僕の部下がかわいくて仕方ない

まつも☆きらら

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第49話

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「・・・それで、渉くんと付き合うから俺たちとは付き合えないって、そう言うために呼んだの?」

イチが言った。

口調はいつものように穏やかだったけれど、伏せたままの目がイチのへこんだ気持ちを表しているようだった。

「んーん、それはちょっと違うかな」

そう言って、悠太が自分の唇に指で触れ、ちょこっと小首を傾げた。

最近気づいたが、この仕草は悠太の癖らしい。

何か考えながらしゃべる時、こうして指で唇に触れながら首を傾げるのだ。

ちょっと色っぽくてかわいい仕草。

それを意識せずやってるんだからたちが悪い。

いや、今はそんなこと関係ないけど。

「違うって、どういうこと?だって、渉くんと付き合うなら俺らとは付き合えないじゃん」

直もそう言ってちょっと口を尖らせた。

「まあでも、誰を選んでも他の3人は悠太と付き合えないよな」

俺がそう言うと、イチと直がじろりと俺を睨んだ。

「龍也くん、それ言ったら身も蓋もないから」

「そうだけど。イチだってそれくらいわかってるだろ?」

「わかってるけど!」

「まあ、3人とも落ち着いて」

のほほんとした渉くんの声に、俺たち3人は同時に渉くんを睨みつけた。

「「「あんたが言うな!」」」

「・・・・はい」

「あのね、俺の話聞いてくれる?」

1人落ち着いて・・・というか、今のやり取りを完全にスルーして悠太がそう言った。

「付き合えないって言おうと思ってたわけじゃなくて。俺は4人とも大好きだから、今の関係を壊したくなくてずっと悩んでたの」

「・・・・けど、渉くんが好きなんだろ?」

俺の言葉に、悠太はちょっと眉を下げた。

「好きだよ。渉にそばにいてほしいし、付き合いたいって思う。でも・・・・それで3人との関係が気まずくなるのは嫌だなって思ってて・・・・そんなの俺のわがままだってわかってるけど・・・・でも俺、この5人でいるときが一番楽しくて大好きなんだ」

そうは言っても・・・・

俺は、言葉を発しようとして口を開け、そこで思いとどまった。

何か言えば、それは悠太と渉くんを責める言葉になる。

俺だってそんなことはしたくなかった。

悠太の言うように、この5人でいるときが一番楽しい。

それは俺も同じ気持ちだった。

言ってみればライバル関係なのに、5人でいるときのわちゃわちゃした空気はとても心地よくて、それは壊したくない。

悠太が誰かを選べば、それが壊れるってことはわかってても。

俺は悠太以外の3人のことも、大好きなんだ。

きっとそれは、イチや直、それに渉くんも同じ気持ちで・・・・

「だから・・・・だから、俺のわがままをもし聞いてくれるなら・・・・龍也くんとも、イチとも、直くんとも、今までと同じ関係でいたいんだ。もし・・・・・許してもらえるなら・・・・」

悠太はそう言って俺たちの顔を見渡したのだった。
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