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第4話

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「何だよ、来てたんなら声かけろよ。悠太、こいつ俺の高校の時の同級生で市原和樹いちはらかずき。イチ、この子は俺の幼馴染で南悠太。俺らの1個下だよ」

直くんがそう言うと、イチと呼ばれたその男がちらりと俺を見て、ぺこりと頭を下げた。

「あ・・・ど、どうも」

慌てて俺も頭を下げる。

「え~、市原くんの友達?先に言ってよ~」

市原の前に座っていた女の子たちがきゃっきゃと声を上げると市原は興味なさそうに女の子たちを一瞥した。

「仕事してるのに、悪いでしょ」

「何だよ市原、そういう言い方すんなって!せっかくの合コンなんだからさ!てか俺もお前の友達の店って知らなかったよ。なあ友達割引とかねえの?」

市原の隣に座っていた茶髪のチャラい男がそう言うと、市原はにこりともせず肩をすくめた。

「俺はただの人数合わせで来ただけだし。この店に来るってわかってたら来なかったよ。友達に迷惑かけたくないし」

きっぱり言い切った市原。

酒も入って周りが盛り上がってる中、市原だけが浮いているような感じがした。

―――ずいぶん不愛想な男だな・・・。

なんて思っていると。

「―――生は?」

市原が、じろりと俺を見た。

「あ!すいません、すぐにお持ちします!」

俺は慌ててカウンターに戻ってジョッキにビールを注いだ。

いや、俺が悪いんだけどさ。

でも、感じ悪くない・・・・?




いつもは常連客が数組来るくらいなのだが、今日は市原達以外にも初めての客が来たりして、だいぶ忙しい日だった。

ようやく客がはけ、閉店したころには俺たちはへとへとに疲れていた。

「2人ともお疲れ。悠太、ありがとうな、助かったよ」

カウンターに座った俺と直くんの前に、敬之くんが缶ビールを2本置いてくれた。

「ありがと。力になれたならよかった」

「悠太、ごめんね、イチのこと」

直くんがすまなそうに俺を見た。

「別に気にしてないよ。高校は別だったから全然友達のことも知らなかったよ。あの人と仲良かったの?」

「まあね。普段はゲームばっかりやってるようなオタクなんだけど、意外と運動神経もよくてさ、土日の草野球とか一緒にやってたんだ」

「へえ・・・・」

昔から明るくて元気いっぱい、野球やバスケなどスポーツ万能だった直くん。

その友達としてはあの市原はちょっと意外な感じがしたけど・・・・。

「ちょっと不愛想だけど、悪い奴じゃないんだよ」

そう言って笑う直くんに、俺もちょっと笑った。

まあ、もう会うこともないだろうしな・・・・。
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