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第31話
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「・・・遅いね、稔たち」
ソファーで寝転がりながら、皐月が呟いた。
「あぁ。千葉からだからな。さっき関からメール来たけど、途中で渋滞してるって―――」
「このワインおいし~~~。浩斗くん、もう1杯飲んでもいい~~~?」
「いいけど、お前飲み過ぎ―――」
「浩斗くんも飲も~~~~~」
皐月がパッと起きあがり、ワインボトルとグラスを俺の顔の前にずいっと差し出した。
「いや―――」
「はいっ、浩斗くん!」
「あ、はい―――じゃなくて、俺は―――」
「ほら、零れるよ~~、浩斗くんちゃんとグラスもってぇ」
「いやだから、皐月―――」
「は~い、ど~ぞ~~~!」
「・・・・・ありがと」
なみなみとつがれたワインを口に含み、隣に肩が触れるほど寄り添って楽しそうに体を揺らす皐月を見る。
ニコニコと楽しそうにワインを飲む皐月は、なんだかふわふわしていて可愛くて。
こんな状況なのに俺は、皐月の体が密着している肩が熱くなっているのを感じていた。
「・・・・浩斗くんがここに来るの、久しぶりだね~」
「ああ・・・・そうだな。お前がこの稔くんのマンションに引っ越したときに、みんなで集まった時以来か」
「そっか~。もっと遊びに来てくれればいいのに~。稔いつも帰ってくるの遅いしさ~、1人じゃ寂しいし~」
「寂しい・・・のか・・・・?」
「ん~~~・・・・だってさ~、稔、いっつも俊哉と一緒だしさ~」
「そりゃ、仕事だからだろ?」
「む~~~・・・浩斗くん、稔の味方するのぉ~~~?」
突然皐月の顔が間近に迫り、俺はドキッとして思わずのけぞる。
「み、味方って・・・」
「俺の味方してよぉ~~~~」
「いや、するよ、するけど、も・・・ちょっと、離れようか、皐月」
俺の心臓がもたない!
「や~~だ~~、浩斗くん、いじわるっ!」
「いじわるって・・・ッ、こら、皐月!」
皐月が、俺の胸に頭を擦り付けるようにしてくっつく。
―――こ、この酔っぱらい・・・俺の気も知らないで!
「う~~~~~・・・・っく、う・・・・」
―――え・・・・
「皐月・・・・?お前、泣いて・・・・」
「・・・・っく・・・・ひろ・・・くん、俺・・・・稔、に・・・・嫌われたら、どうしよ・・・・」
―――嫌われる?稔くんに?
「そんなこと、あるわけないだろ?」
「・・・・って・・・・、浩斗くん・・・・聞いた、でしょ・・・?裕太くん、に・・・・ッ」
「え?」
「俺が・・・・今野に・・・・」
「・・・・」
「・・・俺・・・稔に、嫌われたら・・・ッ、どうしたら・・・・ッ」
震えながら、俺にすがりつく皐月。
―――まったく・・・・・こいつは
ソファーで寝転がりながら、皐月が呟いた。
「あぁ。千葉からだからな。さっき関からメール来たけど、途中で渋滞してるって―――」
「このワインおいし~~~。浩斗くん、もう1杯飲んでもいい~~~?」
「いいけど、お前飲み過ぎ―――」
「浩斗くんも飲も~~~~~」
皐月がパッと起きあがり、ワインボトルとグラスを俺の顔の前にずいっと差し出した。
「いや―――」
「はいっ、浩斗くん!」
「あ、はい―――じゃなくて、俺は―――」
「ほら、零れるよ~~、浩斗くんちゃんとグラスもってぇ」
「いやだから、皐月―――」
「は~い、ど~ぞ~~~!」
「・・・・・ありがと」
なみなみとつがれたワインを口に含み、隣に肩が触れるほど寄り添って楽しそうに体を揺らす皐月を見る。
ニコニコと楽しそうにワインを飲む皐月は、なんだかふわふわしていて可愛くて。
こんな状況なのに俺は、皐月の体が密着している肩が熱くなっているのを感じていた。
「・・・・浩斗くんがここに来るの、久しぶりだね~」
「ああ・・・・そうだな。お前がこの稔くんのマンションに引っ越したときに、みんなで集まった時以来か」
「そっか~。もっと遊びに来てくれればいいのに~。稔いつも帰ってくるの遅いしさ~、1人じゃ寂しいし~」
「寂しい・・・のか・・・・?」
「ん~~~・・・・だってさ~、稔、いっつも俊哉と一緒だしさ~」
「そりゃ、仕事だからだろ?」
「む~~~・・・浩斗くん、稔の味方するのぉ~~~?」
突然皐月の顔が間近に迫り、俺はドキッとして思わずのけぞる。
「み、味方って・・・」
「俺の味方してよぉ~~~~」
「いや、するよ、するけど、も・・・ちょっと、離れようか、皐月」
俺の心臓がもたない!
「や~~だ~~、浩斗くん、いじわるっ!」
「いじわるって・・・ッ、こら、皐月!」
皐月が、俺の胸に頭を擦り付けるようにしてくっつく。
―――こ、この酔っぱらい・・・俺の気も知らないで!
「う~~~~~・・・・っく、う・・・・」
―――え・・・・
「皐月・・・・?お前、泣いて・・・・」
「・・・・っく・・・・ひろ・・・くん、俺・・・・稔、に・・・・嫌われたら、どうしよ・・・・」
―――嫌われる?稔くんに?
「そんなこと、あるわけないだろ?」
「・・・・って・・・・、浩斗くん・・・・聞いた、でしょ・・・?裕太くん、に・・・・ッ」
「え?」
「俺が・・・・今野に・・・・」
「・・・・」
「・・・俺・・・稔に、嫌われたら・・・ッ、どうしたら・・・・ッ」
震えながら、俺にすがりつく皐月。
―――まったく・・・・・こいつは
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