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第7話
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「心因性健忘の可能性が高いですね。いわゆる記憶障害ですが、過度のストレスを与えられたことによって、一定期間の記憶だけ抜け落ちてしまった状態です」
医師の説明にも、皐月は戸惑うばかりだ。
「その記憶は、戻るんでしょうか?」
「可能性はありますが、絶対とは言えません。時期にしても、すぐに思い出すこともあれば長い時間たってから記憶が戻ることもありますし、戻らないこともある。それについては何とも言えないというのが現状です」
なにはともあれ、その記憶障害以外には特に異常が見られないということで、皐月はすぐに退院許可が下りたのだった。
連絡を受けて駆け付けた浩斗くんとともに、病院を後にする。
「関が、事情を聞きに来るって。・・・・皐月、大丈夫か?やっぱりまだ顔色がよくない」
浩斗くんの車の中、バックミラー越しに皐月の顔を見た浩斗くんが心配そうに眉を寄せる。
「ん、大丈夫。ごめんね、浩斗くん」
「いいけど・・・・あんまり無理すんな。話をするのは、明日でもいいんだぞ。関だって、その辺はわかってくれる」
浩斗くんの言葉に、皐月は首を振った。
「いいんだ。話をしてるうちに、何か思い出すかもしれないし・・・・。俊哉にも心配かけちゃったし、会いたい」
同い年の関と皐月は、見た目も性格も正反対のように見えるのに、どこか通じるものがあるのか仲が良かった。
それこそ、俺がいないのに勝手に家に上がり込んで皐月と2人で飲んでることもあるくらいで、あまり感情を表に出さない関が、皐月と一緒だとよく声を上げて笑っていた。
今回のことでも関はとても皐月のことを心配していた。
そしてもう1人―――
「裕太も心配してたよ。さっきメールで知らせたから、家まで来るって言ってた。ちょっと騒がしくなるけど・・・・」
「ふふ・・・・。いいよ、俺も裕太くんに会いたいし。あ、どうせなら裕太くんの店に行きたいな。コーヒー飲みたい」
「え、マジで?大丈夫か?」
浩斗くんが、ちらりと俺を見る。
「・・・戸田くんの店なら、いいんじゃない?皐月が落ちつけるところなら俺はどこでもいいし」
「―――O.K。じゃ、2人に知らせとくわ」
浩斗くんはいったん車を路肩の止めると、携帯を取り出した。
ちらりと皐月を見ると、皐月は窓の外をじっと見つめていた。
まるで、何かを必死で思い出そうとしているように―――
俺は、そんな皐月の手をそっと握った。
皐月も俺の手を握り返してくれる。
―――大丈夫。俺が、ついてる。
そんな気持ちが、伝わるように。
本当は、皐月がこうして元気になって俺の隣にいてくれるだけで十分だ。
何も思い出せなくたっていい。
だけど、やっぱりそれじゃあ皐月はずっと何かが欠けた状態で生きていくことになるんだよな。
何よりも、また皐月に危害を加えられる可能性があるとすれば、それは全力で防ぎたい。
もう二度と、皐月を傷つけさせたりはしない・・・・。
医師の説明にも、皐月は戸惑うばかりだ。
「その記憶は、戻るんでしょうか?」
「可能性はありますが、絶対とは言えません。時期にしても、すぐに思い出すこともあれば長い時間たってから記憶が戻ることもありますし、戻らないこともある。それについては何とも言えないというのが現状です」
なにはともあれ、その記憶障害以外には特に異常が見られないということで、皐月はすぐに退院許可が下りたのだった。
連絡を受けて駆け付けた浩斗くんとともに、病院を後にする。
「関が、事情を聞きに来るって。・・・・皐月、大丈夫か?やっぱりまだ顔色がよくない」
浩斗くんの車の中、バックミラー越しに皐月の顔を見た浩斗くんが心配そうに眉を寄せる。
「ん、大丈夫。ごめんね、浩斗くん」
「いいけど・・・・あんまり無理すんな。話をするのは、明日でもいいんだぞ。関だって、その辺はわかってくれる」
浩斗くんの言葉に、皐月は首を振った。
「いいんだ。話をしてるうちに、何か思い出すかもしれないし・・・・。俊哉にも心配かけちゃったし、会いたい」
同い年の関と皐月は、見た目も性格も正反対のように見えるのに、どこか通じるものがあるのか仲が良かった。
それこそ、俺がいないのに勝手に家に上がり込んで皐月と2人で飲んでることもあるくらいで、あまり感情を表に出さない関が、皐月と一緒だとよく声を上げて笑っていた。
今回のことでも関はとても皐月のことを心配していた。
そしてもう1人―――
「裕太も心配してたよ。さっきメールで知らせたから、家まで来るって言ってた。ちょっと騒がしくなるけど・・・・」
「ふふ・・・・。いいよ、俺も裕太くんに会いたいし。あ、どうせなら裕太くんの店に行きたいな。コーヒー飲みたい」
「え、マジで?大丈夫か?」
浩斗くんが、ちらりと俺を見る。
「・・・戸田くんの店なら、いいんじゃない?皐月が落ちつけるところなら俺はどこでもいいし」
「―――O.K。じゃ、2人に知らせとくわ」
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ちらりと皐月を見ると、皐月は窓の外をじっと見つめていた。
まるで、何かを必死で思い出そうとしているように―――
俺は、そんな皐月の手をそっと握った。
皐月も俺の手を握り返してくれる。
―――大丈夫。俺が、ついてる。
そんな気持ちが、伝わるように。
本当は、皐月がこうして元気になって俺の隣にいてくれるだけで十分だ。
何も思い出せなくたっていい。
だけど、やっぱりそれじゃあ皐月はずっと何かが欠けた状態で生きていくことになるんだよな。
何よりも、また皐月に危害を加えられる可能性があるとすれば、それは全力で防ぎたい。
もう二度と、皐月を傷つけさせたりはしない・・・・。
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