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第24話
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「さっくん!具合、大丈夫なの!?俺、昨日何度も電話―――」
そこで、俺の言葉は中途半端に途切れた。
玄関から出てきたさっくんの後ろから続いて出てきたのは、真田さんだった。
「タク、来てくれたんだ」
さっくんが嬉しそうに笑って俺に駆け寄ってきた。
顔色は、先日までとは比べ物にならないくらい良かった。
「ごめん、昨日俺、携帯の充電切れてるの気付かないで寝ちゃったみたいで・・・・、電話くれたんだ?」
「あ、うん・・・・。幹ちゃんに、連絡もらって。もう、大丈夫なの?」
「うん。ちょっと熱が出たんだけど、柊真が来てくれたから」
そう言ってはにかむように笑うさっくん。
俺はちらりと真田さんを見た。
「・・・・真田さん、泊ったんだ?」
「俺が、気ぃ失っちゃったから、そのままついててくれたんだよ」
「気ぃ失った?大丈夫なの?」
今は普通に見えるけど、そんなに具合が悪いならまだ休んでいた方が・・・・
「もう大丈夫。それに、今日から柊真が泊ってくれるって―――」
「は・・・・・!?泊る?真田さんが?なんで?」
思わず大きな声を出してしまう。
だって、1週間も顔見せなかったくせに、今さらさっくんの前にまた現れていきなりさっくんの家に泊るってどういうこと?って思うじゃん!
「えっと・・・・・説明すると長いんだけどさ・・・・歩きながら説明するよ」
そういいながら、さっくんは歩き出した。
真田さんもさっくんの隣について歩き出す。
心なしかその距離は前よりも近づいてるように見えて―――
俺は、まったくもって面白くなかった。
ずっとさっくんの隣にいて、さっくんを見守ってきたのは俺なのに―――
じろりと真田さんを睨みつけると、真田さんはちらりと俺を見て、ふと苦笑したかと思うと―――
べーっと舌を出しやがった!
「何やってんの?柊真」
さっくんが真田さんを見て笑う。
「なんでもない。ちょっとタクと遊んでた」
「へえ?仲いいね。やっぱり2人って相性いいんじゃない?」
「「それはない!」」
またもやはもった俺たちに、さっくんが爆笑する。
久しぶりの、さっくんの笑顔。
さっくんをこんなふうに元気にしてくれたのが真田さんだってことくらい、俺にもわかるけれど。
でも、やっぱり認めたくないよ。
だって、真田さんは・・・・・
「なんであなたがさっくんの家に泊るんですか」
カフェにつき、さっくんが着替えるために裏へ入って行くと、俺と真田さんは同じテーブルに着いた。
俺の言葉に、真田さんが苦笑する。
「さっき、咲也も言ってたじゃん。昨日、あの中崎ってやつが咲也の家までつけてきたんだよ。またあんなことがあると心配だから」
「だから、それなら俺がいるじゃないですか。俺がさっくんの家に行ったっていいし、さっくんが俺の家に来てもいいし。あなた、一応画家で個展も開く予定なんでしょう?だったらさっくんの家に泊ってるような暇、ないんじゃないですか」
昔から、さっくんは何か困ったことがあると必ず俺に相談してくれたし、頼って来てくれた。
中学生くらいまでは、女の子みたいに華奢で小さくて可愛かったさっくん。
そんなさっくんを守るのが俺の役目だと思ってた。
それはすっかり背が伸びて大人っぽくなった今でも変わらない関係。
これからも、さっくんを守るのは俺の役目のはずなのに。
「・・・・それは、俺が嫌だから」
真田さんは、ひょうひょうとした態度でそう言った。
「は?嫌って、どういうこと?」
「咲也が、タクの家に泊るのは嫌」
「・・・・・は?」
この人、何を言い出すんだろう?まさか・・・・・
「あの・・・・・うすうす怪しいとは思ってましたけど・・・・・」
「ん?」
「あなた・・・・・さっくんのことが、好きとか言いませんよね?」
「え、言っちゃダメなの?」
きょとんとした表情で俺を見る真田さん。
「―――は?ちょ、何―――」
「俺、好きだよ、咲也のこと」
―――言っちゃいましたよ、この人。ものすごくさらっと・・・・・
「あ、でもまだ咲也には言ってないよ。言わないでね、自分で言いたいから」
そう言って、にっこりと微笑む真田さん。
この人・・・・・めちゃくちゃマイペースな人だな。
「・・・・・ここ1週間くらい、全く顔出さなかったくせに」
「それはだから、個展の準備で・・・・・」
「・・・・・さっくんが具合悪いことも、知らなかったくせに」
「それは・・・・・後悔してるよ。もっと早く会いに来ればよかったって」
真田さんが、ふと辛そうに目を伏せた。
それは、初めて見る真田さんの表情だった。
いつも、のほほんとしてにこにこしているイメージしかない。
それほど、本気だということだろうか。
でも、さっくんは夏美さんの弟だ。
亡くなった恋人の弟を、好きになるなんて・・・・・
「恋人だった人の弟だってことは、気にならないんですか?」
「・・・・・夏美は、俺が咲也の傍にいることを望んでると思うから」
「なんですかそれ。夏美さんが望んでるから、さっくんの傍にいるってことですか?」
「いや―――」
「はい、コーヒー」
気付けば、さっくんがすぐそばにいて俺たちの前にコーヒーを置いた。
―――話を、聞いていただろうか?どこから・・・・・?
「さっくん、今日ラストまで?」
「ううん、今日は10時まで。圭くんが、無理するなって」
「でしょうね。あの人、さっくんに関しては超過保護だから」
「んふふ。圭くん、優しいからね。今日も休めばって言われたけど、今日は美香ちゃんも休みだし、昨日よりも全然調子いいから、やらせてって言ったんだ」
「そっか。無理しないでね」
「うん。幹ちゃんもいるし、大丈夫」
そう言ってにっこり笑うと、さっくんはカウンターへ入っていった。
ふと見ると、真田さんが不機嫌そうに顔をしかめていた。
「・・・・・なんですか」
「・・・・・圭くんて、優しいんだ?」
「まぁ、優しいですよ。特にさっくんには」
そんなこと、たぶんとっくに気付いてると思うけど。
「・・・・咲也が、嬉しそうだった」
「は?」
「圭くんは優しいって言った時の咲也、すごい嬉しそうだった。咲也って、圭くんのこと―――」
そこまで言って、黙ってしまった真田さん。
なんだか意外だった。
ヤキモチなんか、妬かないタイプに見えるのに。
ちょっと・・・・・
面白いかも、ね・・・・・。
そこで、俺の言葉は中途半端に途切れた。
玄関から出てきたさっくんの後ろから続いて出てきたのは、真田さんだった。
「タク、来てくれたんだ」
さっくんが嬉しそうに笑って俺に駆け寄ってきた。
顔色は、先日までとは比べ物にならないくらい良かった。
「ごめん、昨日俺、携帯の充電切れてるの気付かないで寝ちゃったみたいで・・・・、電話くれたんだ?」
「あ、うん・・・・。幹ちゃんに、連絡もらって。もう、大丈夫なの?」
「うん。ちょっと熱が出たんだけど、柊真が来てくれたから」
そう言ってはにかむように笑うさっくん。
俺はちらりと真田さんを見た。
「・・・・真田さん、泊ったんだ?」
「俺が、気ぃ失っちゃったから、そのままついててくれたんだよ」
「気ぃ失った?大丈夫なの?」
今は普通に見えるけど、そんなに具合が悪いならまだ休んでいた方が・・・・
「もう大丈夫。それに、今日から柊真が泊ってくれるって―――」
「は・・・・・!?泊る?真田さんが?なんで?」
思わず大きな声を出してしまう。
だって、1週間も顔見せなかったくせに、今さらさっくんの前にまた現れていきなりさっくんの家に泊るってどういうこと?って思うじゃん!
「えっと・・・・・説明すると長いんだけどさ・・・・歩きながら説明するよ」
そういいながら、さっくんは歩き出した。
真田さんもさっくんの隣について歩き出す。
心なしかその距離は前よりも近づいてるように見えて―――
俺は、まったくもって面白くなかった。
ずっとさっくんの隣にいて、さっくんを見守ってきたのは俺なのに―――
じろりと真田さんを睨みつけると、真田さんはちらりと俺を見て、ふと苦笑したかと思うと―――
べーっと舌を出しやがった!
「何やってんの?柊真」
さっくんが真田さんを見て笑う。
「なんでもない。ちょっとタクと遊んでた」
「へえ?仲いいね。やっぱり2人って相性いいんじゃない?」
「「それはない!」」
またもやはもった俺たちに、さっくんが爆笑する。
久しぶりの、さっくんの笑顔。
さっくんをこんなふうに元気にしてくれたのが真田さんだってことくらい、俺にもわかるけれど。
でも、やっぱり認めたくないよ。
だって、真田さんは・・・・・
「なんであなたがさっくんの家に泊るんですか」
カフェにつき、さっくんが着替えるために裏へ入って行くと、俺と真田さんは同じテーブルに着いた。
俺の言葉に、真田さんが苦笑する。
「さっき、咲也も言ってたじゃん。昨日、あの中崎ってやつが咲也の家までつけてきたんだよ。またあんなことがあると心配だから」
「だから、それなら俺がいるじゃないですか。俺がさっくんの家に行ったっていいし、さっくんが俺の家に来てもいいし。あなた、一応画家で個展も開く予定なんでしょう?だったらさっくんの家に泊ってるような暇、ないんじゃないですか」
昔から、さっくんは何か困ったことがあると必ず俺に相談してくれたし、頼って来てくれた。
中学生くらいまでは、女の子みたいに華奢で小さくて可愛かったさっくん。
そんなさっくんを守るのが俺の役目だと思ってた。
それはすっかり背が伸びて大人っぽくなった今でも変わらない関係。
これからも、さっくんを守るのは俺の役目のはずなのに。
「・・・・それは、俺が嫌だから」
真田さんは、ひょうひょうとした態度でそう言った。
「は?嫌って、どういうこと?」
「咲也が、タクの家に泊るのは嫌」
「・・・・・は?」
この人、何を言い出すんだろう?まさか・・・・・
「あの・・・・・うすうす怪しいとは思ってましたけど・・・・・」
「ん?」
「あなた・・・・・さっくんのことが、好きとか言いませんよね?」
「え、言っちゃダメなの?」
きょとんとした表情で俺を見る真田さん。
「―――は?ちょ、何―――」
「俺、好きだよ、咲也のこと」
―――言っちゃいましたよ、この人。ものすごくさらっと・・・・・
「あ、でもまだ咲也には言ってないよ。言わないでね、自分で言いたいから」
そう言って、にっこりと微笑む真田さん。
この人・・・・・めちゃくちゃマイペースな人だな。
「・・・・・ここ1週間くらい、全く顔出さなかったくせに」
「それはだから、個展の準備で・・・・・」
「・・・・・さっくんが具合悪いことも、知らなかったくせに」
「それは・・・・・後悔してるよ。もっと早く会いに来ればよかったって」
真田さんが、ふと辛そうに目を伏せた。
それは、初めて見る真田さんの表情だった。
いつも、のほほんとしてにこにこしているイメージしかない。
それほど、本気だということだろうか。
でも、さっくんは夏美さんの弟だ。
亡くなった恋人の弟を、好きになるなんて・・・・・
「恋人だった人の弟だってことは、気にならないんですか?」
「・・・・・夏美は、俺が咲也の傍にいることを望んでると思うから」
「なんですかそれ。夏美さんが望んでるから、さっくんの傍にいるってことですか?」
「いや―――」
「はい、コーヒー」
気付けば、さっくんがすぐそばにいて俺たちの前にコーヒーを置いた。
―――話を、聞いていただろうか?どこから・・・・・?
「さっくん、今日ラストまで?」
「ううん、今日は10時まで。圭くんが、無理するなって」
「でしょうね。あの人、さっくんに関しては超過保護だから」
「んふふ。圭くん、優しいからね。今日も休めばって言われたけど、今日は美香ちゃんも休みだし、昨日よりも全然調子いいから、やらせてって言ったんだ」
「そっか。無理しないでね」
「うん。幹ちゃんもいるし、大丈夫」
そう言ってにっこり笑うと、さっくんはカウンターへ入っていった。
ふと見ると、真田さんが不機嫌そうに顔をしかめていた。
「・・・・・なんですか」
「・・・・・圭くんて、優しいんだ?」
「まぁ、優しいですよ。特にさっくんには」
そんなこと、たぶんとっくに気付いてると思うけど。
「・・・・咲也が、嬉しそうだった」
「は?」
「圭くんは優しいって言った時の咲也、すごい嬉しそうだった。咲也って、圭くんのこと―――」
そこまで言って、黙ってしまった真田さん。
なんだか意外だった。
ヤキモチなんか、妬かないタイプに見えるのに。
ちょっと・・・・・
面白いかも、ね・・・・・。
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