上 下
2 / 24

今日から生徒会の書記になりました。

しおりを挟む
貴良たから、生徒会入ってよ」

最近、なんでか知らないけど俺の周りをちょろちょろしてる3年生の新井匠あらいたくみがそう言って俺の机に頬杖をついた。

「は?なんで?」

「一緒にいたいから」

「??それで、何で生徒会?」

「だって俺、会長だもん」

「は!?マジで!?この学校大丈夫!?」

「ふはは、俺もそう思う。けど、副会長がしっかりしてっから大丈夫」

「はあ・・・・・」

「だから、貴良も入ってよ」

「なんでそうなるんだよ」

「だって一緒にいたいんだもん」

振り出しに戻る。

大体、今授業中なんだけど。

なんでこの人は1年の教室で俺のことを見ながらにこにこしてるんだろう。

何で生徒会長が授業さぼってんのに、先生は気付かないふりしてるんだろう。

いろいろ疑問は浮かぶものの、聞いてもどうせまともに答えるわけないなと諦める。

ふにゃふにゃしてるようで結構強引。

優しくて穏やかだけどすげえ頑固。

「ごはん、生徒会室で食べよ」

そう言って、俺の腕を引っ張って歩きだす匠。

「え、俺、弁当とか持ってきてないよ。学食で食おうと思って―――」

「大丈夫、連絡しといた」

「は?連絡?」

しゅうちゃんが、美味い出前とっといてくれてるから」

「出前!?え、ちょ、どういう―――」




ガラガラッ

「貴良連れてきたー!」

「お!きたきた!いらっしゃい!」

そう言って満面の笑みで振り向いたのは、茶髪ですらっとスタイルのいい人懐こそうな男。

「匠くん、蕎麦とっといたよ」

読んでいた雑誌から顔を上げてそう言ったのは、端正な顔立ちの真面目そうな男。

「いらっしゃい。そこ、座ったら?」

自分の前の席を手で示し、にやりと口の端を上げて笑ったのは、小柄で猫背の男。

手に持ったスマホのゲームを、ハンバーグのように丸っこい手が器用に操作していた。

「貴良には何をやってもらうんだっけ?ナリ」

「書記でしょ。忘れないでよ、会長」

「そっか。貴良、じゃあ書記ね」

「え・・・・・ええ?本当に俺生徒会に入るの?」

思わず声を上げ・・・・・

四角いテーブルを囲んだ4人の顔を見渡したのだった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

雪は静かに降りつもる

レエ
BL
満は小学生の時、同じクラスの純に恋した。あまり接点がなかったうえに、純の転校で会えなくなったが、高校で戻ってきてくれた。純は同じ小学校の誰かを探しているようだった。

【完結】終わりとはじまりの間

ビーバー父さん
BL
ノンフィクションとは言えない、フィクションです。 プロローグ的なお話として完結しました。 一生のパートナーと思っていた亮介に、子供がいると分かって別れることになった桂。 別れる理由も奇想天外なことながら、その行動も考えもおかしい亮介に心身ともに疲れるころ、 桂のクライアントである若狭に、亮介がおかしいということを同意してもらえたところから、始まりそうな関係に戸惑う桂。 この先があるのか、それとも……。 こんな思考回路と関係の奴らが実在するんですよ。

「恋みたい」

悠里
BL
親友の二人が、相手の事が好きすぎるまま、父の転勤で離れて。 離れても親友のまま、連絡をとりあって、一年。 恋みたい、と気付くのは……? 桜の雰囲気とともにお楽しみ頂けたら🌸

高嶺の花宮君

しづ未
BL
幼馴染のイケメンが昔から自分に構ってくる話。

どうも俺の新生活が始まるらしい

氷魚彰人
BL
恋人と別れ、酔い潰れた俺。 翌朝目を覚ますと知らない部屋に居て……。 え? 誰この美中年!? 金持ち美中年×社会人青年 某サイトのコンテスト用に書いた話です 文字数縛りがあったので、エロはないです ごめんなさい

告白ゲーム

茉莉花 香乃
BL
自転車にまたがり校門を抜け帰路に着く。最初の交差点で止まった時、教室の自分の机にぶら下がる空の弁当箱のイメージが頭に浮かぶ。「やばい。明日、弁当作ってもらえない」自転車を反転して、もう一度教室をめざす。教室の中には五人の男子がいた。入り辛い。扉の前で中を窺っていると、何やら悪巧みをしているのを聞いてしまった 他サイトにも公開しています

処理中です...