39 / 50
第39話
しおりを挟む
「悠太くんの病院、わかりましたよ」
部長室で、イチがそう言った。
悠太が自宅で倒れていたという連絡を受けてから、仕事に集中できず俺たちは3人とも心ここにあらずという状態だったのだが、ようやく直からイチに連絡が入り、俺とともに部長室へきて渉くんと二人イチの言葉にひとまずほっと息をついた。
「―――で、どうします?3人一緒に抜けるのはまずいでしょ?」
「・・・・だな」
俺は渉くんをちらりと見た。
渉くんはむっと口を結び、不服そうにイチを見ていた。
まあ、当然病院に駆け付けたいと思っているだろう。
俺だって本当は行きたい。
悠太のことが心配でたまらなかった。
仕事なんて今すぐ放りだして―――
でも、同じ部署の人間が3人もここで抜けるわけにはいかない。
直の報告によると、熱は高いものの重い病気ではなさそうとのこと。
そして怪我も、階段から落ちた際の打ち身が何カ所かあるだけで、骨には異常がなさそうとのことだった。
もちろん、念のため検査をするということで今日1日は入院ということになるということだったが。
「大事には至らなかったということだから、俺はとりあえず残るよ。仕事帰りに寄らせてもらうから」
と俺が言うと、イチもため息をつき頷いた。
「ですよね。俺もそうします。悠太くんがいないとなると、今日は俺も忙しくなるし。で、おじさんは―――」
そう言ってイチが顔を上げる。
俺もイチと同様に渉くんを見る。
「・・・・行くんですか」
もう行く気満々で身支度を始めている渉くんを見て、俺たちは同時にため息をついたのだった・・・・。
部長室で、イチがそう言った。
悠太が自宅で倒れていたという連絡を受けてから、仕事に集中できず俺たちは3人とも心ここにあらずという状態だったのだが、ようやく直からイチに連絡が入り、俺とともに部長室へきて渉くんと二人イチの言葉にひとまずほっと息をついた。
「―――で、どうします?3人一緒に抜けるのはまずいでしょ?」
「・・・・だな」
俺は渉くんをちらりと見た。
渉くんはむっと口を結び、不服そうにイチを見ていた。
まあ、当然病院に駆け付けたいと思っているだろう。
俺だって本当は行きたい。
悠太のことが心配でたまらなかった。
仕事なんて今すぐ放りだして―――
でも、同じ部署の人間が3人もここで抜けるわけにはいかない。
直の報告によると、熱は高いものの重い病気ではなさそうとのこと。
そして怪我も、階段から落ちた際の打ち身が何カ所かあるだけで、骨には異常がなさそうとのことだった。
もちろん、念のため検査をするということで今日1日は入院ということになるということだったが。
「大事には至らなかったということだから、俺はとりあえず残るよ。仕事帰りに寄らせてもらうから」
と俺が言うと、イチもため息をつき頷いた。
「ですよね。俺もそうします。悠太くんがいないとなると、今日は俺も忙しくなるし。で、おじさんは―――」
そう言ってイチが顔を上げる。
俺もイチと同様に渉くんを見る。
「・・・・行くんですか」
もう行く気満々で身支度を始めている渉くんを見て、俺たちは同時にため息をついたのだった・・・・。
11
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる