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第8話 動き始める
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その夜タクトは夜空を眺めながら考えていた。
今の貴方は彼女に向かって胸を張れますか?
この言葉がずっと心の中で響き渡る。
今の俺を見て、片瀬さんなら怒るだろうなー。それに、今の自分は片瀬さんに失礼だよな。
彼女を理由にして逃げ道を作っていただけで、今の自分の環境は自分の行いが招いた責任なのだ。
そんな考えがついにタクトに決意させた。
「よし、明日からは彼女に向かって胸を張れるように頑張ろう!」
夜の星々を見ながら高らかに誓うのであった。
翌日、タクトは電車の中で今後どうするか悩んでいた。
もうじき夏休みだからバイトしてお金を稼ごうかな。このくせっ毛の前髪もストレートにしたいし、先生の小説も買いたいし、やはりお金が必要だな。あ、後は俺からクラスの人に挨拶する努力をしてみようかな。
そんなことを考えているといつの間にか教室に辿り着いていた。
席の隣りにはミナミとユキが楽しそうにお喋りをしていた。
タクトは勇気をだして、
「深川さんと亀岡さん、おはよう」
二人は驚愕に目を見開き、
「「えっ」」
「えっ」
ついタクトも同じ言葉を返してしまった。
ミナミは恐る恐る、
「ど、どうしたの?」
「え、なにが?」
「加賀君から挨拶するなんて…」
「イヤだなー、朝の挨拶は基本だろ?」
「そ、そうだけど、そうじゃなくて…、あ~、もう」
それを見兼ねたユキが、
「加賀君、すこし変わった?」
「変わったのかな?元の性格に戻ったのか分からないけど変わる努力をしようと思っている。今までは冷たい態度でごめんね」
ミナミの中で何かが閃いた。
「許しません。加賀君の冷たい態度で私はと~~ても傷つきました。で・す・が、許してほしいですか?」
「え、えっ、ゆ、許してほしいです」
「しょうがないですね~、私の言うことを聞いてくれたら許してあげます」
「お、俺にできることなら善処します。ちなみに、そ、その内容は…?」
ミナミはいたずらに成功した子供の様に笑みを浮かべながら、
「買い物に付き合って下さいね」
タクトはミナミの笑顔を見て、
ヤバイヤバイ、何あの笑顔。今まで気づかないようにしてたけど、つい気付くと……、ふと気になって周りを見てみると…会話を聞いていた男子の視線が今にも呪い殺すという勢いで見られていた。あ、俺明日生きてるかなぁーと考えながら、
「ぜ、善処します」
「そこは、はいって言うところでしょ」
ミナミは頬を膨らませていかにも怒っていますアピールをしている。
そんなミナミの態度を見て、周りの男子からは、
「か、可愛すぎる」
「天使がいた」
「生きててよかった」
「加賀は殺す」
などの声で溢れていた。
おい、最後のお前、物騒なことはやめような。マジでやめよう。俺頑張るって決めたんだから、本当に勘弁して下さい。
そんな謝罪をしていると、今度はユキが
「私は何にしようかな~~」
タクトとミナミは一斉に
「「えっ」」
「何で二人とも驚いているの?みっちゃんと同じように私も傷ついたんだから。だ・か・ら、もちろん私もいいよね」
ユキは可愛くウィンクしながらタクトを見つめていると、
「ダ、ダメです。ユキの分も私が使います。いいですね」
「え~~~。みっちゃんだけズルイよ」
「今度パンケーキを奢ってあげるから」
「本当、わ~い。これだからみっちゃん大好き」
ユキがミナミに抱き着いたところで担任の先生が来たので、一旦お開きとなった。
タクトから挨拶をしたことによってミナミとの買い物が決定した。
ちなみに次の日に男子にも挨拶を数人にしたのだが…、半分は無視され、残りの半分からは罵声を浴びさせられた。
しかしタクトは、負けるな俺、挫けるな俺…と、何とか自分を奮い立たせるのであった。
今の貴方は彼女に向かって胸を張れますか?
この言葉がずっと心の中で響き渡る。
今の俺を見て、片瀬さんなら怒るだろうなー。それに、今の自分は片瀬さんに失礼だよな。
彼女を理由にして逃げ道を作っていただけで、今の自分の環境は自分の行いが招いた責任なのだ。
そんな考えがついにタクトに決意させた。
「よし、明日からは彼女に向かって胸を張れるように頑張ろう!」
夜の星々を見ながら高らかに誓うのであった。
翌日、タクトは電車の中で今後どうするか悩んでいた。
もうじき夏休みだからバイトしてお金を稼ごうかな。このくせっ毛の前髪もストレートにしたいし、先生の小説も買いたいし、やはりお金が必要だな。あ、後は俺からクラスの人に挨拶する努力をしてみようかな。
そんなことを考えているといつの間にか教室に辿り着いていた。
席の隣りにはミナミとユキが楽しそうにお喋りをしていた。
タクトは勇気をだして、
「深川さんと亀岡さん、おはよう」
二人は驚愕に目を見開き、
「「えっ」」
「えっ」
ついタクトも同じ言葉を返してしまった。
ミナミは恐る恐る、
「ど、どうしたの?」
「え、なにが?」
「加賀君から挨拶するなんて…」
「イヤだなー、朝の挨拶は基本だろ?」
「そ、そうだけど、そうじゃなくて…、あ~、もう」
それを見兼ねたユキが、
「加賀君、すこし変わった?」
「変わったのかな?元の性格に戻ったのか分からないけど変わる努力をしようと思っている。今までは冷たい態度でごめんね」
ミナミの中で何かが閃いた。
「許しません。加賀君の冷たい態度で私はと~~ても傷つきました。で・す・が、許してほしいですか?」
「え、えっ、ゆ、許してほしいです」
「しょうがないですね~、私の言うことを聞いてくれたら許してあげます」
「お、俺にできることなら善処します。ちなみに、そ、その内容は…?」
ミナミはいたずらに成功した子供の様に笑みを浮かべながら、
「買い物に付き合って下さいね」
タクトはミナミの笑顔を見て、
ヤバイヤバイ、何あの笑顔。今まで気づかないようにしてたけど、つい気付くと……、ふと気になって周りを見てみると…会話を聞いていた男子の視線が今にも呪い殺すという勢いで見られていた。あ、俺明日生きてるかなぁーと考えながら、
「ぜ、善処します」
「そこは、はいって言うところでしょ」
ミナミは頬を膨らませていかにも怒っていますアピールをしている。
そんなミナミの態度を見て、周りの男子からは、
「か、可愛すぎる」
「天使がいた」
「生きててよかった」
「加賀は殺す」
などの声で溢れていた。
おい、最後のお前、物騒なことはやめような。マジでやめよう。俺頑張るって決めたんだから、本当に勘弁して下さい。
そんな謝罪をしていると、今度はユキが
「私は何にしようかな~~」
タクトとミナミは一斉に
「「えっ」」
「何で二人とも驚いているの?みっちゃんと同じように私も傷ついたんだから。だ・か・ら、もちろん私もいいよね」
ユキは可愛くウィンクしながらタクトを見つめていると、
「ダ、ダメです。ユキの分も私が使います。いいですね」
「え~~~。みっちゃんだけズルイよ」
「今度パンケーキを奢ってあげるから」
「本当、わ~い。これだからみっちゃん大好き」
ユキがミナミに抱き着いたところで担任の先生が来たので、一旦お開きとなった。
タクトから挨拶をしたことによってミナミとの買い物が決定した。
ちなみに次の日に男子にも挨拶を数人にしたのだが…、半分は無視され、残りの半分からは罵声を浴びさせられた。
しかしタクトは、負けるな俺、挫けるな俺…と、何とか自分を奮い立たせるのであった。
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