転生令嬢は逃げ出したい 〜絶倫ルート回避したはずなのに、何故か別の絶倫ルートに入ったんですが!?〜

稲雀あや

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第八話「本能が告げる」

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第八話「本能が告げる」
 何度目か分からない絶頂が私を襲う。

 グレン殿下が片方の胸を貪り、秘部に指を埋め、いい所を的確に擦り上げられ、何度も頂きまで追い込まれた。
 生理的な涙をボロボロと垂れ流し、いやいやと首を振る私は滑稽だろう。
 グレン殿下の舌が胸の突起を転がす。
 時たま与えられる甘噛みによって、ゾクゾクと甘い刺激が腰をかけ巡る。

「もっ、ぁっだ、めぇ……」

 本番すらしていないのに、ぐずぐずに溶かされてしまっている現状。
 挿れられてしまったら、私はどうなってしまうのだろう。
 想像して、キュッと彼の指を締め付けてしまった。

「クスッ可愛い。ねぇ、ユキノ。俺が欲しい?」

 この地獄とも天国とも言える絶頂によって、私はおかしくなっているのだろう。
 彼が欲しくて欲しくてたまらない。
 こくこくと頷いたが返ってきたのは無慈悲な言葉で。

「欲しいならおねだりしてみせて?」
「そんな……ゃああっ!!」
 
 グリグリと一番気持ちいい所を刺激されれば、私の理性は消えてなくなってしまう。

「ほら、早く」

 絶え間なく与え続けられる刺激に理性が消えそうなほど身を悶させながらも、なんとか自身の欲求を口に出した。

「んっは、ぁグレン殿下。お願い、します。もっと中に欲しいの」
「もっと?」

 一本だった指を二本に増やされ、違うと首を振るが、お構いなしに中を擦り上げる。
 さらに芽芯を親指で潰された。

「ひっ、ああああぁぁぁあ」

 眼の前が真っ白に染まる。
 意識が落ちそうになるが、それすらも許されず、またも芽芯を潰されて強制的に覚醒させられた。

「はっ、あっ、もぉむりぃ……」

 前世でだってここまでイッた事はない。
 指が引き抜かれた蜜壷が少しばかりスースーする。
 指では届かない奥がきゅんきゅんと切なく疼く。

 私の体、変だ。

「上手におねだり出来たら挿れてあげる」

 胸から顔を離し、私の唇にちゅっと軽いキスを落とす彼はいまだ服を脱いでいない。
 私ばかり乱れてなんだか不公平な気がする。
 ここは前世の知識を駆使する場面なのではないだろうか。

「グレン殿下も脱いで下さい。私ばかり乱れるのは……なんだか、不公平です」
「敬語……。まぁいいか。じゃあ脱がせて」

 どうしてそうなる。

 だけど私に拒否権があるわけでもなく、私は軍服のボタンに手をかけた。
 ゆっくりと上着のボタンを外し、下のシャツのボタンを外していけば、露わになる引き締まった体。
 シックスパックに割れている人初めて見た。
 うっとりとその筋肉に触れていれば、くすくすと笑い声が聞こえた。

「好きだね、それ」
「す、すみません。つい……」
「いい。それで? おねだりはおしまい?」

 ボタンを全て外し終わると、彼は自ら服を脱ぎ捨てた。
 眼前に広がる肌色に、顔に熱が集まったのが分かる。
 熱の引かない体は、欲望に忠実だ。

「グレン様の大きくて熱い楔を私のここにちょうだい?」

 自ら足を広げ、大事な部分を見せつけるように広げる。
 ゴクリと唾を飲んだグレン殿下は、私の唇に噛み付いた。
 今までの余裕のある口づけではなく、余裕のない口づけにおねだりが成功した事を悟った。

 カチャカチャと金属音がするのは、パンツをくつろげているからだろう。

「えっろ。最高かよ」

 その言葉と同時に体の中心に大きな衝撃が走る。
 ズドンと一気に奥まで突き上げられ、眼前に火花が散った。
 それが素の喋り方なのかとか、一瞬頭に過ぎった疑問は快楽に流され消えていく。

「あっん、やぁ! いきなり、激しっ!!」
「今日は優しくしようと思ったんだがな……。反則だ」

 始めからラストスパートかと勘違いしそうなほど激しく揺さぶられ、抽送を繰り返す。
 抜けないギリギリまで引き抜いて、一気に最奥まで突き上げる。
 それを何度も何度も執拗に繰り返され、高められた場所から降りて来られない。

 これは駄目だ。おかしくなる。

 もう少し優しくして欲しいとのお願いも口から出ず、容赦のないまぐあいに自分の口から溢れるのは艶めかしい色づいた声だけだ。

「ひゃぁんっ、はっぁあっぅん」
「愛している。ユキノ。俺にはお前だけだ」

 愛の言葉を囁かれ、どろどろに溶かされていく。
 気持ちが良すぎて意味がわからない。
 グレン殿下の瞳が、獲物を捕えた猛禽類のような目で私を見ている。
 その瞳に背筋がゾクリとした。

「俺だけの番。絶対に逃さない」
「ぁんはっ、まっ、て、中はっ! ひゃぁあああああ!?」

 彼のラストスパートと共に弾けた快感。

 熱い。

 十中八九、中に子種が注がれたのだろう。

「ど、して……」
「愛してるんだ。だから、俺の子を孕んで」

 端的に紡がれた言葉に息を呑む。
 グレン殿下の目は本気だ。

「君がどれだけ嫌がっても、俺は君を離せない。ごめん」

 繋がったままきつく抱き締められ彼の顔が見えなくなる。
 何故か分からない。でも、その悲痛な声に心が締め付けられた。

「……私だけを愛してくれるなら、ずっと側に──

 いてもいい。と続く言葉は口づけによって遮られた。

「ありがとう」

 額同士をくっつけられ、ボッと顔が赤くなったのが分かった。
 それ以上のことをしておいて今更と思われるかもしれないが、それはそれ、これはこれだ。
 とても恥ずかしい。

「ふっ可愛い」
「えっ、待って、なんで……」

 未だ中にいる彼の息子が再び元気を取り戻している。

「可愛いのが悪い」
「そんなっ、ひゃあん」

 くるりと反転させられ、後ろから快感が迫りくる。

「やっぁもう無理ぃ! あぁっ!!」

 ゾクゾクと背筋を通り抜ける気持ちよさに嬌声を上げながら、私は悟った。

 もう彼の手中から逃れられないのだ、と。
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