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第8話
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「さっちゃん!お帰り!」
探偵事務所の下にある戸田くんの店に着くと、戸田くんが早速皐月に抱きついた。
彼も皐月のことが大好きで・・・・毎日のように会っているというのに皐月が店に顔を出すたびに、嬉しそうに『さっちゃん!いらっしゃい!』と満面の笑顔で迎えてくれるのだ。
皐月も戸田くんのことが大好きで、彼の淹れてくれるコーヒーもまた大好きで毎日のように通っていた。
「悠太くん、心配かけてごめんね」
皐月も嬉しそうに相葉ちゃんの背中に腕を回す。
―――ま、今日くらいはね・・・・
しょうがないなと思いながらもついつい溜息が出てしまう俺を、浩斗くんが横目で見て笑っていた。
「もう、あのままさっちゃんが起きなかったらどうしようかと思ってたよ!なんなら俺がキスして起こしてあげたのに!」
「戸田くん!それは俺の役目だから」
「え~、だって樫ちゃんはどうせ毎日チューしてるじゃん。たまには俺に譲ってくれても―――」
「だめ!そういう問題じゃないから!」
「ちょっと、なに入口塞いでるんですか。さっさと中に入ってくださいよ」
後ろから関の声が聞こえ、皐月が俺の背後に視線を向け笑顔になる。
「俊哉!」
「皐月くん!こんなとこきちゃって大丈夫?家のが落ちつけるんじゃないの?」
「おい!なんだよこんなとこって!」
「だってあんたうるさいんだもん!」
「うるさくないよ!さっちゃんのためにおいしいコーヒー入れるんだから!」
「もう、お前らうるさいよ!ほら皐月、疲れるから席座ろう」
結局浩斗くんが皐月を引っ張って席につき、俺と関も続いたのだった。
出会ってからそんなに年月がたってるわけじゃないのに、まるで昔からの友達のように仲が良くなったなあと、不思議な感覚になる。
「―――じゃあ、その日の記憶は全くないの?」
関の言葉に、皐月が頷いた。
「うん。前の日のことははっきり覚えてるよ。自分で作ったオムライスの味も、稔と一緒に見たテレビも、寝る前に交わした会話も―――」
「なるほど・・・・寝る前の会話、ね・・・・」
関がちらりと俺を見るのに、俺は気付かないふりをした。
探偵事務所の下にある戸田くんの店に着くと、戸田くんが早速皐月に抱きついた。
彼も皐月のことが大好きで・・・・毎日のように会っているというのに皐月が店に顔を出すたびに、嬉しそうに『さっちゃん!いらっしゃい!』と満面の笑顔で迎えてくれるのだ。
皐月も戸田くんのことが大好きで、彼の淹れてくれるコーヒーもまた大好きで毎日のように通っていた。
「悠太くん、心配かけてごめんね」
皐月も嬉しそうに相葉ちゃんの背中に腕を回す。
―――ま、今日くらいはね・・・・
しょうがないなと思いながらもついつい溜息が出てしまう俺を、浩斗くんが横目で見て笑っていた。
「もう、あのままさっちゃんが起きなかったらどうしようかと思ってたよ!なんなら俺がキスして起こしてあげたのに!」
「戸田くん!それは俺の役目だから」
「え~、だって樫ちゃんはどうせ毎日チューしてるじゃん。たまには俺に譲ってくれても―――」
「だめ!そういう問題じゃないから!」
「ちょっと、なに入口塞いでるんですか。さっさと中に入ってくださいよ」
後ろから関の声が聞こえ、皐月が俺の背後に視線を向け笑顔になる。
「俊哉!」
「皐月くん!こんなとこきちゃって大丈夫?家のが落ちつけるんじゃないの?」
「おい!なんだよこんなとこって!」
「だってあんたうるさいんだもん!」
「うるさくないよ!さっちゃんのためにおいしいコーヒー入れるんだから!」
「もう、お前らうるさいよ!ほら皐月、疲れるから席座ろう」
結局浩斗くんが皐月を引っ張って席につき、俺と関も続いたのだった。
出会ってからそんなに年月がたってるわけじゃないのに、まるで昔からの友達のように仲が良くなったなあと、不思議な感覚になる。
「―――じゃあ、その日の記憶は全くないの?」
関の言葉に、皐月が頷いた。
「うん。前の日のことははっきり覚えてるよ。自分で作ったオムライスの味も、稔と一緒に見たテレビも、寝る前に交わした会話も―――」
「なるほど・・・・寝る前の会話、ね・・・・」
関がちらりと俺を見るのに、俺は気付かないふりをした。
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