悪いけど、嘘じゃないんだよね。めちゃくちゃ本気なんだわ」
「嘘だよ。だって……だって、そんなの納得できないよ!」
廊下に響き渡る声で叫んだ。
胸の前で、てのひらをぎゅっと握りしめる。
縋りつくような思いで、嫌だと何度も首を横に強く振った。呆れられたってかまわない。それよりも、こんなに想っている人と離れなければならないほうが、何十倍も、何百倍も嫌だった。
……それでも彼は、わたしの想いを撥ねつけるように冷たく吐き捨てる。
「いや無理なの。俺、もうおまえのこと好きじゃないの」
「やだ……嫌だよ……。絶対別れない! だってわたし、朋哉のこと……っ」
「あのさぁ」
大きな溜め息が吐き出される。
ひどく冷淡な声が渇いた廊下に響いた。
「――おまえのそういうとこが嫌い。うざいんだよね」
胸に深く突き刺さる、鋭い刃のような言葉。
こんなの嘘だと思った。悪い夢であってほしかった。今もわたしは朋哉のことが大好きだ。このまま終わりだなんて信じられない。信じたくない。
現実から目を逸らすように、まぶたをぎゅっと閉じる。
……それでも心のどこかではわかっていた。
あの朋哉のことだから、こうなってしまったら、もう。
「朋哉……っ」
叫んでも。
「じゃあな」
「やだ……朋哉……お願い、待って……!」
叫んでも、叫んでも。
「待ってよぉ……」
……もう、この声が届くはずなんてないってことくらい。
わたし、本当に振られたんだ。
たった今、大好きだった彼氏に振られてしまった。
付き合ってまだ一年しか経っていない。だけど、いろんなことがあった。楽しいことばかりではなく、傷ついたことだって何度かはある。それでも、わたしたちたちはこれからもずっと幸せに過ごしていくのだと思っていた。
……なのに別れは唐突にやってくる。まだ信じられない。だってそんなそぶりは一切見せていなかった。昨日まで「大好きだよ」と言って抱きしめてくれていたのだから。あれもすべて嘘だったのいうのだろうか。
本気だった。大好きだった。
それなのに、きっと朋哉は軽い気持ちでわたしと付き合っていたのだ。
たぶん、きっと――最初から。
「ばか……ばかばか! 朋哉のばかぁっ!」
向けられた背中に、大声で言葉を投げつける。
それでも朋哉は振り返ってくれない。
なにも聞こえないふりをして、わたしからどんどん遠ざかっていく。
涙がじわりと滲み、視界が歪む。
心の中で彼に言う。
ねえ、朋哉。またやり直せないかな、わたしたち。
なんでも朋哉の言うとおりにするから。性格だって直すから。朋哉が嫌だと思うところは全部改めていくから。
だからお願い。わたしを置いていかないで――!
「ともや……っ」
声を震わせた。喉をひくりと鳴らし、くちびるを噛みしめる。
心の中でなにを思ったって、もう遅いのだ。わたしの願いは虚しく、長い長い廊下から、ついに朋哉の姿が見えなくなった。
その瞬間、胸が痛くて、つらくて、悲しくて……その場に膝から崩れ落ち、幼い子どものように大声でわんわん泣きじゃくった。
不意にどこからかガタゴトと物音が聞こえた。
肩がびくりと跳ね上がる。
涙に濡れた顔を上げ、あたりを見回す。
……今の音は一体なんだろう。
「……誰かいるの……?」
聞いても返事はない。
数年前に新しく校舎が建てられてから、北校舎はほとんど使われておらず、普段は人の出入りがあまりない。だから朋哉はあえて別れ話をするのにここを選んだのだろうけど――物音がするということは、誰かいるということだ。
生徒か、先生か、はたまた古い校舎に棲む幽霊か。
怖い話は苦手だけど、今回の場合なら幽霊がいちばんましだと思った。
もし近くに人がいたならば、さっきの朋哉とのやりとりが聞かれてしまっているかもしれない。振られた挙げ句に校内で喚き散らし泣き崩れているなんて、恥ずかしいことこの上ない。
涙は止まりそうにないため、一旦隠れることにした。
ゆらりと立ち上がり、目の前の扉に視線をやると、『図書室』のプレートが貼りつけられていた。スライド式のドアをそっと引くと、小さな音を立ててあっさり開く。
「……鍵、開いてる」
いくら辺鄙な場所とはいえ施錠しなくてもいいのだろうか……と一瞬思ったけれど、今のわたしにとっては好都合だ。
図書室に入るなり、すぐに内側から鍵をかけた。この涙が落ち着くまでは、誰にも会いたくない。見られたくない。
しゃくりあげながら図書室の奥へと足を進める。カウンターの前まで行くと、崩折れるように床に座り込んだ。
さっきの朋哉の言葉が頭からずっと離れないでいる。
耳の奥にこびりついたように何度も何度も繰り返される。
『――おまえのそういうとこが嫌い。うざいんだよね』
ここまで本気で好きになった人は生まれて初めてだった。心の底から大好きだった。それなのに、こんな別れはひどすぎる。
これ以上考えたくないのに朋哉のことしか考えられない。呼吸が苦しい。胸が締めつけられる。
どうすることもできなくて、ただひたすらに涙を流すしかできない。
わたしがいけなかったのだろうか。
すぐに泣くから。
やきもちを妬くから。
優しい朋哉になんでも甘えすぎていたから。
だから朋哉はわたしを嫌いになったのだろうか。
すべて自分のせいだとしたら、わたしはどうしたらいいのだろう。後悔してももう遅い。時間は巻き戻せない。
胸が痛い。つらい。苦しい。こんな思いをするくらいなら消えてしまいたい。
……もしわたしがいなくなったら、朋哉は泣いてくれるだろうか。少しくらいは自分を責めて悲しんでくれるだろうか。
「……屋上、開いてるかなぁ……」
フェンスを乗り越え、コンクリートの縁に立つ想像をした。そのまま地面を蹴れば、きっとこのつらい思いから開放される……。
今まで考えもしなかったことが思い浮かび、はっとする。ふるふると頭を振った。ショックでおかしくなっている。
だけど、それくらい愛していた。わたしのすべてだった。それなのに。
「ともや……ともや……っ」
まるで呪文のように彼の名前を繰り返し口にする。
どんなに呼んだって、返事など来るわけがないのに。
「――失恋にはこの本がおすすめだけれど」
上から降ってくる声に驚き、弾かれるように顔を上げる。
そこにはカウンターから軽く身を乗り出し、本を片手にこちらを覗くように見てくる男子生徒がいた。全然気がつかなかった。
「……貸そうか? 貸出カード持ってる?」
誰、と聞くまでもなく――わたしは彼を知っていた。
息を飲み、くちびるを震わせ、掠れた声で相手の名前を口にする。
「あ……藍達、くん……?」
彼は眼鏡の奥にある漆黒の瞳で、じいっとわたしを見つめると――返事をするように、ゆっくりと一度だけまばたきをした。
藍達鷹臣くん。
クラスメイトだった。
最悪な事態だった。やってしまったと思った。誰にも見られたくなくて図書室に隠れたのに、どうしてよりによって知り合いに見つかってしまうのだろう。仲のいい友人ならまだしも、まったく話したこともない異性だなんて……余計に気まずい。
藍達くんはわたしを見下ろしながら、もう一度言う。
「ねえ、羽村さん。貸出カード持ってないの?」
「……持って、ない」
「作る?」
「……作らない」
「ふうん。これ、おすすめなのに」
藍達くんは少し残念そうに、眼鏡の奥の目を細めた。
申し訳ないけれど、今は読書ができるような精神状態ではない。様子を見ればわたしがひどく傷ついていることくらい簡単にわかるはずなのに、それでもこうして飄々と話しかけてくる彼の気が知れなかった。
……そもそも。
「……なんで」
「ん?」
「なんで藍達くんはここにいるの……?」
わざわざ北校舎まで来なくても、本校舎にも図書室はある。新しいほうがもちろん綺麗だし、読書する環境も整っている。北校舎は薄暗く、埃まみれで、あまりいい条件ではないように思う。……それなのに。
涼しい顔をしてしばらくわたしを見据えていた彼は、ゆっくりと口を開く。
「君は知らないと思うけど、僕は図書委員なんだ。図書委員がここにいたらおかしい?」
「そ、そうなんだ……。おかしくはない、けど……でも本校舎にも図書室はあるでしょう? こっちはもうほとんど使われてないし……」
「僕は使ってる。本もこうしてたくさんある」
「だけど、こんな場所……」
「僕さ」
わたしの言葉に被せるように彼が言う。
「本を大切にしない人、好きじゃないんだ」
あ、と思わず声を漏らす。
悪いことを言った。怒らせてしまった。あんな言い方をしたら、本を愛している人からすればかちんと来るのも無理はない。今のは、わたしが悪かった。
……それでも、藍達くんが怒ったのは正直意外だと思った。
藍達くんとは確か、一年生のときから同じクラスだった。だけど関わりはまったくと言っていいほどなく、一言も会話することのないまま二年生になった。
藍達くんといえば、おとなしく、誰とも話さず、ひたすら読書をしているイメージだった。雰囲気は暗く、存在感がなく、とにかく陰キャっぽい。生徒からはもちろん先生にも忘れられることもしばしばあり、そして忘れていることに誰もが気づかない。
一言で言い表すなら、藍達くんは――空気みたいな存在だった。
「……ごめん」
「わかればいいんだ。本は大切にしてね」
「う、うん……そうだね」
小さく息を吐く。眦に滲む涙を指で拭いた。
ゆっくりと立ち上がる。スカートの埃を払い、制服のしわを直す。
藍達くんはそんなわたしを、カウンターの向こうからじっと見つめていた。
「どこに行くの?」
「……もう帰る。ここで泣いてたら藍達くんに迷惑だし……」
彼に迷惑をかけてしまうから……というのは建前で、本当は泣いている姿を見られたくなかったからだ。
思いきり泣きたかった。落ち着くまで一人でいたいと思っていた。けれど今ここには藍達くんがいる。それが叶う状況ではない。早く家に帰って思いきり泣きたい。
ふと彼を見ると、まだわたしをじっと見据えている。その視線が痛いほどに突き刺さる。ばつが悪くなり、その視線から逃れるように目をそらす。
「……な、なに……?」
「いや」
藍達くんは首を横に振る。
……言いたいことがあるなら言ってくれればいいのに、彼はなにも言わず、ただじっとわたしを見つめるだけ。
気にせず背を向けて帰ってしまえばいいのに、視線に捕らわれ催眠術をかけられたみたいに体が固まって動かない。
鉛のように重い空気が流れる。それを打ち破ったのは彼のほうだった。
「知ってたんでしょ? 西野先輩のこと」
西野先輩。朋哉のことだ。
わたしは目を見張る。藍達くんは朋哉を知っていた。
驚愕と困惑が入り乱れる。喉が震える。
それでも平然を保ったふりをして聞き返した。
「……なんの、こと?」
声が少し震えてしまった。
動揺するわたしに対し、彼は淡々と言う。
「西野先輩ってすごくチャラいことで有名だよね。それを承知の上で付き合ってたんでしょ? 自業自得だよ」
悪びれもなく淡々と発せられるせりふに、わたしは思わず眉をしかめた。
仲よくもないどころかまったく喋ったこともないクラスメイトから、こんなにはっきりときつい言葉を浴びせられるとは思わなかった。
くちびるを噛みしめた。キッと彼を睨みつける。
「……それがなに? そんなのただの噂だよ。本当の朋哉は優しくて温かい人なんだから」
「どこが? 噂どおりの人だったじゃないか。まさか今でもまだあの人のことを信じてるの? ばからしい。どれだけ脳内お花畑なんだろうね。どう考えたって、遅かれ早かれ別れが来ることなんて目に見えてただろ。ずっと二人幸せに過ごせるとでも思ってたのかな。甘すぎて笑えるね」
傷つくわたしに、追い打ちをかけるようにさらにひどい言葉で傷つけていく藍達くん。どれだけ無慈悲で薄情な人なのだろう。優しい言葉のひとつもない。
悔しくて、悲しくて――体の横でこぶしをぎゅっと握る。
声を絞り出すように、わたしはまた言い返す。
「さ……最低。泣いてる女の子がいるのに、よくそんなことが言えるね」
「だって本当のことでしょ」
「だからって……。大体なんでわたしと朋哉が付き合ってたことを知ってるのよ」
「自覚ないの? 彼も有名だけど、羽村さんも人気があるからなかなか有名だよ。そんな派手な二人が付き合ってたら注目の的になるのなんか当前だって」
手持無沙汰なのだろうか、藍達くんは話しながら持っている本をパラパラとめくる。ページがめくれるときに起こる小さな風で、彼の前髪がさらりと揺れる。
「西野先輩と羽村さんが付き合ったときもかなり噂になったよね。今じゃ全校生徒が知ってる。だから、君たちが別れたら、もちろんすぐに話題になるだろうな。明日にはほぼ全員が知ることになるんじゃないかな。有名人は大変だね」
くちびるを引き結ぶ。ばかにされているようで悔しかった。
胸の奥からじわじわと黒い感情が滲み出す。
傷ついている人が目の前にいるのに、優しい言葉ひとつかけずに無神経に淡々と話す彼が許せなかった。
「……藍達くんって、クラスじゃ誰とも話さないし物静かだから、気が弱いんだとばかり思ってた。……だけど」
息を吸い込み、涙の滲む目で彼を見据える。
痛む心を冷たい言葉に代えて、強く言い放つ。
「――性格悪い」
口にしたあとに、良心がちくりと痛んだ。
わたしは人に嫌われることが怖い。常に周りの目を気にして生きてきた。だから、誰かを傷つけるような言葉は今まで言ったことがない。
……それなのに、わたしは今、藍達くんを傷つけた。
言ってしまったと思った。彼に投げた言葉は本心だけど、いつものわたしならそのまま飲み込んで我慢して絶対に言わないようなことだった。
「……そう。羽村さんは僕が性格の悪い人間だと思うんだ」
「あ、う、それは……。だ、だって、おかしいもん。傷ついてる女の子が目の前にいたら、さらに傷つけるような言葉を吐くなんて……普通ならできない」
体の横で握ったこぶしが小さく震えている。
朋哉はわたしを傷つけたけど、わたしは今、藍達くんを傷つけている。
藍達くんに向けた言葉なのに、なぜか自分の胸が痛む。できるならもうこれ以上話したくない。……話していると、もっと彼を傷つけてしまいそうだから。
「あのさ、普通ってなに?」
え、と声が漏れる。
「僕が誰とも話さず物静かだから、性格も穏やかだと思った? 話してみたら平気で人を傷つけるような言葉を吐く人間だから、騙された気分だって?」
眼鏡の奥の瞳がゆっくりとわたしの姿をとらえた。
こくりと息を飲む。
藍達くんは平坦な声で言った。
「それは見た目だけで判断した羽村さんが悪いよ」
心臓がどくんと跳ねた。
言い返せない。彼が言うことは正論だった。
「確かに僕はクラスじゃ誰とも話さないし、つるまないし、いつも一人で本を読んでるよね。見た目だってこだわりがないから、髪は黒いまま。制服も着崩さず着る。おまけに眼鏡だから、なおさら真面目に見えるんだろうな。そんな見た目だけの印象で、みんな僕をおとなしくて気弱な男子だと思ってる。たぶん、中にはなにも喋らない僕を、人形やロボットみたいに思ってる人もいるんだろうね」
そのとおりだと思った。空気だと思っていた彼は、誰よりもまわりを――そして自分を見て、理解っていた。
藍達くんはひたすら本をめくりながら言葉を重ねる。だけど突然、その手をぴたりと止めた。
「……でもさ、僕だって人間だから。ちゃんと感情は持ってるんだよ。嬉しいなとか、悲しいなとか――いらつくとかね」
はっとした。
きっと彼は怒っているのだ。わたしが傷つけたせいで。
罪悪感で胸が痛む。自分の傷が痛いからといって、他人を傷つけていいはずなどない。自分の愚かさに泣きたくなる。
「……ごめん、藍達くん。わたし、ひどいことを言ったよね……」
正直、わたしも彼に傷つけられた。本当は彼にも謝ってほしい。朋哉のことを悪く言われたのはまだ許せない。
……だけど、今は藍達くんに対する申し訳ない気持ちでいっぱいだった。謝っても許してもらえないかもしれないけれど……。
しかし彼は、あっけらかんと言う。
「いや、僕は羽村さんの言葉で傷ついたりはしてないよ。気にしないで」
「え……ほ、本当に……?」
その言葉に、落としていた視線を上げ、彼を見る。
本当に傷ついていないのだろうか。……あんなひどいことを言ってしまったのに。
「本当だよ。だってさぁ、」
藍達くんはわたしの目をじっと見つめたあとに、酷薄な笑みを口もとに浮かべて言った。
「――僕、性格悪いから」
季節は秋。
時刻は午後四時五十分。
場所は高校北校舎三階の廊下。
「……え? 今なんて……」
彼氏からのまさかの言葉に理解が追いつかない。
つい昨日まであんなに笑い合って過ごしていたのに、どうして別れ話をされているのかわからなかった。
なにかの悪い冗談なのかと疑う。
「な、なんで? そんないきなり……」
「他に好きな子ができたんだよ」
「なにそれ……嘘でしょ……?」
「悪いけど、嘘じゃないんだよね。めちゃくちゃ本気なんだわ」
「嘘だよ。だって……だって、そんなの納得できないよ!」
廊下に響き渡る声で叫んだ。
胸の前で、てのひらをぎゅっと握りしめる。
縋りつくような思いで、嫌だと何度も首を横に強く振った。呆れられたってかまわない。それよりも、こんなに想っている人と離れなければならないほうが、何十倍も、何百倍も嫌だった。
……それでも彼は、わたしの想いを撥ねつけるように冷たく吐き捨てる。
「いや無理なの。俺、もうおまえのこと好きじゃないの」
「やだ……嫌だよ……。絶対別れない! だってわたし、朋哉のこと……っ」
「あのさぁ」
大きな溜め息が吐き出される。
ひどく冷淡な声が渇いた廊下に響いた。
「――おまえのそういうとこが嫌い。うざいんだよね」
胸に深く突き刺さる、鋭い刃のような言葉。
こんなの嘘だと思った。悪い夢であってほしかった。今もわたしは朋哉のことが大好きだ。このまま終わりだなんて信じられない。信じたくない。
現実から目を逸らすように、まぶたをぎゅっと閉じる。
……それでも心のどこかではわかっていた。
あの朋哉のことだから、こうなってしまったら、もう。
「朋哉……っ」
叫んでも。
「じゃあな」
「やだ……朋哉……お願い、待って……!」
叫んでも、叫んでも。
「待ってよぉ……」
……もう、この声が届くはずなんてないってことくらい。
わたし、本当に振られたんだ。
たった今、大好きだった彼氏に振られてしまった。
付き合ってまだ一年しか経っていない。だけど、いろんなことがあった。楽しいことばかりではなく、傷ついたことだって何度かはある。それでも、わたしたちたちはこれからもずっと幸せに過ごしていくのだと思っていた。
……なのに別れは唐突にやってくる。まだ信じられない。だってそんなそぶりは一切見せていなかった。昨日まで「大好きだよ」と言って抱きしめてくれていたのだから。あれもすべて嘘だったのいうのだろうか。
本気だった。大好きだった。
それなのに、きっと朋哉は軽い気持ちでわたしと付き合っていたのだ。
たぶん、きっと――最初から。
「ばか……ばかばか! 朋哉のばかぁっ!」
向けられた背中に、大声で言葉を投げつける。
それでも朋哉は振り返ってくれない。
なにも聞こえないふりをして、わたしからどんどん遠ざかっていく。
涙がじわりと滲み、視界が歪む。
心の中で彼に言う。
ねえ、朋哉。またやり直せないかな、わたしたち。
なんでも朋哉の言うとおりにするから。性格だって直すから。朋哉が嫌だと思うところは全部改めていくから。
だからお願い。わたしを置いていかないで――!
「ともや……っ」
声を震わせた。喉をひくりと鳴らし、くちびるを噛みしめる。
心の中でなにを思ったって、もう遅いのだ。わたしの願いは虚しく、長い長い廊下から、ついに朋哉の姿が見えなくなった。
その瞬間、胸が痛くて、つらくて、悲しくて……その場に膝から崩れ落ち、幼い子どものように大声でわんわん泣きじゃくった。
不意にどこからかガタゴトと物音が聞こえた。
肩がびくりと跳ね上がる。
涙に濡れた顔を上げ、あたりを見回す。
……今の音は一体なんだろう。
「……誰かいるの……?」
聞いても返事はない。
数年前に新しく校舎が建てられてから、北校舎はほとんど使われておらず、普段は人の出入りがあまりない。だから朋哉はあえて別れ話をするのにここを選んだのだろうけど――物音がするということは、誰かいるということだ。
生徒か、先生か、はたまた古い校舎に棲む幽霊か。
怖い話は苦手だけど、今回の場合なら幽霊がいちばんましだと思った。
もし近くに人がいたならば、さっきの朋哉とのやりとりが聞かれてしまっているかもしれない。振られた挙げ句に校内で喚き散らし泣き崩れているなんて、恥ずかしいことこの上ない。
涙は止まりそうにないため、一旦隠れることにした。
ゆらりと立ち上がり、目の前の扉に視線をやると、『図書室』のプレートが貼りつけられていた。スライド式のドアをそっと引くと、小さな音を立ててあっさり開く。
「……鍵、開いてる」
いくら辺鄙な場所とはいえ施錠しなくてもいいのだろうか……と一瞬思ったけれど、今のわたしにとっては好都合だ。
図書室に入るなり、すぐに内側から鍵をかけた。この涙が落ち着くまでは、誰にも会いたくない。見られたくない。
しゃくりあげながら図書室の奥へと足を進める。カウンターの前まで行くと、崩折れるように床に座り込んだ。
さっきの朋哉の言葉が頭からずっと離れないでいる。
耳の奥にこびりついたように何度も何度も繰り返される。
『――おまえのそういうとこが嫌い。うざいんだよね』
ここまで本気で好きになった人は生まれて初めてだった。心の底から大好きだった。それなのに、こんな別れはひどすぎる。
これ以上考えたくないのに朋哉のことしか考えられない。呼吸が苦しい。胸が締めつけられる。
どうすることもできなくて、ただひたすらに涙を流すしかできない。
わたしがいけなかったのだろうか。
すぐに泣くから。
やきもちを妬くから。
優しい朋哉になんでも甘えすぎていたから。
だから朋哉はわたしを嫌いになったのだろうか。
すべて自分のせいだとしたら、わたしはどうしたらいいのだろう。後悔してももう遅い。時間は巻き戻せない。
胸が痛い。つらい。苦しい。こんな思いをするくらいなら消えてしまいたい。
……もしわたしがいなくなったら、朋哉は泣いてくれるだろうか。少しくらいは自分を責めて悲しんでくれるだろうか。
「……屋上、開いてるかなぁ……」
フェンスを乗り越え、コンクリートの縁に立つ想像をした。そのまま地面を蹴れば、きっとこのつらい思いから開放される……。
今まで考えもしなかったことが思い浮かび、はっとする。ふるふると頭を振った。ショックでおかしくなっている。
だけど、それくらい愛していた。わたしのすべてだった。それなのに。
「ともや……ともや……っ」
まるで呪文のように彼の名前を繰り返し口にする。
どんなに呼んだって、返事など来るわけがないのに。
「――失恋にはこの本がおすすめだけれど」
上から降ってくる声に驚き、弾かれるように顔を上げる。
そこにはカウンターから軽く身を乗り出し、本を片手にこちらを覗くように見てくる男子生徒がいた。全然気がつかなかった。
「……貸そうか? 貸出カード持ってる?」
誰、と聞くまでもなく――わたしは彼を知っていた。
息を飲み、くちびるを震わせ、掠れた声で相手の名前を口にする。
「あ……藍達、くん……?」
彼は眼鏡の奥にある漆黒の瞳で、じいっとわたしを見つめると――返事をするように、ゆっくりと一度だけまばたきをした。
藍達鷹臣くん。
クラスメイトだった。
最悪な事態だった。やってしまったと思った。誰にも見られたくなくて図書室に隠れたのに、どうしてよりによって知り合いに見つかってしまうのだろう。仲のいい友人ならまだしも、まったく話したこともない異性だなんて……余計に気まずい。
藍達くんはわたしを見下ろしながら、もう一度言う。
「ねえ、羽村さん。貸出カード持ってないの?」
「……持って、ない」
「作る?」
「……作らない」
「ふうん。これ、おすすめなのに」
藍達くんは少し残念そうに、眼鏡の奥の目を細めた。
申し訳ないけれど、今は読書ができるような精神状態ではない。様子を見ればわたしがひどく傷ついていることくらい簡単にわかるはずなのに、それでもこうして飄々と話しかけてくる彼の気が知れなかった。
……そもそも。
「……なんで」
「ん?」
「なんで藍達くんはここにいるの……?」
わざわざ北校舎まで来なくても、本校舎にも図書室はある。新しいほうがもちろん綺麗だし、読書する環境も整っている。北校舎は薄暗く、埃まみれで、あまりいい条件ではないように思う。……それなのに。
涼しい顔をしてしばらくわたしを見据えていた彼は、ゆっくりと口を開く。
「君は知らないと思うけど、僕は図書委員なんだ。図書委員がここにいたらおかしい?」
「そ、そうなんだ……。おかしくはない、けど……でも本校舎にも図書室はあるでしょう? こっちはもうほとんど使われてないし……」
「僕は使ってる。本もこうしてたくさんある」
「だけど、こんな場所……」
「僕さ」
わたしの言葉に被せるように彼が言う。
「本を大切にしない人、好きじゃないんだ」
あ、と思わず声を漏らす。
悪いことを言った。怒らせてしまった。あんな言い方をしたら、本を愛している人からすればかちんと来るのも無理はない。今のは、わたしが悪かった。
……それでも、藍達くんが怒ったのは正直意外だと思った。
藍達くんとは確か、一年生のときから同じクラスだった。だけど関わりはまったくと言っていいほどなく、一言も会話することのないまま二年生になった。
藍達くんといえば、おとなしく、誰とも話さず、ひたすら読書をしているイメージだった。雰囲気は暗く、存在感がなく、とにかく陰キャっぽい。生徒からはもちろん先生にも忘れられることもしばしばあり、そして忘れていることに誰もが気づかない。
一言で言い表すなら、藍達くんは――空気みたいな存在だった。
「……ごめん」
「わかればいいんだ。本は大切にしてね」
「う、うん……そうだね」
小さく息を吐く。眦に滲む涙を指で拭いた。
ゆっくりと立ち上がる。スカートの埃を払い、制服のしわを直す。
藍達くんはそんなわたしを、カウンターの向こうからじっと見つめていた。
「どこに行くの?」
「……もう帰る。ここで泣いてたら藍達くんに迷惑だし……」
彼に迷惑をかけてしまうから……というのは建前で、本当は泣いている姿を見られたくなかったからだ。
思いきり泣きたかった。落ち着くまで一人でいたいと思っていた。けれど今ここには藍達くんがいる。それが叶う状況ではない。早く家に帰って思いきり泣きたい。
ふと彼を見ると、まだわたしをじっと見据えている。その視線が痛いほどに突き刺さる。ばつが悪くなり、その視線から逃れるように目をそらす。
「……な、なに……?」
「いや」
藍達くんは首を横に振る。
……言いたいことがあるなら言ってくれればいいのに、彼はなにも言わず、ただじっとわたしを見つめるだけ。
気にせず背を向けて帰ってしまえばいいのに、視線に捕らわれ催眠術をかけられたみたいに体が固まって動かない。
鉛のように重い空気が流れる。それを打ち破ったのは彼のほうだった。
「知ってたんでしょ? 西野先輩のこと」
西野先輩。朋哉のことだ。
わたしは目を見張る。藍達くんは朋哉を知っていた。
驚愕と困惑が入り乱れる。喉が震える。
それでも平然を保ったふりをして聞き返した。
「……なんの、こと?」
声が少し震えてしまった。
動揺するわたしに対し、彼は淡々と言う。
「西野先輩ってすごくチャラいことで有名だよね。それを承知の上で付き合ってたんでしょ? 自業自得だよ」
悪びれもなく淡々と発せられるせりふに、わたしは思わず眉をしかめた。
仲よくもないどころかまったく喋ったこともないクラスメイトから、こんなにはっきりときつい言葉を浴びせられるとは思わなかった。
くちびるを噛みしめた。キッと彼を睨みつける。
「……それがなに? そんなのただの噂だよ。本当の朋哉は優しくて温かい人なんだから」
「どこが? 噂どおりの人だったじゃないか。まさか今でもまだあの人のことを信じてるの? ばからしい。どれだけ脳内お花畑なんだろうね。どう考えたって、遅かれ早かれ別れが来ることなんて目に見えてただろ。ずっと二人幸せに過ごせるとでも思ってたのかな。甘すぎて笑えるね」
傷つくわたしに、追い打ちをかけるようにさらにひどい言葉で傷つけていく藍達くん。どれだけ無慈悲で薄情な人なのだろう。優しい言葉のひとつもない。
悔しくて、悲しくて――体の横でこぶしをぎゅっと握る。
声を絞り出すように、わたしはまた言い返す。
「さ……最低。泣いてる女の子がいるのに、よくそんなことが言えるね」
「だって本当のことでしょ」
「だからって……。大体なんでわたしと朋哉が付き合ってたことを知ってるのよ」
「自覚ないの? 彼も有名だけど、羽村さんも人気があるからなかなか有名だよ。そんな派手な二人が付き合ってたら注目の的になるのなんか当前だって」
手持無沙汰なのだろうか、藍達くんは話しながら持っている本をパラパラとめくる。ページがめくれるときに起こる小さな風で、彼の前髪がさらりと揺れる。
「西野先輩と羽村さんが付き合ったときもかなり噂になったよね。今じゃ全校生徒が知ってる。だから、君たちが別れたら、もちろんすぐに話題になるだろうな。明日にはほぼ全員が知ることになるんじゃないかな。有名人は大変だね」
くちびるを引き結ぶ。ばかにされているようで悔しかった。
胸の奥からじわじわと黒い感情が滲み出す。
傷ついている人が目の前にいるのに、優しい言葉ひとつかけずに無神経に淡々と話す彼が許せなかった。
「……藍達くんって、クラスじゃ誰とも話さないし物静かだから、気が弱いんだとばかり思ってた。……だけど」
息を吸い込み、涙の滲む目で彼を見据える。
痛む心を冷たい言葉に代えて、強く言い放つ。
「――性格悪い」
口にしたあとに、良心がちくりと痛んだ。
わたしは人に嫌われることが怖い。常に周りの目を気にして生きてきた。だから、誰かを傷つけるような言葉は今まで言ったことがない。
……それなのに、わたしは今、藍達くんを傷つけた。
言ってしまったと思った。彼に投げた言葉は本心だけど、いつものわたしならそのまま飲み込んで我慢して絶対に言わないようなことだった。
「……そう。羽村さんは僕が性格の悪い人間だと思うんだ」
「あ、う、それは……。だ、だって、おかしいもん。傷ついてる女の子が目の前にいたら、さらに傷つけるような言葉を吐くなんて……普通ならできない」
体の横で握ったこぶしが小さく震えている。
朋哉はわたしを傷つけたけど、わたしは今、藍達くんを傷つけている。
藍達くんに向けた言葉なのに、なぜか自分の胸が痛む。できるならもうこれ以上話したくない。……話していると、もっと彼を傷つけてしまいそうだから。
「あのさ、普通ってなに?」
え、と声が漏れる。
「僕が誰とも話さず物静かだから、性格も穏やかだと思った? 話してみたら平気で人を傷つけるような言葉を吐く人間だから、騙された気分だって?」
眼鏡の奥の瞳がゆっくりとわたしの姿をとらえた。
こくりと息を飲む。
藍達くんは平坦な声で言った。
「それは見た目だけで判断した羽村さんが悪いよ」
心臓がどくんと跳ねた。
言い返せない。彼が言うことは正論だった。
「確かに僕はクラスじゃ誰とも話さないし、つるまないし、いつも一人で本を読んでるよね。見た目だってこだわりがないから、髪は黒いまま。制服も着崩さず着る。おまけに眼鏡だから、なおさら真面目に見えるんだろうな。そんな見た目だけの印象で、みんな僕をおとなしくて気弱な男子だと思ってる。たぶん、中にはなにも喋らない僕を、人形やロボットみたいに思ってる人もいるんだろうね」
そのとおりだと思った。空気だと思っていた彼は、誰よりもまわりを――そして自分を見て、理解っていた。
藍達くんはひたすら本をめくりながら言葉を重ねる。だけど突然、その手をぴたりと止めた。
「……でもさ、僕だって人間だから。ちゃんと感情は持ってるんだよ。嬉しいなとか、悲しいなとか――いらつくとかね」
はっとした。
きっと彼は怒っているのだ。わたしが傷つけたせいで。
罪悪感で胸が痛む。自分の傷が痛いからといって、他人を傷つけていいはずなどない。自分の愚かさに泣きたくなる。
「……ごめん、藍達くん。わたし、ひどいことを言ったよね……」
正直、わたしも彼に傷つけられた。本当は彼にも謝ってほしい。朋哉のことを悪く言われたのはまだ許せない。
……だけど、今は藍達くんに対する申し訳ない気持ちでいっぱいだった。謝っても許してもらえないかもしれないけれど……。
しかし彼は、あっけらかんと言う。
「いや、僕は羽村さんの言葉で傷ついたりはしてないよ。気にしないで」
「え……ほ、本当に……?」
その言葉に、落としていた視線を上げ、彼を見る。
本当に傷ついていないのだろうか。……あんなひどいことを言ってしまったのに。
「本当だよ。だってさぁ、」
藍達くんはわたしの目をじっと見つめたあとに、酷薄な笑みを口もとに浮かべて言った。
「――僕、性格悪いから」
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